泳げない人ほど「水に入る前の練習」が大切な理由
2026年9月9日放送のTBS系『ニノなのに』では、これまで25mを泳ぎ切ったことがないマシンガンズ・西堀亮さんが、「3日間、陸で練習するだけ」で25m完泳を目指します。指導するのは20年のキャリアを持つプロで、番組では従来の水泳のイメージを覆す陸上トレーニングに挑戦します。
一見すると「水に入らないのに水泳が上達するの?」と思ってしまいますが、実は手足の動きや呼吸のタイミングを陸上で確認する方法自体は、水泳指導の中でも使われています。
この記事でわかること
- 『ニノなのに』で西堀亮さんが挑戦する3日間企画の内容
- 陸上練習がクロール習得につながる理由
- 25mを泳ぐために押さえたい手・足・呼吸のポイント
- 自宅でも確認できる初心者向けの陸上練習
『ニノなのに』では泳げなかった西堀亮が25m完泳に挑戦
今回挑戦する西堀亮さんは、学校の水泳授業でも25mを完泳した経験がないと紹介されています。
番組の面白いところは、プールで何度も泳ぎ込むのではなく、まず3日間にわたって陸上で動きを習得することです。そして最後に、人生初の25m完泳を目指します。
ただ、「陸上で水泳の動きを練習する」という考え方そのものは決して突飛なものではありません。
文部科学省の小学校学習指導要領解説でも、クロールでは「手」「ばた足」「呼吸」を組み合わせることが基本とされています。さらに水泳が苦手な子への配慮として、動きのポイントを陸上から見たり、呼吸や動作のタイミングを確認したりする練習が示されています。
つまり今回の企画で注目したいのは、
「泳げるようになるには、とにかく水の中で頑張る」
という発想ではなく、
「水中で混乱する前に、陸上で動きを整理しておく」
という考え方です。
25mを泳げない原因は「体力不足」だけではない
25mを泳ぎ切れないと、「体力がない」「キックが弱い」と考えがちです。
ところが初心者の場合、もうひとつ大きいのが動作の組み合わせです。
クロールでは、
腕を回す
↓
足を動かす
↓
顔を横に向ける
↓
息を吸う
↓
顔を戻す
という複数の動きを同時に行わなければなりません。
文部科学省も高学年のクロールについて、「左右の手を入れ替える動きに呼吸を合わせて、続けて長く泳ぐこと」を基本としています。25~50m程度を目安としたクロールでは、交互の腕のかき、リズミカルなばた足、肩のローリングを使った横向き呼吸がポイントとして挙げられています。
泳ぎ慣れている人なら無意識にできる動作でも、初心者にはかなり忙しい動きです。
水の中ではさらに、
「沈みそう」
「息ができない」
「水が鼻に入る」
といった不安も加わります。
そこで、まず陸上で動作だけを覚えてしまえば、水中で考えなければならないことを減らせます。
これが陸上練習の大きなメリットです。
ポイント1は大きく腕を回すこと
文部科学省が示すクロールの基本は、左右の手を交互に前方へ伸ばし、水を大きくかく動きです。
初心者によくあるのが、速く泳ごうとして腕を細かく回してしまうこと。
しかし25mを「速く」泳ぐことよりも「止まらずに」泳ぐことが目的なら、1回のストロークで少しでも楽に進めるほうが有利です。
文科省の資料でも「ゆったりとしたクロール」として、1ストロークで進む距離を伸ばすため、片手ずつ大きく水をかく方法が紹介されています。
陸上なら鏡の前などで、
両腕を前に伸ばす
→片腕を大きく後ろまで回す
→前に戻す
→反対側を回す
という動きを確認できます。
速さより、まず同じ軌道を繰り返せることが大切です。
ポイント2は「強いバタ足」よりリズム
クロールでは、脚を交互に曲げ伸ばししてリズミカルにばた足を行います。
初心者が25mを目指す場合、「水を思い切り蹴れば進む」と考えて強く蹴りすぎると、逆に疲れてしまうことがあります。
長く泳ぐクロールについて文科省は、ゆっくりとしたばた足も例として挙げています。
つまり必要なのは、全力キックを続けることではありません。
腕と呼吸を邪魔しない程度に、脚を止めずに動かせることがポイントになります。
25m完泳を目的にするなら「疲れない泳ぎ方」を作ることも重要です。
ポイント3は息継ぎで顔を上げすぎない
初心者がクロールで止まりやすい場所が息継ぎです。
息を吸おうとして顔を前方へ持ち上げると、頭が上がり、その反動で脚が沈みやすくなります。
文科省は息継ぎが苦手な場合について、顎を引き、耳まで水に浸かるような姿勢で横向きに呼吸することを例として挙げています。
ポイントは「顔を上げる」より「横を向く」という感覚です。
これなら陸上でも練習できます。
立った状態で腕をクロールのように回し、右腕を後ろへかくタイミングで頭だけ右へ向けます。
次に顔を正面へ戻し、数回ストロークして再び右を向く。
この順番を何度も繰り返しておけば、水に入ったときも動きを思い出しやすくなります。
「手・足・呼吸を別々に覚える」のが陸上練習の強み
クロールで難しいのは、手の動かし方そのものではありません。
難しいのは全部を同時にやることです。
そのため、
- 腕だけ
- 呼吸だけ
- 腕+呼吸
- 最後に足も加える
と分解すると覚えやすくなります。
文科省の水泳指導でも、課題に応じた練習を選んだり、呼吸のタイミングを「口伴奏」で確認したりする方法が挙げられています。
水に入らず動きを覚える最大の利点は、失敗しても沈まないこと。
何度でも止めて、
「今どちらの腕だったか」
「どのタイミングで顔を向けるか」
を確認できます。
泳ぐことそのものが苦手な人ほど、この方法は取り組みやすいでしょう。
競泳でもドライランドトレーニングは一般的
「陸上トレーニング」という言葉は、水泳界では「ドライランドトレーニング」として以前から使われています。
2026年8月に発表された競泳選手を対象とするシステマティックレビューでは、コアトレーニング、プライオメトリクス、レジスタンストレーニングなど、複数の陸上トレーニングが競泳能力や身体能力の向上に利用されていることがまとめられています。
ただし、これは主に競技経験のある選手を対象とした研究です。
そのため、「泳げない初心者が3日間陸で練習すれば必ず25m泳げる」という科学的証明とは別の話です。
今回の『ニノなのに』が興味深いのは、競技者向けにも使われる「水の外で動きを作る」という発想を、泳げない大人の25mチャレンジに持ち込んでいるところです。
自宅で動きを確認するならこの4つ
番組のトレーニングそのものではなく、文部科学省が示している基本動作を家庭向けに整理すると、次のような確認ができます。
まず両腕を頭の上へ伸ばし、できるだけ一直線の姿勢を作ります。
次に左右の腕を交互に大きく回します。
慣れてきたら、腕をかくタイミングに合わせて肩と顔を横へ向けます。
最後は一定のリズムで、
「かく→戻す→かく→息」
のように口でリズムを取りながら続けます。
いきなり全部を速く行う必要はありません。
ゆっくり正確にできてからテンポを上げるほうが分かりやすいでしょう。
実際に水へ入るときは「浮く感覚」が別に必要
一方で、陸上では覚えられないものもあります。
水の浮力、水への恐怖感、水中で息を吐く感覚などです。
そのため実際に水中で練習するときは、浅い場所や監視員のいるプールを利用し、泳力に不安がある場合は指導者と一緒に行うのが安全です。
文部科学省も水泳指導では事故防止や安全確保を重視しています。
まとめ
『ニノなのに』で西堀亮さんが挑む「3日間、陸で練習するだけ」という企画は、かなり大胆に見えます。
ただ、水泳の動きを陸上で確認すること自体は、水泳指導でも使われている方法です。
特に25mを泳ぎ切れない人の場合、体力よりも、
腕
ばた足
呼吸
を同時に行うことが壁になっているケースがあります。
そこで水に入る前に動作を分解して体に覚えさせておけば、水中での混乱を減らせます。
西堀亮さんが3日間の陸上練習を経てどのような泳ぎになるのか。「泳ぐ練習=プール」という常識をどこまで変えるのかが、今回の大きな見どころです。
参考リンク
気になる生活ナビをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


コメント