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俚謡山脈・佐藤雄彦と斉藤匠が木崎音頭を復刻!民謡を爆音DJに変えた2人と八木節のルーツ|ETV特集

ETV特集

俚謡山脈は日本各地の民謡を発掘し、レコードで再び響かせる2人組DJユニット

昔から日本各地に伝わる民謡を、クラブの大音量スピーカーで鳴らし、観客を踊らせる。そんな独特の活動を続けているのが、DJユニット「俚謡山脈(りようさんみゃく)」です。

メンバーは佐藤雄彦(さとう・たけひこ)さんと斉藤匠(さいとう・たくみ)さん。2015年ごろからユニットとして活動し、各地に残る盆踊り唄や仕事唄を集め、レコードの再発や新しい音源の制作に取り組んできました。

2026年10月10日放送のNHK Eテレ『ETV特集「俚謡山脈のDIGの細道 北関東編」』では、2人が群馬・栃木・茨城を巡り、民謡が地域を越えて広がってきた歴史をたどります。

その重要な手がかりが、新潟県で生まれた「新保広大寺節(しんぼこうだいじぶし)」です。江戸時代に広がったこの唄は、群馬の「木崎音頭」、そして「八木節」へとつながっていきました。

2人は2018年に木崎音頭の古い録音を復刻し、現代の音楽を取り入れた新しいバージョンも制作しています。

この記事でわかること

  • 俚謡山脈のメンバー佐藤雄彦さん・斉藤匠さんの活動と経歴

  • 民謡をDJで流し始めたきっかけと2015年ごろの結成

  • 新保広大寺節から木崎音頭・八木節へつながる歴史

  • 俚謡山脈が監修したCD・レコードの収録内容と購入先

俚謡山脈のメンバーは佐藤雄彦と斉藤匠

出典:武蔵野市民文化会館掲載・俚謡山脈のDJ活動写真

俚謡山脈は、日本の民謡を専門に扱う2人組DJユニットです。

  • ユニット名:俚謡山脈(りようさんみゃく)

  • 英語表記:Riyo Mountains

  • メンバー:佐藤雄彦、斉藤匠

  • 活動開始:2015年ごろ

  • 主な活動:民謡の収集、調査、DJ、音源の復刻・監修

  • 主な作品:『俚謡山脈 MIX VOL.1』~『VOL.5』

  • 主なイベント:TOKYO MINYO MASSIVE

一般的なクラブDJは、ヒップホップやハウス、テクノなどの楽曲をつないで観客を楽しませます。

ところが俚謡山脈が選ぶのは、日本各地で受け継がれてきた盆踊り唄や労働歌です。

古いレコードや現地の録音から音源を探し出し、DJプレイで大音量にして流します。

現在のクラブミュージックのように電子的に制作された音楽ではなく、地域で暮らしてきた人々の歌声や太鼓、笛などをそのまま音楽として楽しむことが特徴です。

また、DJとして活動するだけでなく、民謡が生まれた場所を訪ね、保存会の人々と交流し、古い音源を現代へ伝える活動も続けています。

民謡をクラブで流すきっかけはタイの音楽だった

俚謡山脈の活動が始まるきっかけには、タイの地方音楽との出会いがありました。

2人は、タイ東北部のイサーン地方の音楽などを紹介するDJパーティー「Soi48」の周辺で活動していました。

Soi48では、タイをはじめとするアジアの地域音楽が、クラブミュージックとして楽しめる形で紹介されていました。

各地に伝わる音楽を掘り起こし、普段は耳にする機会の少ない楽曲を大音量で流すという活動です。

そのなかで、2人の関心は日本の民謡にも向かいました。

日本にも、地域の祭りや仕事の現場で育まれてきた、力強いリズムを持つ音楽が数多く残されています。

試しにクラブイベントで民謡を流したところ、観客が踊ってくれたことが転機になりました。

民謡は、お年寄りが座って歌うものという印象を持たれることもあります。

しかし、もともと盆踊り唄は人々が踊るための音楽です。仕事唄にも、作業のタイミングを合わせるための強いリズムがあります。

古い音楽を現代風に変えなくても、聴く場所と音量を変えるだけで、踊れる音楽として楽しめる。

この発見から、2人で日本民謡を専門にDJする活動が広がり、2015年ごろに「俚謡山脈」という名前で活動するようになりました。

「俚謡」は、民間に伝わる歌を指す言葉です。

木崎音頭のCDは2,530円、1980年と2018年の録音を収録

俚謡山脈の活動を実際に聴ける作品の1つが、2018年に発表された『木崎音頭』です。

木崎音頭は、群馬県太田市新田木崎町に伝わる盆踊り唄です。

俚謡山脈は音楽レーベル「エム・レコード」と協力し、この民謡を現代へ伝えるための作品を制作しました。

『木崎音頭』CDの商品情報

  • 作品名:木崎音頭

  • アーティスト:木崎音頭保存会/クラーク内藤

  • 監修・解説:俚謡山脈

  • 発売年:2018年

  • CD価格:2,530円

  • 収録曲数:4曲

  • 付属品:20ページのブックレット

  • 販売先:俚謡山脈公式オンラインショップ

収録されているのは、昔の音源と新しい音源です。

収録内容

  1. 木崎音頭(1980年録音)/木崎音頭保存会

  2. 木崎音頭・インスト(1981年録音)/木崎音頭保存会

  3. 木崎音頭(2018年録音)/クラーク内藤

  4. 木崎音頭・インスト(2018年録音)/クラーク内藤

昔の木崎音頭と現代版を、同じ作品の中で聴き比べられます。

2018年版では、ラッパー・トラックメイカーとして活動するクラーク内藤さんと協力しました。

トラップと呼ばれる現代の音楽スタイルを取り入れながら、木崎音頭を新しい形で表現しています。

注目したいのは、古い録音を単に保存するだけではないことです。

昔の演奏をリマスターして伝える一方で、現在の音楽家による新しい演奏も収録しています。

民謡を昔のものとして固定するのではなく、時代を越えて歌い継がれる音楽として紹介する取り組みです。

新保広大寺節は江戸時代に広まった民謡のルーツ

木崎音頭の歴史をたどると、新潟県十日町市に伝わる「新保広大寺節」へとつながります。

新保広大寺節は、十日町市新保地区にある「新保広大寺」に由来する民謡です。

江戸時代に広く歌われ、当時の代表的な流行唄の1つになりました。

十日町市では、新保広大寺節を1984年1月26日に市の無形民俗芸能文化財に指定しています。

この民謡を各地へ伝える役割を担ったのが、「瞽女(ごぜ)」と呼ばれる女性たちでした。

瞽女とは、三味線などを演奏しながら各地を巡った視覚障害のある女性芸能者です。

新潟から東北や関東、甲信地方などを訪れ、土地ごとに歌を伝えていました。

その過程で新保広大寺節は、地域の言葉や節回しを取り入れながら変化していきました。

十日町市の文化財解説では、北へ伝わった歌が津軽じょんがら節などに影響したことや、関東へ伝わった歌が木崎音頭や八木節につながったことが紹介されています。

新保広大寺節は、1つの地域にとどまらず、さまざまな民謡へ姿を変えながら広がっていった歌なのです。

木崎音頭は群馬県の宿場町で生まれた

新保広大寺節から木崎音頭へとつながる舞台になったのは、群馬県太田市の木崎地区です。

江戸時代、木崎は日光例幣使街道の宿場町として栄えました。

日光例幣使街道は、京都から日光東照宮へ向かう使者などが通った歴史ある街道です。

木崎宿には、越後から働きに来た女性たちもいました。

その女性たちによって新保広大寺節が持ち込まれ、地元の人々の間で歌われるうちに、木崎音頭へと変化したと伝えられています。

木崎音頭の特徴の1つが、長い物語を語るように歌う「口説き形式」です。

一定の文字数とリズムを繰り返しながら、物語を長く歌い続けます。

盆踊りは長時間続くため、同じリズムの中で歌詞を変えながら踊り続けられる構造が発達しました。

その音楽には、太鼓の強い響きや独特の残響があります。

俚謡山脈が木崎音頭に注目したのも、古い録音から伝わってくる力強いリズムや、現在のダンスミュージックにも通じる音の魅力があったためです。

八木節は木崎音頭から発展した北関東の代表的な民謡

木崎音頭からさらに発展した民謡が、群馬県や栃木県で親しまれている「八木節」です。

八木節は、関東地方の盆踊りや祭りで広く演奏されています。

特に群馬県桐生市では、地域を代表する民謡として受け継がれてきました。

桐生市の公式解説では、八木節のルーツを新保広大寺節や木崎音頭にたどっています。

明治時代の終わりごろ、木崎と足利市を行き来していた馬方たちによって、歌が栃木県足利市方面へ伝えられました。

そして大正時代の初め、堀込源太さんが節回しなどを工夫し、現在につながる八木節を完成させたと伝えられています。

堀込源太さんの本名は渡辺源太郎です。

八木節は、その後レコードとしても録音され、広く知られる民謡になりました。

新保広大寺節、木崎音頭、八木節という3つの民謡には、次のつながりがあります。

  • 新保広大寺節:新潟県十日町市に由来する流行唄

  • 木崎音頭:新保広大寺節が群馬県の宿場町へ伝わって変化した盆踊り唄

  • 八木節:木崎音頭などを源流として発展した群馬・栃木の民謡

現在は別々の地域を代表する歌ですが、その歴史をたどると人々の移動によって音楽が広がってきたことが分かります。

俚謡山脈が北関東を歩く活動は、民謡の古い録音を聴くだけではなく、その音楽が生まれた土地や人々の暮らしを知ることにもつながっています。

2024年にはNHKのETV特集で東北の民謡を発掘

俚謡山脈は、2024年10月19日にも『ETV特集「俚謡山脈のDIGの細道」』で取り上げられています。

このときの舞台は東北地方でした。

2人は岩手県、秋田県、福島県などを訪ね、それぞれの地域に残る民謡を探しました。

岩手県二戸市では、東北地方に古くから伝わる盆踊り唄「ナニャトヤラ」を訪ねています。

ナニャトヤラは、短い言葉を繰り返しながら歌い踊る民謡です。

古くから伝わる一方で、現在も地域の人々によって演奏や踊りが続けられています。

俚謡山脈は、この民謡をエム・レコードとの共同企画でCD化しました。

2024年に発売された『二戸市ナニャトヤラ保存会』のCDには、2002年、2015年、2023年の録音が収められています。

同じ地域に伝わる民謡でも、録音された時代によって演奏の雰囲気や歌い方が異なります。

それを一緒に聴けるようにした作品です。

2024年の東北から、2026年の北関東へ。

俚謡山脈は、日本各地に残る音楽を地域ごとに掘り起こし、その土地ならではの音を伝える活動を続けています。

古い民謡をレコードとDJで未来へ伝える活動

俚謡山脈の活動は、音楽を収集することだけでは終わりません。

古い録音を持つ人や地域の保存会と協力し、CDやレコードとして再び聴ける形にしています。

これまで監修してきた主な作品には、次のようなものがあります。

  • 『田中重雄宮司/弓神楽』

  • 『境石投げ踊り保存会/境石投げ踊り』

  • 『木崎音頭保存会/クラーク内藤/木崎音頭』

  • 『葛西おしゃらく保存会、他/おしゃらく』

  • 『二戸市ナニャトヤラ保存会/ナニャトヤラ』

また、自ら選曲したMIXシリーズも制作しています。

『俚謡山脈 MIX VOL.1』から『VOL.5』までの作品では、日本各地の民謡をDJの視点で選び、連続して聴ける形にまとめています。

活動は日本国内だけにとどまりません。

ロンドンのインターネットラジオ「NTS LIVE」へ、日本民謡だけで構成したMIXを提供したこともあります。

さらに、東京でのDJパーティー「TOKYO MINYO MASSIVE」を企画し、さまざまなイベントで民謡を流しています。

2025年8月には、武蔵野市民文化会館で行われた民謡クルセイダーズの公演にもDJゲストとして出演しました。

民謡を実際の踊りや祭りの場で楽しむ人々と、クラブで音楽を楽しむ人々。

その両方をつなぐことが、俚謡山脈の特徴です。

実用情報|俚謡山脈のCD・レコードの購入先

俚謡山脈の監修作品やグッズは、公式オンラインショップで販売されています。

公式オンラインショップ

  • 店名:俚謡山脈

  • 販売サイト:俚謡山脈公式オンラインショップ

  • 主な商品:民謡CD、レコード、Tシャツ、手ぬぐいなど

北関東の民謡を聴きたい人向け

  • 商品名:木崎音頭(CD)

  • 価格:2,530円

  • 収録曲:1980年・1981年・2018年の計4曲

  • 木崎音頭CDの商品ページ

過去のETV特集で取り上げられた東北民謡

  • 商品名:二戸市ナニャトヤラ保存会(CD)

  • 価格:2,860円

  • 収録音源:2002年・2015年・2023年

  • 販売先:俚謡山脈公式オンラインショップ

レコード作品や関連商品には、品切れとなっているものもあります。購入時は公式ショップに掲載されている販売状況を確認してください。

まとめ

俚謡山脈は、佐藤雄彦さんと斉藤匠さんによる日本民謡専門のDJユニットです。

タイの地方音楽などを紹介するクラブイベントでの経験から、日本の民謡にも強いリズムがあることに注目し、2015年ごろから2人で活動を始めました。

その後、日本各地を訪ねて民謡を集め、古い録音をCDやレコードとして再発する活動にも取り組んできました。

2018年には群馬県太田市に伝わる木崎音頭を復刻し、クラーク内藤さんによる現代版も制作しました。

木崎音頭の歴史をたどると、新潟県の新保広大寺節や、群馬・栃木を代表する八木節へとつながります。

民謡を古い時代の音楽として残すだけでなく、現在の人々が聴き、踊り、楽しめる音楽として伝え続けている2人です。

参考リンク

  • 武蔵野市民文化会館|俚謡山脈のメンバーと活動プロフィール

  • 俚謡山脈公式オンラインショップ|監修作品とCD・レコード

  • 群馬県桐生市|新保広大寺節・木崎音頭から八木節への歴史

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  • 木崎音頭(CD)

  • 境石投げ踊り(CD)

  • 二戸市ナニャトヤラ保存会(CD)


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