AICHI H2で始まった愛知の水素タクシー、名古屋の街を走る新しい移動の形
2026年10月8日放送のテレビ愛知「クルマとミライ」では、愛知県が進める「AICHI H2」と、水素を燃料に走るFCタクシーが紹介されます。
2026年7月に愛知県庁前で披露されたトヨタ・クラウンFCEVを皮切りに、名古屋ではすでに水素タクシーが営業運行を開始。JR名古屋駅には期間限定の専用乗り場も設けられ、特別な実験車ではなく、一般客が実際に乗れるタクシーとして水素の社会実装が始まっています。
この記事でわかること
- AICHI H2と水素タクシーの仕組み
- 名古屋で水素タクシーに乗る方法と料金
- 愛知県が水素タクシーを増やす理由
- 2030年度250台を目指す水素社会への計画
AICHI H2は水素を使う社会を実際の街で始めるプロジェクト

「AICHI H2」は、愛知県がFCタクシーの導入を進める際に掲げている水素利用の取り組みです。
東京都が展開する「TOKYO H2」と連携し、愛知県でも水素を実際に使う機会を増やしていこうというもので、2026年からその象徴的な存在になっているのが水素タクシーです。
2026年7月24日には、愛知県庁本庁舎前でFCタクシーのお披露目式が開催されました。
参加したのは、
- 宝交通
- つばめタクシーグループ
- 名鉄タクシーグループ
- トヨタ自動車
など。
県庁前にはクラウンFCEVが並び、通常の乗用車だけでなく「毎日長い距離を走るタクシー」で水素を使う取り組みが本格的に動き始めました。
「クルマとミライ」では、このAICHI H2と水素タクシーをテーマとして取り上げます。
水素タクシーはJR名古屋駅から実際に乗車できる
水素タクシーは展示用ではありません。
2026年10月8日時点では一般客も実際に利用できます。
特に利用しやすいのが、JR名古屋駅広小路口に設けられた「水素タクシーのりば」です。
- 場所:JR名古屋駅広小路口
- 設置期間:2026年9月7日~10月24日
- 利用時間:10:00~16:00
- 利用者:一般客も利用可能
- 運賃:通常のタクシーと同等
専用乗り場は、愛知・名古屋2026アジア競技大会・アジアパラ競技大会で国内外から多くの人が訪れる時期に合わせて設けられました。
乗り入れる車両として愛知県が発表しているのは、
- 宝交通:クラウンFCEV 32台
- つばめタクシーグループ:クラウンFCEV 14台
- 名古屋MK:NEXO 10台
です。
専用乗り場だけでも計56台規模の水素タクシーが対象になっています。
水素タクシーは電話やホテルからも配車できる
名古屋駅へ行かなくても、水素タクシーを指定して配車してもらう方法があります。
愛知県は2026年9月24日、水素タクシーの配車方法を公式に案内しました。
基本的には、
- タクシー会社へ直接電話する
- ホテルのフロントやコンシェルジュから依頼する
という2つの方法があります。
電話予約では「水素タクシーを利用したい」と伝え、利用日時・乗車場所・人数・行き先を指定します。
原則として利用希望日の前日までの予約が案内されています。タクシーの運行状況によっては希望時間に配車できない場合があります。
一方、配車アプリから水素タクシーだけを車種指定する仕組みは、愛知県の2026年9月24日時点の案内では用意されていません。
名古屋市内のホテルでも水素タクシーを案内する取り組みが進められています。
水素タクシーの運賃は基本的に普通のタクシーと同じ
水素で走る最新車両と聞くと、料金も高いイメージがあります。
しかし基本的な運賃体系は、各タクシー会社が設定する通常のタクシー料金と同じです。
例えば宝タクシーが導入したクラウンFCEVは、
- 初乗り料金:500円
- 通常乗車:一般タクシーと同じ料金体系
- 指定配車時のお迎え料金:200円
- 車両指定配車料金:1,000円
と案内されています。
つまり、街中で通常のタクシーとして乗車した場合は、水素車だから高額になるわけではありません。
ただし電話などで「クラウンFCEVを指定して来てもらう」場合には、各社が定める迎車料金や車両指定料金などが追加されることがあります。
クラウンFCEVは水素と酸素から電気を作って走る
FCタクシーの「FC」はFuel Cell、つまり燃料電池を意味します。
一般的なガソリン車がエンジンで燃料を燃焼させるのに対し、燃料電池車は車両へ充填した水素と空気中の酸素を反応させて電気を作り、その電気でモーターを動かします。
走行時にCO2を排出しないことが大きな特徴です。
愛知県のFCタクシーには、トヨタの「クラウンFCEV」などが採用されています。
クラウンFCEVは環境性能だけでなく、静粛性や後部座席の快適性も特徴です。
タクシーは自家用車より1日の走行距離が長いため、同じ1台を水素車へ置き換えた場合でも水素の利用量を増やしやすいという利点があります。
ここが愛知県がタクシーに注目した大きな理由です。
宝タクシーはクラウンFCEVを42台導入
AICHI H2で特に大規模な導入に動いた事業者の一つが、名古屋の宝交通です。
宝交通は2026年7月24日からクラウンFCEVによる水素タクシーの営業を開始しました。
2026年10月までに合計42台を順次導入すると発表しています。
内訳は、
- 宝ハイクラスタクシー:32台
- ハイヤー:10台
です。
同社のクラウンFCEVは「宝ハイクラスタクシー」としても使われています。
クラウンの広い後席や静かな走行性能を生かしながら、水素車を一部の実証実験だけで終わらせず、日常的に客を乗せて走らせるところまで進めているのが特徴です。
愛知県は2030年度までに水素タクシー250台を目指す
今回の水素タクシーは数台だけの実証事業ではありません。
愛知県はFCタクシーを2030年度までに250台導入する目標を掲げています。
2026年7月のお披露目時点では、アジア競技大会に合わせ50台の導入が目標とされていました。
その後、9月の愛知県発表では2026年度に約90台が導入される見込みまで拡大しています。
背景にあるのが、水素を使う車だけ増やしても、水素ステーションなどの供給側が維持できないという課題です。
反対に、水素ステーションだけを建設しても利用する車が少なければ事業として成立しにくくなります。
そこで愛知県は、
「水素を供給する場所」
と
「水素を大量に使う車両」
の両方を増やす方針を進めています。
毎日街を走り続けるタクシーは、その需要を作る役割を担っているわけです。
AICHI H2が目指すのは水素を特別なものにしない社会
これまで水素自動車は、モーターショーや実証実験などで見る「未来の乗り物」という印象もありました。
AICHI H2の水素タクシーで大きく変わったのは、普通の人が普通の移動に使える段階へ入ったことです。
駅でタクシーを待ち、クラウンFCEVへ乗る。
ホテルからタクシーを呼ぶ。
目的地まで通常の運賃体系で移動する。
その車が水素で走っている――。
水素社会を実現するためには、こうした日常の利用を増やすことが重要になります。
愛知はトヨタ自動車をはじめ、自動車産業が集積する地域です。その愛知でタクシーという身近な交通手段から水素利用が広がっていることは、AICHI H2の大きな特徴といえます。
まとめ
2026年10月8日の「クルマとミライ」で紹介される「AICHI H2」は、愛知県が水素の社会実装を進める取り組みです。
中心となっている水素タクシーは、すでに名古屋の街を営業車として走っています。
JR名古屋駅には期間限定の専用乗り場が設けられ、電話やホテルから配車を依頼することも可能。基本運賃も通常のタクシーと同じです。
そして愛知県が掲げる目標は、2030年度までにFCタクシー250台。
県庁前に並んだ数台のクラウンから始まった取り組みが、普段の移動手段へどこまで広がっていくのか。AICHI H2は、水素自動車を「未来の技術」から「今乗れる乗り物」へ変えていく試みです。
参考リンク
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