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宇都宮方式の補聴器リハビリは3か月の調整と訓練|あさイチの難聴・耳鳴り対策

健康

補聴器が「うるさいだけ」になる理由と、脳を音に慣らすリハビリ

「補聴器をつけても聞き取りにくい」「周囲の音ばかり大きく感じる」。そんな悩みに対する方法として注目されるのが、宇都宮方式聴覚リハビリテーションです。

2026年9月14日放送のNHK「あさイチ」では、難聴・耳鳴りなど「聞こえ」の悩みを特集。番組には慶應義塾大学名誉教授の小川郁さんに加え、宇都宮方式聴覚リハビリテーションを推進する新田清一さんも出演予定で、「補聴器リハビリ」が取り上げられます。

ポイントは、補聴器を単に購入して装着するのではなく、約3か月かけて音量の調整と装用を繰り返し、脳を補聴器から入ってくる音に慣らしていくことです。

この記事でわかること

  • 宇都宮方式の補聴器リハビリの仕組み
  • 約3か月のトレーニングで何をするのか
  • 補聴器を最初に「うるさい」と感じる理由
  • 補聴器選びで最初に相談したい場所

宇都宮方式は3か月かけて補聴器の音に脳を慣らす

公式動画:「聞こえる」プロジェクト「補聴器を失敗したくない人に見てほしいアニメ」

宇都宮方式聴覚リハビリテーションは、済生会宇都宮病院の耳鼻咽喉科主任診療科長・聴覚センター長を務める新田清一さんらが取り組んできた補聴器診療です。

大きな特徴は、補聴器を「つければすぐ快適に聞こえる機械」と考えないこと。まず検査を行い、本人の聴力や生活に合わせた音量から始め、定期的な調整と装用を続けます。

公式解説では、最初は聞き取りに必要な目標音量の7割程度からスタートし、定期的に調整しながら徐々に音量を上げ、約3か月かけて十分な音量でも補聴器を使い続けられる状態を目指すとされています。

つまり「高性能な補聴器を買えば終了」ではありません。

検査 → 補聴器の調整 → 日常生活で装用 → 再び検査・調整

という過程そのものがリハビリになります。

補聴器をつけると「うるさい」と感じるのはなぜか

長期間にわたって聞こえにくい状態が続くと、耳から脳へ入ってくる音の刺激そのものが少なくなります。

「聞こえる」プロジェクトでは、この状態を分かりやすく「難聴の脳」と表現しています。加齢などで聴力が少しずつ低下すると、本人が気づかないうちに脳も音の少ない環境に慣れてしまうという考え方です。

そこへ補聴器で日常の音を戻すと、今まで聞こえていなかった生活音まで一気に入ってきます。

そのため、

  • 周囲の音がうるさい
  • 音が響いてつらい
  • 余計な音まで聞こえる
  • 補聴器を外したくなる

と感じるケースがあります。

これは必ずしも「補聴器が合っていないから」とは限りません。脳がまだ豊富な音のある状態に慣れていない可能性があるため、適切な検査と調整を続けながら慣らしていくのが宇都宮方式の考え方です。

最初の1週間が特につらいとされる

宇都宮方式では、トレーニングの中でも最初の1週間が特につらい時期とされています。

公式解説によると、開始直後は音が豊富な環境を不快に感じやすく、補聴器を頻繁につけたり外したりすると、脳がどちらの音環境に適応すればよいのか定まりにくくなるとされています。

そのため常時装用を基本としながら、徐々に音へ慣れていきます。一方、耳が痛い、装用を続けられないほどつらいといった場合には、無理をせず中断して医療機関などへ相談するよう公式サイトでも案内されています。

ここが、単に「我慢してつけ続ける」という話とは大きく違うところです。

本人の状態を確認しながら、補聴器をつけた状態で聞こえを測定し、音量が足りないのか、大きすぎるのかを調べて調整することが重要になります。言葉がどれだけ聞き取れるようになったかについても確認します。

「9割以上改善」は誰にでも当てはまる数字ではない

「あさイチ」の番組予告では「9割以上の人が補聴器で聞こえが改善!補聴器リハビリ」と紹介されています。

宇都宮方式を取り入れた補聴器外来については、学術報告もあります。

2020年に日本耳鼻咽喉科学会会報へ掲載された報告では、宇都宮方式を導入した補聴器外来について、補聴器装用閾値の測定による適合率が97.6%だったと報告されています。

ただし、この数字を「補聴器を使えば誰でも97.6%の確率で治る」という意味に受け取るのは適切ではありません。

難聴の原因や程度、言葉を聞き取る能力、年齢、耳の状態などは人によって異なります。宇都宮方式も、医療機関で評価を受けながら進める聴覚リハビリテーションです。

番組で紹介される「9割以上」という数字も、すべての難聴者に同じ結果を保証するものではなく、適切な診断・調整・訓練を組み合わせる重要性を示すものとして見る必要があります。

補聴器は価格より「適切に調整されているか」が重要

慶應義塾大学病院聴覚センターも、補聴器は単に購入して装用するだけでは十分な効果を得られない場合があると説明しています。

聴力に合わない機種だったり、必要な音が十分に入っていなかったりすると、補聴器本来の効果を引き出せません。

そのため、

  • 適切な診断
  • 補聴器の選択
  • 装用開始後の調整
  • 聴覚検査による評価

を繰り返すことが重要とされています。

高価格な機種を選べば必ず聞こえやすくなる、という単純な話ではないわけです。

宇都宮方式でも、補聴器そのものより調整・検査・トレーニングをセットで考えることを重視しています。

補聴器を考えたら、まず耳鼻咽喉科で原因を確認する

「最近、聞き返すことが増えたから補聴器を買ってみよう」と、すぐ販売店へ行く前に確認しておきたいことがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、まず耳の状態を診察し、聴力検査によって難聴の種類を調べることを案内しています。

難聴には治療できるものもあるためです。

学会が認定する補聴器相談医は、耳の診察や聴力検査を行ったうえで補聴器が必要かを判断し、必要な場合には販売店と連携して機種選びや調整にも関わります。

すでに補聴器を持っているのに「うるさいだけ」「会話が聞き取りにくい」という場合も、単に買い替える前に、現在の補聴器が自分の聴力に適切に調整されているか確認することが大切です。

まとめ

「あさイチ」で紹介される補聴器リハビリの大きなポイントは、補聴器を買うことがゴールではないということです。

宇都宮方式聴覚リハビリテーションでは、検査をしたうえで補聴器を装用し、最初は目標の7割程度の音量から始めます。そして定期的に調整しながら、約3か月かけて十分な音量に脳を慣らしていきます。

これまで補聴器を試して「うるさい」「役に立たなかった」と諦めていた人にとっても、「補聴器そのもの」だけでなく、調整方法やリハビリまで含めて見直すという選択肢があることになります。

一方、聞こえにくさの原因は人によって違います。自己判断で音量を上げたり、市販の機器だけで対応したりするのではなく、まず耳鼻咽喉科などで聴力や耳の状態を確認することが出発点です。

参考リンク

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