都市モデラー入交優、2年前のジオラマが「渋谷の街」へ進化
2026年10月4日放送のテレビ東京『家、ついて行ってイイですか?』では、鉄道模型イベントで出会ったジオラマ職人を再訪。2025年2月の放送で自宅に新宿や渋谷のジオラマを並べていた人物が、約2年を経て巨大な「渋谷」の制作へ進んだ姿が取り上げられます。
その都市ジオラマを手掛けているのが、Cityscape Studioを主宰し「都市モデラーMAJIRI」として活動する入交優(いりまじり・ゆう)さんです。
2026年6月には東京・有明のスモールワールズTOKYOに、渋谷駅周辺を1/80スケールで再現した新エリアがオープン。地下5階から地上47階までの立体構造、約5000体の人物、約3000個のLEDを組み込んだ高層ビルなど、実際の渋谷を歩いているだけでは見ることのできない「街の断面」を作品にしています。
この記事でわかること
- 入交優さんの経歴とジオラマを始めたきっかけ
- 大学生からプロの都市モデラーになった転機
- 2026年完成「渋谷ジオラマ」の規模と見どころ
- スモールワールズTOKYOの場所・料金・営業時間
入交優は1998年生まれ、三重県出身の都市モデラー
公式動画:Cityscape Studio公式YouTube
入交優さんは1998年生まれ、三重県出身のジオラマ作家です。「都市モデラーMAJIRI」の名前でも活動し、都市の駅、線路、ビル、道路、人の流れまで含めた大規模な街のジオラマを制作しています。
現在運営する「Cityscape Studio」では、新宿駅、新橋、東京駅、代々木の踏切、渋谷など、実在する都市空間を次々と作品化しています。単に鉄道模型を走らせるための背景を作るのではなく、「街そのもの」を主役にしていることが大きな特徴です。
入交さんがジオラマに興味を持った原点は、小学生時代にNゲージの鉄道模型を走らせるため田園風景を作ったことでした。
鉄道から始まった興味は、やがて駅や建物、道路、都市全体へ広がっていきます。
和歌山大学時代に「渋谷スクランブル交差点」制作へ
大学は和歌山大学へ進学し、土木や環境分野を学びました。
大学で都市や構造について学ぶ一方、模型制作そのものは独学で続けています。
学生時代に大きな転機となったのが、東京出身の友人から言われた「次は渋谷を作ってほしい」という一言でした。
入交さんは当時、東京へ何度も足を運べる状況ではなかったため、Googleストリートビューなどを使って街の形を確認し、友人にも写真撮影を頼みながら渋谷スクランブル交差点の再現を進めました。
2020年には、和歌山大学の学生だった入交さんが1/150スケールで渋谷スクランブル交差点を作る取り組みが紹介されています。
高校生のころから「街を俯瞰して見る面白さ」にひかれ、手元で都市を眺められるジオラマの魅力を追い続けていました。
この渋谷作品への反響が、その後の活動へつながります。
卒業後はスモールワールズへ、8カ月後に独立
大学卒業後、入交さんは東京・有明のミニチュアミュージアム「スモールワールズTOKYO」に入社しました。
担当したのは、模型の見た目だけではありません。
- ボタンを押すと動く仕掛け
- プログラム制御
- 機構設計
- ミニチュア内部のギミック
- 機械設計に近い制作
など、展示物を「動かす」技術も経験しています。
約8カ月勤務した後に独立。
2022年からプロのジオラマ作家として本格的に活動し、Cityscape Studioとして都市模型の制作やYouTubeでの発信を続けるようになりました。
独立後もスモールワールズとの関係は続き、そのつながりが2026年の巨大な「渋谷エリア」へ結びつきます。
『家、ついて行ってイイですか?』では25歳のジオラマYouTuberとして登場
2025年2月16日放送の『家、ついて行ってイイですか?』では、東京ビッグサイトの「国際鉄道模型コンベンション」で出会った25歳の男性として、都市ジオラマを制作する生活が紹介されました。
当時すでに企業から鉄道模型制作を依頼されるYouTuberとして活動しており、自宅には渋谷や新宿などの作品が並んでいました。制作途中だったジオラマは番組スタジオにも運ばれ、中川家・礼二さんがその出来栄えに驚く展開となっています。
そして2026年10月4日の放送では、その取材から約2年後を追跡。
番組が強調しているのが、「渋谷のジオラマがとんでもない進化を遂げていた」という変化です。
その間に入交さんの渋谷は、自宅で作る作品の規模から、多くの来場者が見られる常設展示へと大きく変わりました。
2026年6月、1/80の巨大「渋谷エリア」が完成
2026年6月11日、スモールワールズTOKYOに新しい常設展示「渋谷エリア」がオープンしました。
製作者として名前が記されているのが入交優さんです。
再現されたのは、スクランブル交差点だけではありません。
- 渋谷駅
- ハチ公前広場
- センター街
- SHIBUYA109周辺
- 渋谷スクランブルスクエア
- 地下鉄ホーム
- 地下コンコース
- 渋谷ストリーム方面
など、巨大な駅を中心に広がる街そのものが作品になっています。
基本スケールは1/80。
高層ビルから地下鉄まで同時に視界へ入るため、実際に渋谷へ行っても絶対に見ることのできない角度から街全体を見渡せます。
地下5階から地上47階までを1つの模型にした
特に大きな特徴が、地上だけではなく地下まで作ったことです。
渋谷駅はJR、東京メトロ、東急などが立体的に重なり、「迷宮」と呼ばれるほど複雑です。
入交さんのジオラマでは、その構造を地下5階から地上47階まで一体化しました。
地下鉄ホームを見ながら、その上にある道路や駅、さらに高層ビルまで見渡せます。
横に広げる一般的な街模型ではなく、「縦に発展した渋谷」を断面のように表現した作品です。
これには、大学で土木・環境系を学び、さらにミニチュア施設で機構や設計を経験してきた入交さんの技術が生かされています。
3日間渋谷を歩いて撮影、約6カ月で35棟を制作
大型ジオラマの制作では、まず現実の渋谷を記録するところから始まりました。
入交さんは360度カメラを持って約3日間街を歩き、建物だけでなく、路地や地下への出入口まで撮影しています。
その映像から3Dデータを作り、建物をパーツへ分解して設計。2026年1月から本格制作を始め、約6カ月で完成させました。
制作した建物は約35棟。
ただ正確に縮小するだけではなく、「見た瞬間に渋谷だと分かる」よう、場所によって縮尺や位置関係を調整しています。
実物をコピーするのではなく、渋谷らしさを凝縮して見せることが狙いです。
3000個のLEDで高層ビルの窓まで光らせる
渋谷ジオラマでは約10分ごとに昼と夜が切り替わります。
夜になると街灯、信号、車、高層ビルなどに明かりがともり、昼とはまったく異なる風景になります。
中でも圧巻なのが渋谷スクランブルスクエア東棟です。
制作に約1カ月を要し、ビルだけで約3000個のLEDを使用。一つひとつの色や明るさを変えられる構造にしています。
巨大ビルの内部まで細かな光が入り、実際の東京の夜景を小さな世界へ落とし込んでいます。
約5000体の人間が「渋谷の日常」を作る
建物以上に作品へ生命感を与えているのが、街中に置かれた約5000体の人物です。
当初は1万体を置く計画でした。
しかし実際に並べると人が多すぎ、せっかく作った駅や建物が見えにくくなったため、約5000体まで減らしています。
人物も同じポーズを大量に並べているわけではありません。
人間を3Dスキャンしたデータを使い、フルカラー3Dプリンターで制作しています。
街中には、観光客、買い物客、配達員、サポーター、路上ライブをする人など、現代の渋谷を思わせる小さな物語が散りばめられています。
入交さんの作品が単なる「精密模型」に見えない理由は、こうした生活まで作り込んでいるところにあります。
昔の渋谷と現在の渋谷が同じ場所にある
さらに興味深いのが、2026年現在の渋谷をそのまま作っているわけではない点です。
ジオラマには、
- 再開発前のJR渋谷駅
- ハチ公ファミリーのレリーフ
- 東急初代5000系「アオガエル」
- 2024年に閉店した三千里薬局
など、すでになくなった風景も入れられています。
その一方で、新しいJR渋谷駅新南改札なども再現。
「今の渋谷」と「多くの人が記憶している渋谷」が同居しています。
都市は再開発によって常に姿を変えます。
入交さんのジオラマは、建物を小さくするだけでなく、消えていく街の記憶まで立体的に残す作品になっています。
スモールワールズTOKYOで渋谷ジオラマを見られる
入交優さんが制作した「渋谷エリア」は、東京・有明のスモールワールズTOKYOで常設展示されています。
2026年10月時点の利用情報は次の通りです。
- 施設名:スモールワールズTOKYO
- 住所:東京都江東区有明1丁目3-33 有明物流センター
- 最寄り駅:ゆりかもめ「有明テニスの森駅」徒歩約3分
- りんかい線「国際展示場駅」徒歩約9分
- 営業時間:9:00~19:00
- 最終入場:18:00
- 大人:3,200円
- 12~17歳:2,100円
- 4~11歳:1,700円
- 3歳以下:無料
10月4日も9:00~19:00の営業予定です。営業時間は日によって変更される場合があるため、来館前に公式営業カレンダーを確認すると確実です。
まとめ
入交優さんは、小学生のころに鉄道模型のための風景を作ったことからジオラマを始め、和歌山大学在学中には独学で渋谷スクランブル交差点の制作へ挑みました。
大学卒業後はスモールワールズTOKYOで機構設計やプログラム制御を経験し、約8カ月後に独立。都市そのものを作品にする「都市モデラーMAJIRI」として活動を広げています。
2025年の『家、ついて行ってイイですか?』では、25歳のジオラマYouTuberとして新宿や渋谷を作る姿が紹介されました。
そこから時を経て完成した2026年の「渋谷エリア」は、1/80スケール、地下5階から地上47階、約5000体の人物、約3000個のLEDという規模にまで発展しています。
10月4日の放送で注目したいのは、精密さだけではありません。
自宅で都市を小さく作っていた青年が、実際に多くの人が訪れるミュージアムの中へ「もう1つの渋谷」を作るまでになった、その仕事の変化そのものです。
参考リンク
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