ビーツは血圧対策として注目される野菜、研究の中心は「ビーツジュース」
2026年9月16日放送の「ズボラに健康!カラダにイイワケ」では、血圧対策の一つとしてビーツが登場します。テレビ東京公式も、高血圧企画で「毎日カラオケ療法&『ビーツ』の効果は?」と予告しています。
ビーツが注目される大きな理由は、野菜に含まれる硝酸塩(硝酸イオン)です。体内で一酸化窒素(NO)の生成につながり、血管を広げる方向に働くことから血圧との関係が研究されています。
ただし、「ビーツを食べれば高血圧が治る」という話ではありません。最新の研究でも効果にはばらつきがあり、特にエビデンスが多いのは普通の料理として食べるビーツではなく、硝酸塩を含むビーツジュースです。
この記事でわかること
- ビーツと血圧の関係
- 血圧研究で使われたビーツジュースの量
- 生・加熱・ジュースのどれがいいのか
- 「食後の〇〇ジュース」とビーツを同一視できるのか
ビーツの食べ方は?研究ではジュースを使ったものが多い

出典:テレビ東京「ズボラに健康!カラダにイイワケ」公式リリース
ビーツは赤紫色の根菜で、加熱してそのまま食べるほか、サラダ、スープ、ピクルス、ジュースなどに利用できます。
ただ、「血圧対策としてどう食べる?」という点では少し注意が必要です。
これまでの臨床研究は、
- ビーツそのものを食べる
- ビーツ料理を食べる
という研究より、硝酸塩を一定量含ませたビーツジュースを飲む研究が中心です。
そのため、「毎日ビーツを何切れ食べれば血圧が下がる」といった明確な量は、現在の研究からは決められません。
血圧との関係を研究結果に沿って考えるなら、「ビーツだから何でも同じ」ではなく、どれだけ硝酸塩を摂取したかが重要になります。
ビーツジュースは1日何mL?研究では70~250mLの試験も
2022年に発表された、高血圧患者を対象とするランダム化比較試験の系統的レビュー・メタ解析では、7研究・218人が対象になりました。
そこで使用されたビーツジュースは、研究によって1日70~250mL。摂取期間も3~60日とかなり幅があります。
結果は、ビーツジュース由来の硝酸塩を摂取したグループで、対照群より収縮期血圧、いわゆる「上の血圧」が平均約5mmHg低くなりました。
一方、拡張期血圧、いわゆる「下の血圧」については統計的に明確な差が確認されませんでした。
ただし、ここから、
「ビーツジュースを毎日70~250mL飲めばいい」
と決めてしまうのは早計です。
ビーツジュースは製品や作り方によって含まれる硝酸塩量が違うため、同じ100mLでも研究で使用されたものと同じ条件になるとは限りません。
最新研究では「上の血圧」が約5mmHg低下、ただし確実性は低い
さらに2024年には、高血圧の成人を対象にした11件のランダム化比較試験、計349人をまとめたメタ解析が発表されています。
その結果、ビーツジュースを摂取したグループでは、診察室で測った収縮期血圧が対照群より平均5.31mmHg低い結果になりました。
一方で、
- 拡張期血圧では明確な差が確認されなかった
- 24時間血圧でも明確な効果が確認されなかった
- 研究ごとの結果のばらつきがあった
- エビデンスの確実性は「低い」と評価された
という点も重要です。
つまり現在の研究をまとめると、ビーツジュースは特に「上の血圧」を下げる可能性があるものの、誰にでも同じ効果が出ると断言できる段階ではない、という位置づけです。
ビーツに含まれる硝酸塩が一酸化窒素へ変わる
では、なぜビーツが血圧と関係するのでしょうか。
ポイントになるのが硝酸塩です。
食品から取り込まれた硝酸塩は、体内で、
- 硝酸塩
- 亜硝酸塩
- 一酸化窒素(NO)
という経路をたどります。
生成された一酸化窒素には血管を拡張する方向へ働く作用があります。
血管が広がれば血液が流れるときの抵抗が小さくなるため、結果として血圧が低くなる可能性があるという仕組みです。
ビーツだけに特別な成分が存在するというより、ビーツが硝酸塩を含む食品であることが研究上の大きなポイントになっています。
「ビーツを食べる」のと「ビーツジュース」は同じではない
ビーツは普通の野菜として食べても硝酸塩を摂取できます。
ただし、固形のビーツとジュースでまったく同じ結果になるとは限りません。
健康な男性10人を対象に、
- 濃縮ビーツジュース55mL
- 通常濃度のビーツジュース456mL
- 固形のビーツ食品60g
などを比較した研究では、それぞれ体内の硝酸塩関連物質は増加しましたが、血圧への影響は摂取形態によって異なっていました。
つまり、
「ビーツなら生でも煮てもジュースでも血圧への作用は全部同じ」
とは言えません。
普段の野菜として取り入れるなら、ゆでたり蒸したりしてサラダやスープにする方法でも構いませんが、血圧低下について科学的な結果を紹介するときは、ビーツジュースの研究結果と普通のビーツ料理を分けて考える必要があります。
番組の「食後に〇〇ジュース」はビーツジュースなのか
今回の番組情報では、高血圧企画として「食後に〇〇ジュースを飲むだけ」という検証も予告されています。
一方、テレビ東京の公式リリースでは「毎日カラオケ療法&『ビーツ』の効果は?」と明記されています。
ただし、公式リリースだけでは「食後の〇〇ジュース=ビーツジュース」とまでは確認できません。
そのため放送前の段階で、
「食後にビーツジュースを飲む」
「食後○分以内に飲む」
などと結びつけて断定するのは避けるべきでしょう。
確認できる事実は、今回の血圧企画でビーツの効果を検証するというところまでです。
飲むタイミングは食後が正解とは限らない
ビーツジュースについては、「朝がいい」「食後がいい」「運動前がいい」といった情報も見かけます。
しかし、血圧対策として食後が最も効果的だとする統一されたルールはありません。
研究ごとに摂取量や摂取期間、飲むタイミングが異なります。
2024年のメタ解析でも、特定の食事タイミングを「正解」として示しているわけではなく、1日あたり200~800mgの硝酸塩をビーツジュースから摂取した研究群を分析しています。
したがって、市販のビーツジュースを使う場合も「食後だから効く」と考えるより、まずは商品表示を確認し、普通の食品として無理なく取り入れる方が現実的です。
血圧が下がらなかった研究もある
ビーツ研究では、すべての試験で血圧が低下しているわけではありません。
2015年に発表された、高血圧治療中の男女27人を対象としたランダム化比較試験では、硝酸塩を多く含むビーツジュースを1週間摂取しました。
血液や唾液中の硝酸塩・亜硝酸塩は大きく増えたものの、家庭血圧や24時間血圧には対照群との差が確認されませんでした。
一方、別の高血圧患者を対象にした研究では血圧低下が確認されています。
この違いからも、年齢、もともとの血圧、薬の使用状況、硝酸塩量などによって結果が変わる可能性があります。
高血圧の薬をビーツに置き換えるのはNG
ビーツを取り入れる場合に最も大切なのは、食べ物と治療を混同しないことです。
研究ではビーツジュースによる血圧低下の可能性が示されていますが、降圧薬の代わりとして使えることが証明されたわけではありません。
すでに高血圧と診断されている人や降圧薬を使用している人は、
- 自己判断で薬を減らさない
- 薬をビーツジュースへ置き換えない
- 血圧が低くなりすぎたり、めまいなどが出た場合は医療機関へ相談する
ことが大切です。
特に研究結果の平均値だけを見て、「自分も5mmHg下がる」と考えない方がよいでしょう。
家庭でビーツを取り入れるなら無理なく料理の一品に
健康のためにビーツを食べるなら、特別な方法にこだわる必要はありません。
普段の食事では、
- ゆでたビーツをサラダに加える
- 蒸して付け合わせにする
- スープにする
- 無糖タイプのビーツジュースを利用する
といった方法があります。
ただし、血圧についての研究結果をそのまま期待するなら、研究の多くが硝酸塩量を管理したビーツジュースを使っていることは覚えておきたいポイントです。
「ビーツをたくさん食べれば、その分だけ血圧が下がる」というものではありません。
まとめ
「ズボラに健康!カラダにイイワケ」で血圧対策として取り上げられるビーツは、硝酸塩を含むことから血圧との関係が研究されている野菜です。
ポイントをまとめると、
- ビーツの硝酸塩から一酸化窒素が作られ、血管拡張に関係する
- 血圧研究はビーツそのものよりビーツジュースが中心
- 高血圧患者の研究では上の血圧が平均約5mmHg低くなったメタ解析がある
- 一方で効果が確認されなかった研究もある
- 「何mL飲めば必ず下がる」とは言えない
- 番組の「食後の〇〇ジュース」がビーツジュースかは公式確認できていない
- 降圧薬の代わりにはならない
ということになります。
ビーツは「飲めば血圧が下がる魔法のジュース」ではありません。
ただ、硝酸塩と血圧については複数の臨床試験が行われており、特に収縮期血圧を下げる可能性は興味深い結果が出ています。日々の食事に取り入れやすい野菜の一つとして考えるのがよさそうです。
参考リンク
- テレビ東京「ズボラに健康!カラダにイイワケ」公式リリース
- PubMed「Effects of beetroot juice on blood pressure in hypertension」
- PubMed「Nitrate Derived From Beetroot Juice Lowers Blood Pressure in Patients With Arterial Hypertension」
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