築120年超「水回りが全部外にある家」を京町家の匠が再生
2026年10月4日放送の『大改造!!劇的ビフォーアフター』では、奈良県大和郡山市にある築120年を超える古民家を大改造します。
風呂、洗面所、洗濯場がすべて屋外。さらに雨漏りや寒さ、耐震性、アライグマによる被害まで抱える家で暮らしているのは80代の母と長男です。
この難しい改修を任されたのが、「京町家の粋人」と呼ばれる一級建築士・坂田基禎(さかた もとのり)さん。単に新しくするのではなく、亡くなった父との思い出を残しながら、将来は親子2世代が安心して一緒に暮らせる住まいへ再生します。
この記事でわかること
- 坂田基禎さんが手がける「水回りが全部外にある家」の問題点
- 築120年超の古民家をどのような考え方で再生するのか
- 「京町家の粋人」坂田基禎さんの経歴
- 亡き父の思い出を残す今回のリフォームの特徴
水回りは風呂・洗面・洗濯場まですべて屋外

出典:ABCマガジン「大改造!!劇的ビフォーアフター」10月4日放送回紹介
今回改修されるY家は、奈良県大和郡山市に建つ築120年以上の木造住宅です。もともとは米農家を営んでいた家で、長い年月を家族とともに過ごしてきました。
大きな問題は、現在の住宅では考えにくいほど生活に必要な水回りが家の外へ集中していることです。
- 風呂場が屋外
- 洗面所が屋外
- 洗濯場も屋外
- 室内と屋外の移動に段差がある
- 家全体の寒さが厳しい
- 雨漏りが発生
- アライグマによる被害がある
- 建物の耐震性にも不安がある
特に深刻なのが、高齢の母にとって毎日の生活動線そのものが大きな負担になっている点です。
母は膝に痛みを抱え、可動式のワゴンを歩行器のように使いながら生活しています。それでも洗顔や洗濯、入浴のたびに外へ出なければなりません。
さらに奈良盆地の冬の冷え込みの中、ガラス戸1枚を隔てただけの室内は非常に寒く、靴下の中へカイロを入れて過ごすほどでした。
目指すのは母だけでなく家族が再び集まれる二世代住宅
この家で大切なのは、「高齢者向けの家へ改造する」ということだけではありません。
2年前に父が亡くなった後、母を心配した長男が実家で一緒に暮らし始めました。一方、長男の妻と飼い犬2匹は現在も近隣の持ち家で生活しています。
これから目指しているのは、母と長男夫婦が安心して二世代同居できる家。そして週末には独立した子どもたちの家族も帰ってこられる、家族の拠点となる住まいです。
そのため今回のリフォームでは、単に水回りを室内へ移動させるだけでは足りません。
高齢の母が無理なく移動できる生活動線、寒さへの対応、古い建物の安全性、親世帯と子世帯が暮らすための空間をまとめて考える必要があります。
しかも築120年以上という年月を重ねた家には、現代住宅とは違う構造があります。実際に解体作業を始めるとベニヤ板の奥から昔ながらの強固な土壁も現れました。
古い家だからすべて取り壊すのではなく、残すものと改めるものを見極めることが大きなテーマになっています。
匠・坂田基禎は「京町家の粋人」と呼ばれる一級建築士
今回の匠、坂田基禎さんは1954年に京都市で生まれました。
京都府立山城高等学校を卒業し、1979年に福井工業大学建設工学科建築専攻を卒業。その後、AZ Institute環境計画研究所を経て、1985年に坂田基禎建築研究所を開設しました。
現在は坂田基禎建築研究所の代表を務める一級建築士です。
『大改造!!劇的ビフォーアフター』では「京町家の粋人」という異名で知られています。
坂田さん自身が京都の町家で生まれ育ったことも、その設計思想につながっています。
京町家は外部の自然を完全に遮断するのではなく、光や風、庭、季節の変化などを住宅の内部へ取り込みながら暮らしてきました。
坂田さんはそうした伝統を大切にしながら、現代の生活に必要な機能性と京都らしい風情の両方を成立させる住宅を手がけてきました。
「作品」ではなく住む家族を中心に考える坂田基禎の設計
坂田さんの住宅に対する考え方を知ると、今回のY家を任された理由も見えてきます。
坂田基禎建築研究所では、建築家自身の作品を施主へ押しつけることを目指していません。
住宅には、その人の人生や生活観、これから実現したい夢が表れます。そこで暮らす家族が安心して休み、家族のつながりを育て、人を温かく迎えられる場所になってこそ良い住まいになるという考えを掲げています。
今回の家もまさにその考え方が重要になる物件です。
最新設備を入れて古い部分を隠せばいいのではありません。
母にとってこの家は、長年暮らした場所であり、亡くなった夫との記憶が残る場所でもあります。
安全性と快適性を高めながら、家族にとって大切なものを失わせないことが必要になります。
亡き父との思い出を消さず新しい家へ受け継ぐ
今回の改修でも、坂田さんが特に大切にしているのが亡き父の存在です。
母と父はこの自宅で結婚式を挙げ、その後も長年この家で暮らしてきました。
父が亡くなったからといって、古いものをすべて撤去してしまえば、その思い出まで消えてしまいます。
そこで坂田さんは、庭の池や家に残されている思い出の品々を、新しい住まいへ生かす方法を考えました。
庭の池を泳ぐ鯉まで自ら撮影しており、その写真も新しい住まいをつくるアイデアへつなげています。
「新築のようにきれいにする」のではなく、古い家で積み重ねられてきた時間を次の暮らしへ受け渡す。
京町家を数多く見てきた坂田さんらしい古民家再生の考え方が表れている部分です。
魔裟斗も参加、約4トンのコンクリートを運ぶ大工事に
今回の工事には「ビフォーアフター工務店」の魔裟斗さんも参加します。
解体作業では、ベニヤ板の向こうから現れた頑丈な土壁に5kgのハンマーで挑戦。さらに土間の工事では、元鉄筋工という経験も生かして作業を進めます。
コンクリートは両手のバケツで約40kg。総重量は約4トンに及び、100往復以上して運ぶ大掛かりな作業となりました。
築120年以上の古民家を現代の生活へ合わせるには、見た目を整えるだけでは済みません。
古い材料や構造と向き合いながら、これから何十年と安心して暮らせる住まいへ変えていく地道な工程があります。
今回のリフォームは、そうした古民家再生の難しさそのものも見どころになっています。
坂田基禎は過去にも難しい古民家を再生
坂田さんは『大改造!!劇的ビフォーアフター』で、これまでにも数々の難しい住宅を担当してきました。
2009年には築80年の京町家「逃げ遅れる家」、2010年には同じく築80年を超える京町家「縁側が脱衣所の家」などを手がけています。
2012年の「とんでもなく傾いた家」では、建具も階段も大きく傾き、いつ倒壊してもおかしくないほどの住宅を担当しました。
坂田さんがそこで重視していたのも、単なる構造の修復だけではありません。
本来、家は人が安心して休める場所であるという考え方です。
古い住宅の弱点を現代的に改善しながら、その家が持っていた雰囲気や住む人の記憶を生かす。
今回の大和郡山市の家でも、その経験が存分に生かされています。
まとめ
奈良県大和郡山市の「水回りが全部外にある家」は、築120年以上の歴史を持つ古民家です。
風呂・洗面・洗濯場がすべて屋外にあり、高齢の母にとって日々の移動だけでも大きな負担となっていました。寒さ、段差、雨漏り、アライグマ被害、耐震性など、住宅全体にも複数の問題を抱えています。
その再生を任されたのが、一級建築士で「京町家の粋人」と呼ばれる坂田基禎さんです。
坂田さんが目指すのは、古い家を新品のように作り替えることではありません。
亡き父との思い出、庭の池、家に残された品々などを受け継ぎながら、母と長男夫婦が安心して暮らし、さらに子どもや孫たちも帰ってこられる住まいへつなげること。
築120年以上を生きてきた家を「過去の家」で終わらせず、家族の次の世代まで集まれる場所へ変えていくところに、今回の『大改造!!劇的ビフォーアフター』最大の見どころがあります。
参考リンク
気になる生活ナビをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


コメント