89歳の梅干し職人・長澤誠尚さんが故郷の荒れた山をブランド梅の産地に変えた
2026年10月10日放送の日本テレビ「オー!マイゴッド!」に、富山県氷見市で「氷見稲積梅(ひみいなづみうめ)」を広めてきた長澤誠尚(ながさわ せいしょう)さんが登場します。
長澤さんは89歳。63歳のとき、定年退職後に戻った故郷の荒れ果てた里山を見て、梅の栽培に取り組み始めました。
年金のほとんどを投じて土地を開墾し、仲間とともに毎年500〜700本もの梅の木を植樹。長い年月をかけて、地域の特産品を全国に知られるブランドへと育て上げてきました。
その成果の一つが、2022年2月3日の「氷見稲積梅」の地理的表示(GI)保護制度への登録です。梅として全国初の登録となり、富山県固有の品種が国に認められました。
長澤さんが梅づくりを始めた理由、荒れた里山が梅畑に変わるまでの歩み、昔ながらの梅干しの製法、現在購入できる商品まで紹介します。
この記事でわかること
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長澤誠尚さんが63歳で梅づくりを始めた理由
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毎年500〜700本を植え続けた開墾と事業化の歴史
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全国初のGI登録を受けた氷見稲積梅の特徴
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越中伝統梅干しの購入方法と直売所の場所
長澤誠尚さんは63歳で年金を投じて梅畑を開拓
公式動画:日本テレビ公式「89歳の梅干し作りの神&醤油がいらない神豆腐」
長澤誠尚さんは、富山県氷見市出身。長年、自動車メーカーで営業の仕事に携わり、本社や販売会社で勤務していました。
定年退職後、東京から故郷の氷見市へ戻った長澤さんが目にしたのは、かつての姿を失った里山でした。
手入れされなくなった土地が広がり、地域の風景が変わっていたのです。
この故郷の荒廃が、長澤さんを梅づくりへと向かわせる大きなきっかけになりました。
長澤さんは63歳で、地元に古くから存在する稲積梅を使い、里山をよみがえらせる取り組みを始めました。
当時は年金のほとんどをつぎ込んで土地を開墾。生産組合の初代組合長と力を合わせながら山を切り開き、梅の苗木を育てて植樹を続けました。
取り組みの規模は、毎年500〜700本というものでした。
梅は苗木を植えてすぐに収穫できる作物ではありません。成木となり、本格的に実をつけるまでには7〜8年ほどかかります。
それでも長澤さんは栽培を続け、荒れていた土地を梅の生産地へと変えていきました。
稲積梅は1949年に氷見市で発見された富山県固有の品種
長澤さんが栽培に取り組んだ「稲積梅」は、1949年に富山県氷見市稲積地区で発見された梅です。
人工的な品種改良によって誕生したものではなく、地域の自然環境の中で生まれた品種でした。
県農業試験場による優良母樹の選定を経て、富山県を代表する梅の品種として受け継がれてきました。
稲積梅の大きな特徴は、実の中にある種が小さく、果肉が厚いことです。
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品種:稲積
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産地:富山県氷見市
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発見:1949年
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果実の大きさ:18〜25g程度の中玉が中心
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果肉:種が小さく、果肉が厚い
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特徴:梅干しに加工しても皮が裂けにくい
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味わい:適度な酸味があり、加工後も風味を楽しめる
寒さに強く、雪の多い北陸の気候にも適応していることも特徴です。
また、稲積梅は接ぎ木によって苗木を増やす方法が受け継がれています。
長澤さんたちは、この地元に残っていた品種の苗木を増やし、生産量を拡大していきました。
つまり長澤さんは、稲積梅という品種の発見者ではなく、古くから存在した地域の梅を再び広め、産業として育てた中心人物です。
2001年に生産組合を設立、梅づくりが地域の仕事になった
長澤さんたちの活動が大きく動き始めたのは、2001年11月のことです。
8人の農家が集まり、「特産氷見稲積梅生産組合」を設立しました。
掲げた合言葉は「稲積梅を陸のガンドウぶりにする」。
氷見市といえば、富山湾の寒ブリが有名です。長澤さんたちは、海のブリに負けない地域ブランドを、陸の梅から生み出そうとしたのです。
組合では、苗木の生産と植樹を進める一方で、農薬や化学肥料の使用を抑えた栽培方法の確立にも取り組みました。
その後の歩みは、次のように続いていきます。
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2001年11月:8人の農家で特産氷見稲積梅生産組合を設立
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2003年5月:梅干し加工場を建設
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2003年10月:「越中伝統梅干し」の販売を開始
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2008年頃:新たに植えた梅が本格的に実をつけ始める
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2010年11月:富山県農村文化賞を受賞
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2011年3月:氷見稲積梅株式会社を設立
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2012年3月:農林水産省から6次産業化の事業計画認定を受ける
特に大きかったのは、梅を栽培するだけでなく、自分たちで加工し、商品として販売する仕組みを作ったことです。
梅干しに加工することで保存や流通がしやすくなり、加工品の販売が地域の新たな産業へと発展していきました。
長澤さんが始めた山の開墾は、農業だけでなく、加工、販売、雇用を生み出す取り組みへと変化していったのです。
2022年に梅として全国初の地理的表示(GI)登録を実現
氷見稲積梅が大きな節目を迎えたのは、2022年2月3日です。
農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に「氷見稲積梅」が登録されました。
梅として全国初の登録で、登録番号は第112号です。
地理的表示(GI)保護制度とは、地域の気候風土や伝統的な生産方法などと結びついた、品質や評価を持つ農林水産物・食品の名称を保護する制度です。
氷見稲積梅では、次のような特徴が評価されています。
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富山県氷見市で発見された地域固有の品種
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小さな種と厚い果肉を持つ独特の品質
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梅干しに加工した際の色づきや適度な酸味
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地域で受け継がれてきた栽培技術
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耕作放棄地の活用や共同作業による生産地の拡大
長澤さんたちが長年積み重ねてきた栽培技術と地域での取り組みが、国の制度によって評価されたことになります。
梅畑をゼロから開墾し始めてから約20年以上。氷見稲積梅は、富山県の特産品として新たな地位を獲得しました。
長澤さんは梅干しだけでなく梅酒の海外販売にも挑戦した
長澤さんの活動は、梅の栽培と梅干し作りだけではありません。
氷見稲積梅株式会社では、梅酒、梅ドリンク、ドレッシング、くずきりなど、さまざまな加工商品を開発してきました。
長澤さんは、これらの商品を海外へ広めることにも取り組みました。
2013年には、富山県の海外販路開拓サポートデスクを訪問。台湾や中国での販売を目指し、貿易商社との商談を進めました。
しかし、最初から順調だったわけではありません。
氷見稲積梅の梅酒は、米焼酎などを使ったこだわりの商品だったため、大手メーカーの商品と比べて価格が高くなるという課題がありました。
商品を気に入ってくれる取引先が見つかっても、価格条件が合わず契約に至らないことがありました。
その後も商談を続け、2015年には中国・南京向けに32ケース、台湾向けに7ケースの梅酒を輸出する成果につながりました。
地方の小さな梅の生産組合から始まった取り組みが、海外へ商品を届ける事業にまで発展したのです。
越中伝統梅干しは梅・塩・赤紫蘇だけで作る無添加の味
氷見稲積梅株式会社を代表する商品が「越中伝統梅干し 氷見稲積梅」です。
この梅干しは、昔ながらの製法を大切にしながら作られています。
商品情報
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商品名:越中伝統梅干し 氷見稲積梅
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原材料:稲積梅、天日塩、氷見産赤紫蘇
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特徴:無添加・無着色
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塩分:約12%
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内容量:100g、160g、300g、500g、1kg
製法にも特徴があります。
完熟した梅を一粒ずつ丁寧に手で摘み取り、天日塩を使って塩漬けにします。
その後、氷見産の赤紫蘇を加え、土用の時期に7日間かけて2度干しする伝統製法で仕上げます。
一般的な調味梅干しの製法とは異なり、製造途中で塩抜きをしないため、梅本来の酸味や旨味を残せるのが特徴です。
味わいは、口に入れた瞬間にしっかりとした酸味があり、その後に旨味とまろやかな後味が広がります。
甘さを加えた梅干しとは異なる、昔ながらの梅の味を楽しめる商品です。
氷見稲積梅を使った梅ジュースの作り方
氷見稲積梅株式会社では、家庭で楽しめる梅の加工レシピも公開しています。
その一つが、冷凍した梅と砂糖を使って作る梅ジュースです。
材料
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稲積梅:2kg
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白砂糖:2kg
作り方
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梅を洗い、24時間冷凍する。
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広口瓶に凍った梅と白砂糖を交互に入れる。
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梅が解凍されると果汁が染み出し、約10日間で抽出される。
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取り出した果汁を加熱し、発酵を抑えてから冷蔵保存する。
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飲むときは水などで7〜8倍に薄める。
梅と砂糖を同じ重量で使う、シンプルな製法です。
氷見稲積梅は果肉が厚く、梅干し以外にもジュース、ジャム、梅肉エキスなど多彩な加工に利用されています。
なお、これは氷見稲積梅株式会社が公開している梅ジュースのレシピです。
氷見稲積梅の梅干しは通販やふるさと納税で購入できる
氷見稲積梅株式会社の「越中伝統梅干し」は、富山県内の販売店や通販などで取り扱われています。
富山県氷見市のふるさと納税返礼品にも採用されており、梅干し1kgの商品を申し込むことができます。
通販・お取り寄せ情報
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商品:越中伝統梅干し 氷見稲積梅
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内容量:1kg
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塩分:約12%
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製造事業者:氷見稲積梅株式会社
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ふるさと納税寄付額:11,000円(ふるさとチョイス掲載)
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購入方法:通販、ふるさと納税、直売所など
寄付額や在庫、配送条件は購入先によって異なります。
また、氷見稲積梅株式会社では梅ドリンク「氷見乙女」、減塩やくぜん梅、梅ジェラートなども商品化しています。
直売所「氷見あんしん食品」の住所と営業時間
氷見稲積梅株式会社の直営販売所は、富山県氷見市にある「氷見あんしん食品」です。
店舗情報
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店舗名:氷見あんしん食品
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住所:富山県氷見市加納435-1
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電話番号:090-9442-2338
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営業時間:10:00〜18:00
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営業日:金曜日・土曜日・日曜日
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場所:国道160号沿い、プラファショッピングセンター駐車場の一角
直売所では、氷見稲積梅株式会社の梅干しや加工品を販売しています。
さらに、地元氷見市の豆腐、草餅、新鮮な季節野菜など、地域の特産品も取り扱っています。
氷見稲積梅の加工品を探している人は、直売所で商品を確認することもできます。
長澤さんの挑戦は次の世代へ受け継がれている
氷見稲積梅株式会社では、現在、西塚信司さんが代表取締役社長を務めています。
西塚さんの祖父も稲積梅の植樹に関わっており、長澤さんとは以前から交流がありました。
西塚さんはJAの職員だった時代に、長澤さんから稲積梅の栽培や販売について相談を受けていました。
その後、病気を経験したことを契機に、祖父と長澤さんたちが作ってきた梅園や地域ブランドを守りたいと考え、自らも事業に関わるようになりました。
現在は稲積梅の栽培技術を次の世代へ伝えるため、後継者の育成や地域のPR活動にも力を入れています。
また、農林中央金庫やJA、富山県の関係機関が連携し、新しい栽培技術の導入も進められています。
梅の木をV字形に仕立てる栽培方法では、樹高を約3mに抑え、収穫や管理にかかる作業負担を軽くする取り組みが行われています。
高齢化や人手不足が進む中でも、梅づくりを長く続けられる産地を目指しているのです。
長澤さんが63歳で始めた荒れた山の開墾は、次の世代が梅づくりを続けるための土台となっています。
まとめ
長澤誠尚さんは、89歳になった現在も富山県氷見市の「氷見稲積梅」を象徴する人物です。
自動車メーカーでの仕事を退職し、故郷へ戻った63歳のとき、荒れた里山を目にしたことが梅づくりの始まりでした。
年金のほとんどを投じて山を切り開き、毎年500〜700本もの梅を植え続けた活動は、やがて生産組合の設立、梅干しの商品化、海外への販路拡大へとつながりました。
そして2022年、氷見稲積梅は梅として全国初のGI登録を受けました。
長澤さんが育ててきたのは、梅の木だけではありません。地域の土地を生かした産業と、次の世代へ受け継ぐことができる故郷の特産品でした。
参考リンク
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