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秦家の幻の漬物「ひゃくいち」とは?150日熟成と新茶・豆ごはんの初夏の味|秦さんちのお台所

グルメ

京町家・秦家に代々伝わる「ひゃくいち」と初夏の食卓

2026年9月12日放送のNHK Eテレ「秦さんちのお台所〜京町家 初夏の味〜」では、築150年以上の京町家「秦家」で受け継がれてきた初夏の食卓が紹介されます。旬のえんどう豆を炊き込んだ豆ごはん、宇治の新茶、山しょう、大原の赤しそを使う梅干しと並んで登場するのが、番組で「幻の漬物」と紹介される一品です。

その漬物が、秦家に代々伝わる「ひゃくいち」。師走から仕込み、立夏を過ぎるころまでおよそ150日も熟成を待つ、秦家の季節の味です。秦家公式では、新茶をかけた豆ごはんと「ひゃくいち」を合わせる食べ方も紹介されています。番組の初夏の食卓を理解するうえで、この漬物は欠かせない存在です。

この記事でわかること

  • 「幻の漬物」と紹介される秦家の「ひゃくいち」とは何か
  • ひゃくいちを約150日かけて熟成させる理由と季節
  • 豆ごはんに新茶をかけて味わう秦家流の初夏の食卓
  • 秦家住宅の場所・見学料金・料理を味わう方法

幻の漬物の正体は秦家に代々伝わる「ひゃくいち」

伝統漬物茶漬けにマッチ 「ひゃくいち」:地域ニュース : 読売新聞

伝統漬物茶漬けにマッチ 「ひゃくいち」:地域ニュース : 読売新聞

秦家公式サイトには、はっきりと「ひゃくいちはわが家に代々伝わるお漬物」と記されています。

しかも、一般的な浅漬けのように数日で完成するものではありません。仕込みが始まるのは師走、つまり12月ごろ。そこから冬を越し、春を迎え、立夏を過ぎるころまで、およそ150日間熟成を待ちます。

半年近く待ってようやく食卓に上がるため、季節を問わずいつでも食べる漬物とは性格がかなり異なります。

秦家では葵祭のころになると、熟成を終えたばかりの「ひゃくいち」を初夏の味として楽しんできました。

番組で「幻の漬物」という言葉が使われているのも、商品として一年中大量に作られる漬物ではなく、家の中で季節とともに仕込み、食べごろを待ってきた伝承の味だからなのでしょう。

「ひゃくいち」は約150日待って初夏に食べる

秦家の「ひゃくいち」で特に印象的なのが、料理の工程そのものよりも「待つ時間」です。

師走に始まり、正月、節分、ひな祭り、春分と季節が移り、立夏を越えてようやく食べごろを迎えます。

現在は冷蔵庫や調理家電があり、食材を一年中かなり自由に扱えます。しかし秦家の暮らしでは、旬のものをその時期に仕込み、時間をかけて次の季節へつないでいくこと自体が食生活の一部になっています。

秦家公式でも、季節ごとに変わる自家製の漬物を朝のお茶漬けとともに楽しんできたことが紹介されています。

「保存するための漬物」であると同時に、冬から初夏へと季節を渡す料理でもあるわけです。

なお、一般に「百一漬」という名称の漬物には、大根と塩漬けのナスを一緒に漬けるものがあります。一方、秦家公式の公開情報では「ひゃくいち」の具体的な材料や配合までは明記されていません。

そのため、一般的な百一漬の製法をそのまま秦家のレシピと断定することはできません。秦家の「ひゃくいち」について確実に確認できるのは、代々伝わる漬物であり、師走から約150日熟成させるという点です。

豆ごはんに新茶をかけ「ひゃくいち」と味わう

「ひゃくいち」は単独で食べるだけではありません。

秦家公式が紹介している初夏ならではの組み合わせが、

えんどう豆の豆ごはん+新茶+ひゃくいち

です。

旬のえんどう豆を炊き込んだ豆ごはんに、その年の新茶を注いでお茶漬けにし、熟成を終えた「ひゃくいち」を添えます。

番組内容にも「旬のえんどう豆で豆ごはん」「宇治の新茶で絶品お茶漬け」「商家が守り継ぐ幻の漬物」が並んでおり、秦家公式が紹介する初夏の食べ方と重なります。

秦家では、葵祭のころにこの組み合わせを楽しんできました。

秦家公式では「ひゃくいち」「新茶」「えんどう豆」を初もの三種として紹介しています。新茶についても、八十八夜の初摘み茶は無病息災や長寿につながるものとして伝えられてきたことが記されています。

豪華な料理を何品も並べるのではなく、その季節にしかないものを組み合わせる。

これが「秦さんちのお台所」で描かれる秦家の食卓の魅力です。

「秦家」は1700年創業の薬種商だった

番組の舞台となる秦家住宅は、単なる古民家ではありません。

秦家が薬種業を始めたのは元禄13年(1700年)。小児薬「竒應丸(きおうがん)」を扱う商家として、1986年まで12代にわたり製造卸業を続けました。

現在の秦家住宅は、1864年の元治の戦いによる火災で以前の建物を失ったあと、明治2年(1869年)に上棟されたものです。

通り側に商売をする「ミセ」、その奥に住居、さらに中庭や奥庭が続く「表屋造り」の京町家で、商売と生活が同じ建物の中にありました。

家族だけでなく働く人たちも含む大所帯の食事を支えたのが、土間の台所です。

秦家公式では、この土間の炊事場を「はしりもと」と呼び、家族や働き手の食事を切り盛りしてきた女性たちから受け継がれてきた場所だと説明しています。

だから「ひゃくいち」も単なる珍しい京都グルメではありません。

商家で暮らす大勢の人たちを支えてきた、日常の食文化の延長線上にある料理なのです。

秦めぐみさんが受け継ぐ「季節ごはん」

現在、秦家住宅で暮らしの文化を伝えているのが秦めぐみさんです。

秦家では建物を保存するだけではなく、食事、歳時、建具替え、料理などを通じて、京町家で実際に営まれてきた生活そのものを伝えています。

公式サイトには料理の会も設けられ、身近な旬の食材を使いながら季節の料理を作る活動が紹介されています。

秦めぐみさんは2008年に『京の町家 おりおりの季節ごはん』を出版しています。

祖母や母から受け継いだ家庭料理と、季節に沿って暮らす知恵をまとめた一冊です。番組で登場する料理が特別な撮影用メニューではなく、秦家で長年続いてきた暮らしを背景に持っていることがわかります。

山しょう、梅干しにも「今作って次の季節へ」の知恵

初夏編では「ひゃくいち」だけでなく、山しょうや梅干しも登場します。

山しょうには秦めぐみさんの亡き父との思い出があり、梅干しには京都・大原の赤しそが使われます。

ここにも秦家らしい考え方があります。

旬の食材を、その日に全部食べてしまうのではなく、保存食へ変えて次の季節へつなげることです。

梅仕事も漬物作りも、一度に完成する料理ではありません。

仕込んで、待って、季節が進んだころに食べる。

「ひゃくいち」を150日待つという話と合わせて見ると、番組タイトルの「手をかけることを楽しんでめぐる季節を味わう」という言葉が、秦家の台所そのものを表していることがわかります。

秦家住宅の場所・見学料金・予約方法

番組を見て実際の秦家住宅を訪れてみたい人は、予約して見学することもできます。

秦家住宅の住所は京都市下京区太子山町594です。

見学時間は9時30分〜16時30分で、前日までの予約が必要。現在公式サイトに掲載されている料金は、大人2,000円、中高生1,000円です。邸内の撮影は不可となっています。

アクセスは、京都駅から市バス50系統で「西洞院仏光寺」下車徒歩約3分。地下鉄四条駅からは徒歩約10分、阪急烏丸駅からは徒歩約15分です。

また「料理 秦家」では、京町家の空間で秦家の家庭料理を味わえます。

現在の公式案内では、昼は12時〜15時・1人7,000円、夜は18時〜21時・1人10,000円。税・飲み物代は別で、1日1組、原則4名から、4〜5日前までの予約制です。

ただし、「ひゃくいち」が通常の食事で必ず提供されるとは公式には案内されていません。約150日かけて初夏に食べる季節の漬物なので、通年メニューと考えない方がよいでしょう。

予約は京都秦家公式サイトの問い合わせフォーム、または電話で受け付けています。

まとめ

「秦さんちのお台所〜京町家 初夏の味〜」で登場する“幻の漬物”として注目したいのが、秦家に代々伝わる「ひゃくいち」です。

師走に仕込み、立夏を越えるまでおよそ150日待って味わう漬物で、秦家では初夏になると、旬のえんどう豆を使った豆ごはんに新茶を注ぎ、「ひゃくいち」を添えて楽しんできました。

1700年から薬種商を営んできた秦家。1869年に建てられた京町家の台所で、祖母から母へ、母から娘へと受け継がれてきた食の知恵が、現在まで残っています。

珍しい食材を使うことより、旬に仕込み、待ち、いちばんおいしい季節に味わうこと。

150日かけて完成する「ひゃくいち」は、そんな秦家の暮らしを象徴する一品といえそうです。

参考リンク

京都秦家公式「ひゃくいちを味わう」

京都秦家公式サイト・秦家住宅について

NHKオンデマンド「秦さんちのお台所〜京町屋 初夏の味〜」


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