環状七号線地下広域調節池は直径12.5m・総延長約13.1kmへ!豪雨をためる巨大トンネル【ホンマでっか!?TV】
カテゴリー:暮らし・防災
東京の地下で進む「もう1本の川」のような巨大豪雨対策
2026年10月7日放送の『ホンマでっか!?TV』では、近年の豪雨から街を守るさまざまな研究や技術が取り上げられます。
なかでもスケールが大きいのが、東京都内の環状七号線などの地下で整備が進む巨大トンネルです。
その中心となっているのが東京都の「環状七号線地下広域調節池」。現在ある2つの地下調節池を新たなトンネルでつなぎ、複数の河川で洪水を受け止められる巨大な地下治水ネットワークへ拡張する計画です。
この記事でわかること
- 環状七号線地下広域調節池の大きさと役割
- 完成すると総延長約13.1kmになる仕組み
- 約143万立方メートルもの洪水をためられる理由
- さらに東京湾までつなぐ「地下河川」構想
環状七号線地下広域調節池は内径12.5m・新設区間約5.4km
公式動画:東京都建設局「巨大トンネル 神田川・環状七号線地下調節池」
環状七号線地下広域調節池は、増水した河川の水を地下へ取り込み、一時的にためるための洪水対策施設です。
現在整備している連結区間は、内径12.5m、延長約5.4km。環状七号線と目白通りの地下を通り、すでにある「神田川・環状七号線地下調節池」と「白子川地下調節池」を結びます。
直径12.5mという数字だけでは想像しにくいですが、一般的な道路トンネルと比べても非常に大きな空間です。
しかも目的は車や鉄道を通すことではありません。普段は空洞になっている巨大トンネルへ、豪雨時に川からあふれそうになった水を流し込みます。
生活排水を流す通常の下水道とは役割が異なり、東京都が「トンネル式調節池」として整備している治水施設です。
完成すると総延長約13.1km・約143万立方メートルを貯留
新しく造られている約5.4kmのトンネルだけで完結する施設ではありません。
すでに整備されている施設と接続すると、巨大な1つの地下ネットワークになります。
- 白子川地下調節池:約3.2km、貯留量約21.2万立方メートル
- 新たな連結区間:約5.4km、貯留量約68万立方メートル
- 神田川・環状七号線地下調節池:約4.5km、貯留量約54万立方メートル
- 合計:総延長約13.1km、貯留量約143万立方メートル
東京都は、完成後に神田川流域、石神井川流域、白子川流域を広域的につなぐことで、それぞれの地下調節池の空き容量を融通できるようにする計画です。
ここが大きなポイントです。
ある地域だけに局地的な豪雨が集中した場合でも、その流域の調節池だけで受け止めるのではなく、トンネルでつながった別の区間の空き容量まで活用できるようになります。
東京都は、この仕組みによって時間75mm規模の降雨への治水安全度を高めるほか、局地的な時間100mm規模の集中豪雨にも効果を発揮するとしています。
なぜ東京では川を広げず地下に巨大トンネルを造るのか
都市部の豪雨対策が難しい理由のひとつが、川の周囲に住宅やビル、道路などが密集していることです。
河川を広げれば大量の水を流せるようになりますが、東京の市街地では川幅を大幅に広げるための土地を確保することが簡単ではありません。
そこで使われてきたのが道路や公園などの地下空間です。
洪水時に川の水位が上がると、水の一部を地下の調節池へ逃がします。下流へ一気に流れる水量を減らし、川から水があふれる危険を抑える仕組みです。
東京都では2025年10月末までに14河川30か所、合計約273万立方メートルの調節池を稼働させています。環状七号線地下広域調節池も、こうした都市型治水をさらに広域化する施設です。
すでに環七地下では54万立方メートルの調節池が稼働
今回ゼロから巨大施設を造っているわけではありません。
神田川側では「神田川・環状七号線地下調節池」がすでに稼働しています。
環状七号線の地下約45mに位置し、直径12.5m、長さ約4.5km。神田川、善福寺川、妙正寺川から洪水を取り込み、約54万立方メートルを貯留できます。
普段はほぼ水がない巨大な空間ですが、大雨によって河川の水位が上がると取水施設から洪水を地下へ導きます。
雨が収まり河川の水位が下がれば、ためた水を排出し、次の豪雨に備えて再び空の状態へ戻します。
つまり地下に常に川が流れているわけではなく、豪雨の時だけ巨大な「地下の水がめ」として働く施設です。
2つの巨大調節池をつなぐことで豪雨への対応力を高める
これまでの地下調節池は、それぞれの流域ごとに洪水を受け止める施設として整備されてきました。
しかし局地的な豪雨では、一方の調節池が満水に近づいているのに、別の流域ではまだ容量が残っているという状況も起こり得ます。
そこで神田川側と白子川側を約5.4kmの新しいトンネルで連結します。
複数の河川を地下で結び、空いている貯留容量を有効に使う「相互融通」が環状七号線地下広域調節池の大きな特徴です。
道路の下に巨大な空間を造るだけではなく、異なる河川流域をひとつの治水システムとして扱う計画になっています。
工事は現在も続き事業期間は2031年度まで
環状七号線地下広域調節池は、2026年8月時点でも東京都が「整備中」としている施設です。
東京都の事業一覧では、貯留量約68.1万立方メートルの地下トンネル式調節池として掲載され、事業期間は2031年度まで、総事業費は1351億円とされています。
石神井川区間では巨大なシールドマシンを使って地下を掘削。
2025年12月には、シールド機のビット交換などを終えて掘進を再開したことが東京都から発表されています。その時点で発進地点から約1.4kmまでトンネルが整備されていました。
地上では多くの人が毎日環七を走っていますが、そのさらに数十メートル下で巨大な治水施設の建設が進められています。
将来は東京湾までつながる「地下河川」構想へ
さらに興味深いのが、この巨大トンネルの先にある計画です。
東京都は環状七号線地下広域調節池などをさらに連結し、最終的に東京湾までつなぐ「地下河川」の事業化に向けた検討を進めています。
現在の地下調節池は、基本的に洪水を一時的に「ためる」施設です。
これに対して地下河川は、複数の河川から取り込んだ洪水を地下トンネルで東京湾まで運び、「流す」機能を持たせる構想です。
調節池が満水になった後でも洪水を取り込み続けられるため、東京都は線状降水帯のように数時間続く豪雨への対策としても効果が期待できるとしています。
環七地下で進んでいる工事は、単独の巨大トンネルを造るだけの計画ではありません。
将来的には東京の地下に、複数の川を横断して東京湾へつながる新しい水のルートをつくるという、さらに大きな治水構想につながっています。
実際の巨大トンネル内部はオンラインでも見られる
神田川・環状七号線地下調節池の内部は、東京都建設局の映像や360°バーチャルツアーで見ることができます。
直径12.5mの円形トンネルが暗闇の中を延びる姿は、地上からは想像しにくい規模です。
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