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篠島の大アサリ養殖!大林組と若手漁師が稚貝回収に成功した仕組みと石橋諒の挑戦|newsX

職人・伝統技術

愛知県篠島で大アサリの養殖に挑戦!大林組と若手漁師が海の資源を取り戻す

愛知県南知多町の離島・篠島で、これまで自然の海で採っていた「大アサリ」を人工的に育てる新しい養殖技術の開発が進んでいます。

取り組んでいるのは、篠島漁業協同組合の青年部と大手建設会社「大林組」です。

2026年10月13日放送のCBCテレビ『newsX(ニュースクロス)』では、漁師とゼネコンが協力して進める、日本初の実用化を目指した大アサリ養殖の挑戦が紹介されます。

最大の特徴は、砂利を詰めた網袋を海中に沈め、自然に生まれる大アサリの稚貝を集めて育てること。 2026年春には稚貝の回収で成果が確認されました。

さらに、篠島で大量に出るカキの殻を利用したコンクリート製の漁礁も開発。貝を育てながら海藻が生える場所をつくり、豊かな漁場を取り戻そうとしています。

この挑戦の中心にいるのが、篠島漁業協同組合青年部の部長・石橋諒さんです。

シラス漁に依存してきた島の漁業を守るため、若い漁師たちが新しい収入源の確立に取り組んでいます。

この記事でわかること

  • 篠島で進む大アサリ養殖の仕組みと稚貝回収の成果

  • 篠島漁協青年部の石橋諒さんが養殖に挑む理由

  • 大林組が開発に協力するカキ殻入りコンクリート漁礁

  • 漁業の衰退を防ぎ、海藻や貝を増やす「篠島うみいく」プロジェクト

大アサリ養殖は砂利を詰めた網袋で天然の稚貝を集める

篠島で進められている大アサリ養殖では、海に生息する天然の稚貝を集めて育てる方法が採用されています。

中心となる道具は、砂利などを詰めた網袋です。

この袋を海中に設置すると、海の中を漂う二枚貝の幼生が入り込み、成長するための場所になります。

稚貝を育てる主な工程

  • 砂利などを入れた専用の網袋を準備する

  • 漁師が海中へ潜り、網袋を設置する

  • 数か月後に袋を回収し、稚貝の成長を確認する

  • 大きくなった貝を取り出し、小さな貝を残す

  • 稚貝を入れた袋を再び海へ戻して育てる

2026年春には、この取り組みで大アサリの稚貝が確認されました。

大林組の公開資料でも、大アサリ、アサリ、カキなど複数の二枚貝の稚貝回収に成功したことが示されています。

重要なのは、人工的に卵から育てる方法ではなく、海に自然に存在する稚貝を集めて成長させる技術であることです。

また、網袋の中に貝が増えすぎると、酸素が不足することがあります。

そこで定期的に袋の中を確認し、貝の大きさや数を調整しながら育てています。

稚貝の回収で成果は得られていますが、安定した商業生産を行うための技術は、引き続き実証が進められています。

大アサリの正式名称は「ウチムラサキ」

篠島の名物として知られる大アサリは、一般的なアサリが大きく成長したものではありません。

正式名称は「ウチムラサキ」です。

ウチムラサキはマルスダレガイ科の二枚貝で、北海道から中国沿岸にかけて生息しています。

大アサリの特徴

  • 正式名称:ウチムラサキ

  • 分類:マルスダレガイ科

  • 生息場所:潮間帯から水深約20mの海底

  • 大きさ:殻長が最大約10cm

  • 特徴:貝殻の内側が紫色

  • 主な食べ方:浜焼き、しょうゆ焼きなど

愛知県の知多半島や渥美半島では、古くから大アサリの名称で親しまれています。

通常のアサリより大きく、肉厚な身が特徴です。

篠島では、半分に割った大アサリを炭火などで焼き、しょうゆをかけて食べる浜焼きが知られています。

今回の養殖で対象となっているのは、このウチムラサキを含む二枚貝です。

アサリと大アサリは異なる種類ですが、篠島では両方の稚貝を集めて育てる技術が研究されています。

石橋諒は篠島漁協青年部の部長として新しい漁業に挑戦

大アサリの養殖試験を進めているのが、篠島漁業協同組合青年部です。

その中心人物が、青年部の部長を務める石橋諒さんです。

石橋さんたちが新たな養殖に取り組むようになった背景には、篠島の漁業が直面している厳しい状況があります。

篠島は全国有数のシラスの産地として知られ、島では多くの人が漁業に関わって生活しています。

しかし近年は、海水温や海流の変化などによって漁獲状況が不安定になりました。

特に大きな影響を与えたのが、黒潮の大蛇行です。

東海地方の沿岸では、黒潮の流れが変化することで、従来の漁場に魚が集まりにくくなるなどの問題が生じました。

篠島でもシラス漁などが影響を受け、漁に出られない日が増えました。

漁業で十分な収入を得られなくなれば、若い人たちが島を離れることにもつながります。

石橋さんは、シラス漁だけに依存するのではなく、別の生業を持つ必要があると考えました。

そこで取り組んでいるのが、大アサリの養殖です。

自然の海で採るだけだった貝を、自分たちの手で増やして育てる。

その技術を確立することで、篠島産の新しい水産ブランドを生み出そうとしています。

大林組が養殖技術の開発に協力する理由

今回のプロジェクトには、日本を代表する大手建設会社の大林組が参加しています。

大林組といえば、高層ビル、橋、トンネルなどの建設事業で知られる企業です。

しかし、建設の技術は建物や道路を造ることだけに使われるわけではありません。

海中の構造物や環境改善に役立つ技術も、長年培われてきました。

大林組は、篠島漁業協同組合や自治体、企業、大学などと連携し、「愛知県 篠島うみいく~海育・海良く・海行く~」というプロジェクトに取り組んでいます。

目的は、減少している海の生物資源を増やし、持続可能な漁業と地域の活性化につなげることです。

その取り組みの1つとして、二枚貝の稚貝回収と中間養殖が行われています。

さらに、養殖を支えるコンクリート製の漁礁についても、建設会社ならではの材料技術が生かされています。

カキ殻を混ぜたコンクリート漁礁で稚貝を守る

篠島の養殖試験では、稚貝を集める網袋だけでなく、コンクリート製の漁礁も使われています。

この漁礁には、篠島の漁業で発生するカキの殻が活用されています。

使用済みのカキ殻を砕き、コンクリート材料に混ぜ込むことで、海藻などが付着しやすい環境づくりを目指しています。

コンクリート漁礁の役割

  • 稚貝を食べる魚などから守る

  • 海藻が育つための基盤をつくる

  • 海の生き物が集まる場所を増やす

  • 島で発生するカキ殻を資源として活用する

海に戻した稚貝は、そのままでは魚などに食べられてしまうことがあります。

そこで、コンクリート漁礁の下や周囲に網袋を設置し、稚貝を保護しながら成長させます。

また、漁礁にワカメなどの海藻が育てば、その周囲に小魚や別の生き物も集まるようになります。

貝だけを育てるのではなく、海中に新たな生息環境をつくる取り組みです。

これまで廃棄物として扱われることもあったカキ殻を、海の環境づくりに役立てている点も特徴です。

2026年春に大アサリの稚貝を回収する成果

篠島の養殖試験では、2026年春に大きな進展がありました。

海中に設置した網袋の中で、大アサリの稚貝が確認されたのです。

現場では、石橋さんが網袋の中から小さな貝を取り出し、成長している様子を確認しています。

大林組も、大アサリのほかアサリやカキなどの稚貝回収に成功したことを公開しました。

これは、篠島の海に生息する二枚貝を、人工的に設置した環境で回収し、育てられることを示した成果です。

ただし、稚貝が育ったことと、安定して出荷できる養殖業として成立することは別です。

漁業として継続するためには、稚貝の成長率、収穫量、設備の維持管理、採算性などを確かめる必要があります。

石橋さんたちは、将来的に篠島で生まれた稚貝を篠島で育て、地元産の水産物として販売することを目指しています。

黒潮大蛇行による不漁が新しい養殖を始めるきっかけに

篠島では、漁業が長年にわたって島の生活を支えてきました。

大林組の資料によると、島の面積は約0.9平方km、外周は約8kmです。

小さな島ながらシラス漁が盛んで、伊勢神宮へ鯛を奉納してきた長い歴史もあります。

しかし近年、海の環境は大きく変化しました。

2025年まで続いた黒潮大蛇行の影響もあり、従来の漁業だけでは生活を維持することが難しくなる人が出てきました。

こうした状況は、人口減少にも関係しています。

島の漁業を続けていくためには、シラス漁以外にも収入につながる仕事が必要です。

大アサリ養殖は、そうした課題に対応するために始まった挑戦でもあります。

なお、篠島では別の取り組みとして、漁師の妻・板谷美晴さんが陸上でのクルマエビ養殖にも挑戦しています。

2025年に始めたクルマエビ養殖は、すでに南知多町のふるさと納税返礼品として全国へ出荷された実績があります。

大アサリとクルマエビは異なる養殖事業ですが、どちらも島の漁業を守り、新しい収入源をつくる取り組みです。

貝と海藻を増やす「篠島うみいく」プロジェクト

大林組が参加する「篠島うみいく」では、大アサリの養殖だけでなく、海の環境そのものを改善する活動が進められています。

特に重要視されているのが、藻場の再生です。

藻場とは、海藻や海草がまとまって育つ海中の場所です。

小さな魚が隠れたり、魚介類が産卵したりする場所となり、多くの生き物の生活を支えています。

また、海藻や海草は光合成によって二酸化炭素を吸収します。

海の生態系が取り込み、長期間蓄える炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれています。

篠島では、コンクリート漁礁を使って藻場を増やし、魚や貝が育つ環境をつくる研究も進めています。

さらに、藻場による二酸化炭素吸収の効果を評価し、ブルーカーボンクレジットとして認証を取得することも目標の1つです。

貝の養殖、海藻の育成、漁業の活性化、環境保全。

これらを別々に取り組むのではなく、1つのプロジェクトとして進めている点に特徴があります。

篠島では子どもたちへの海洋教育にも取り組む

篠島うみいくでは、研究者や漁師だけでなく、子どもたちにも海の環境を学んでもらう活動が行われています。

大林組の公開資料では、島外から約200人が参加した海洋教育の取り組みが紹介されています。

参加者は、海から引き上げた稚貝回収袋の中を観察し、小さな貝や海の生き物を探しました。

普段は見ることのない海中の環境を、実際に触れて学べる体験です。

また、海藻や二枚貝を食べるクロダイを捕獲し、釣り堀で活用する取り組みも行われています。

養殖の障害となる魚を単に駆除するのではなく、観光資源として利用する方法です。

海の環境を守ることと、地域の新しい仕事を生み出すことが結び付いています。

篠島の大アサリ養殖に関する実用情報

現在進められている大アサリ養殖は、漁業協同組合と企業などによる実証事業です。

一般向けの体験施設や、養殖大アサリの常設販売店として紹介されているものではありません。

プロジェクトの基本情報

  • 実施地域:愛知県知多郡南知多町篠島

  • プロジェクト名:愛知県 篠島うみいく~海育・海良く・海行く~

  • 主な参加者:篠島漁業協同組合、大林組、自治体、企業、大学など

  • 養殖対象:大アサリ、アサリなどの二枚貝

  • 主な技術:稚貝回収袋、中間養殖、コンクリート漁礁

  • 確認された成果:大アサリなどの稚貝回収

  • 取り組みの目標:持続可能な漁業、藻場の再生、地域活性化

篠島へ渡る場合は、知多半島先端の師崎港などから高速船を利用できます。

ただし、養殖試験場は一般観光施設ではありません。研究設備や漁業施設への立ち入りは、関係者の許可が必要です。

まとめ

愛知県南知多町の篠島では、篠島漁業協同組合青年部と大林組が協力し、大アサリの新しい養殖技術の開発を進めています。

中心となるのは、青年部部長の石橋諒さんです。

砂利を入れた網袋を海中に設置して天然の稚貝を集め、コンクリート漁礁を利用して保護しながら育てる方法が採用されています。

2026年春には大アサリの稚貝回収で成果が確認され、実用化に向けた取り組みが進んでいます。

さらに、島で発生するカキ殻を活用した漁礁づくりや、海藻を増やす藻場の再生にも取り組んでいます。

シラスの不漁や人口減少という課題を抱える篠島で、建設会社の技術と漁師の経験を組み合わせて進む大アサリ養殖。

単なる新しい水産物の開発にとどまらず、海の資源と島の暮らしを次の世代へつなぐ挑戦です。

参考リンク


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