畑が「趣味」を超えて暮らしの軸になった理由
『おとな時間研究所 健やか農ライフ(9月4日)』では、芸能活動を続けながら14年以上にわたって野菜作りを続ける加藤紀子さんの暮らしが取り上げられます。もともと農業とは無縁だった加藤さんが、なぜこれほど長く畑に通い続けているのか。そこには野菜を育てる楽しさだけでなく、人との出会い、料理、発酵、山形との深いつながりまで広がった独自の農ライフがあります。
この記事でわかること
- 加藤紀子さんが野菜作りを始めたきっかけ
- 14年以上も畑を続けている理由
- 収穫した野菜を暮らしに生かす方法
- 山形で続ける味噌作りと人とのつながり
加藤紀子の農ライフは2012年に始まり14年以上続いている

加藤紀子さんが野菜作りを始めたのは2012年。テレビ番組で畑仕事を経験したことがきっかけでした。
最初から家庭菜園に強い興味があったわけではなく、本人も自分の人生で畑をするとは考えていなかったと振り返っています。それでも番組終了後、「まだ知らないことがある」という気持ちが残り、そのまま畑に通い続けるようになりました。
現在耕している畑は約67平方メートル。友人と一緒に借り、通常は週1回ほど、野菜の成長が速くなる時期には週2回ほど足を運んでいます。自宅から畑までは車で約1時間30分かかるというから、気軽な週末菜園というより、生活の一部に近い存在です。
14年以上続いた最大の理由は「季節に終わりがない」こと
野菜作りには、はっきりしたゴールがありません。
春夏野菜を収穫している間には秋冬野菜の準備が始まり、秋冬には次の春夏に向けて畑を整えていきます。1つの収穫が終わると、すでに次の季節が始まっている。この循環が加藤さんを畑へ引き戻してきました。
さらに大きかったのが人との出会いです。
野菜の育て方を教えてくれる人、畑を共有する友人、各地の農家や料理を作る人たち。作物そのものだけでなく、食べ物の向こう側にいる人を知ることで、野菜がおいしく感じられるようになったと語っています。
「野菜を育てる趣味」というより、畑を入口に人や地域とつながっていくことが、長く続いている大きな理由です。
収穫して終わりではなく「どう食べ切るか」まで楽しむ
加藤さんの農ライフで特徴的なのが、収穫量を競うのではなく、採れた野菜を最後まで使い切ることを重視している点です。
大量に採れれば漬物にする、ソースにする、乾燥させる。食べ切れないときは友人に分けるなど、収穫後まで含めて野菜作りを楽しんでいます。
日常的によく食べるのが、野菜をたっぷり入れた味噌汁です。仕事で新幹線や飛行機に乗るときにもフードポットに入れて持っていくほどで、自分で育てた野菜と自家製味噌を組み合わせています。
畑を始めたことで「作る」「収穫する」「保存する」「料理する」が1本につながったことが、加藤さんの農ライフの面白さです。
畑から豆腐・薬膳・米作りへ興味が広がった
野菜作りを続けるうちに、加藤さんの「食」への関心はさらに広がりました。
現在は豆腐マイスター、国際中医薬膳管理師、東美薬膳®アドバイザー、東美薬膳®ベジ薬膳料理マイスターなどの資格を持っています。
長野県小諸市では米作りにも挑戦しており、畑だけではなく、米、大豆、発酵、保存食へと活動がつながっています。
野菜作りそのものを極めるというより、野菜を入口に食文化全体を知ろうとしているところが特徴です。
山形との縁は仕事から始まり観光大使にまで広がった
加藤紀子さんと山形県との関係も長く続いています。
山形県内を巡る仕事を重ねたことから、2013年には**「やまがた特命観光・つや姫大使」**に就任しました。現在も所属事務所の公式プロフィールにアンバサダーとして掲載されています。
山形では食材だけでなく、生産する人との交流が深まっています。
毎年味噌を仕込み、さくらんぼの収穫にも参加するなど、仕事で訪れる場所から「また会いたい人がいる場所」へ変わりました。
「山形のお母さん」と13年以上続く味噌作り
その象徴的な存在が、山形県長井市の農家れすとらん なごみ庵を営む菅野ちゑさんです。
加藤さんがなごみ庵を取材したのは約13年前。菅野さんの人柄や料理、おもてなしに惹かれ、再び会うきっかけとして始めたのが味噌作りでした。2026年にも山形を訪れ、味噌を仕込んでいます。
使う基本材料は大豆、米麹、塩。
麹をほぐし、大豆を煮て、塩と麹を混ぜ、つぶした大豆と合わせます。毎年30kgもの大豆を扱う本格的な仕込みで、完成した味噌は加藤さんの家庭に欠かせない調味料になっています。
野菜作りから始まった農ライフが、人とのつながりを通して発酵文化にまで広がったことがよく分かります。
山形には地域で守られてきた珍しい赤い大豆もある
山形県には一般的な黄色い大豆だけでなく、地域で受け継がれてきた地大豆があります。
代表的なのが川西町の紅大豆です。
もともと「赤豆」と呼ばれ、家庭用の煮豆として少量栽培されてきました。赤茶色の種皮が特徴で、主な収穫時期は10月下旬。煮豆のほか、豆腐や納豆、菓子などにも加工されています。
大量生産向けの大豆とは違い、地域の家庭で食べ継がれてきた豆が残っていることも、山形の食文化の奥深さを感じさせます。
現在は芸能活動と農作業を無理なく両立している
加藤紀子さんは現在も芸能活動を続け、TBS「ふるさとの未来」のMCを務めています。
一方で農作業はすでに「趣味」という枠を超えたライフワーク。ブログやYouTubeなどでも畑仕事や収穫した野菜を使った料理を発信しています。
畑を始めたから健康的な暮らしになった、という単純な話ではありません。
作物の成長に合わせて予定を組み、人と会い、収穫したものを料理し、食べ切る。そこからまた新しい土地や食文化へ興味が広がっていく。
14年以上続いている理由は、畑が生活の中に新しい楽しみを次々と生み出してくれる場所になったからといえそうです。
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