最高級の天然木曽檜から生まれる「究極の桶型風呂」
2026年9月21日放送の「YOUは何しに日本へ?&ニッポン行きたい人応援団!合体SP」では、銭湯を愛するアメリカ人が日本の風呂文化を巡り、最高級の天然木曽檜で造る究極の桶型風呂の製造工程を目の当たりにします。
天然木曽檜には、樹齢150〜300年に達するものもあります。長い年月をかけて育った木を製材し、乾燥させ、木目や反りを見極めながら部材へ加工。円形の浴槽として水を漏らさず使える状態まで仕上げるには、木の性質を知り尽くした職人の技術が欠かせません。
この記事でわかること
- 天然木曽檜が最高級材とされる理由
- 桶型の檜風呂が完成するまでの製造工程
- 樽型木風呂の大きさと価格の目安
- 木曽で受け継がれてきた桶・木風呂づくりの技
天然木曽檜の桶型風呂は原木から造られる

番組で注目されるのは、完成した檜風呂だけではありません。
巨大な原木だった木曽檜が、人が湯につかれる1台の桶型風呂へ変わっていくまでの製造工程そのものです。
木曽地方で木風呂や桶を製造する志水木材産業では、木曽谷で育った木曽檜、さわら、高野槙などを原木の段階から扱っています。
木材の中には樹齢150〜300年にもなる天然木があり、丸太を仕入れて終わりではなく、
- 原木を選ぶ
- 製材する
- 板を天然乾燥させる
- 必要な大きさに切る
- 節や欠点を取り除く
- 木表・木裏や木目を確認する
- 必要な部材へ加工する
- 人工乾燥で含水率を整える
- 浴槽として組み上げる
- 表面を仕上げる
という工程を経て木風呂になります。
木は金属や樹脂とは違い、1本ごとに木目やクセが異なります。
どこを浴槽のどの部分へ使うのかまで考えながら木取りを行うことが、長く使える木風呂を造る第一歩です。
樹齢150〜300年の木曽檜が貴重な理由
木曽檜は、木曽谷の厳しい自然環境の中で非常にゆっくり成長します。
成長に時間がかかるぶん年輪が細かく詰まり、緻密な木質になるのが大きな特徴です。
木風呂に求められるのは見た目の美しさだけではありません。
毎日お湯を張り、濡れて乾くことを繰り返すため、材料には耐久性と寸法の安定性が必要です。
木曽檜は、
- 年輪が細かく美しい
- 木肌が白く上品
- 独特の香りがある
- 耐久性に優れる
- 狂いが比較的少ない
という性質を持っています。
林野庁が管理する木曽地域には、現在も樹齢300年以上の木曽ヒノキが残る森林があります。
江戸時代には尾張藩によって木曽の森林が厳格に保護され、木曽檜は城郭や神社仏閣などの重要な建築にも利用されてきました。
現在の木曽檜製品の背景には、何世紀にもわたって守られてきた森林文化があります。
桶型風呂は円形に組むほど職人技が必要になる
箱型の木風呂と比べ、桶型・樽型の風呂は見た目からして独特です。
細長く加工した複数の木材を縦方向へ並べ、ぐるりと円形に組み上げます。
ここで難しいのが、水を入れても漏れない精度で木材同士を合わせることです。
単純に板を並べただけでは隙間ができます。
1枚1枚の側板をわずかな角度で加工し、それぞれが隙間なく接するように組み上げなければなりません。
さらに木は水分を吸えば膨らみ、乾燥すれば収縮します。
製作時の状態だけに合わせるのではなく、実際に浴槽として使われたときの木の動きまで考えた加工が必要です。
円形に組み上がった側板にはタガを掛け、全体を締めます。
小さな湯桶や寿司桶にも使われる日本伝統の桶づくりの考え方が、人が入れる巨大な浴槽へスケールアップしているのです。
木材は製材後すぐには風呂にできない
桶型風呂の製造工程で重要なのが乾燥です。
原木から切り出したばかりの木には多くの水分が含まれています。
そのまま製品へ加工すると、完成後に乾燥が進んだ際、
- 反り
- 割れ
- ねじれ
- 隙間
などにつながります。
志水木材産業では、製材した板をまず桟積みして天然乾燥させ、さらに部材へ加工する段階で人工乾燥も行います。
含水率を整えることは、完成後の狂いを抑えるための重要な工程です。
テレビでは完成した美しい檜風呂が目を引きますが、その形になるはるか以前から職人の仕事は始まっています。
樽型木曽檜風呂は直径90cmから製作されている
木風呂は家庭用サイズから、旅館や温浴施設で使用する大型サイズまで製作されています。
志水木材産業が公開している木風呂価格表では、樽型浴槽について次のサイズが設定されています。
- 直径900mm×深さ600mm
- 直径1000mm×深さ600mm
- 直径1100mm×深さ600mm
- 直径1200mm×深さ600mm
- 直径1300mm×深さ600mm
- 直径1400mm×深さ600mm
- 直径1500mm×深さ600mm
- 最大で直径2000mm×深さ600mm
直径2mになると、大人1人が入る家庭用浴槽というより、温泉施設を思わせる迫力のある大きさです。
「桶づくり」の技術が、これほど巨大なサイズでも使われています。
木曽檜の樽型風呂は66万円からが価格の目安
木曽檜の桶型風呂を実際に造ると、どのくらいの価格になるのかも気になるところです。
志水木材産業が公開している2021年10月適用の価格表では、樽型木風呂の木曽檜仕様は次の金額から設定されています。
節材を使った「やすらぎ」シリーズでは、
- 直径900mm:660,000円
- 直径1000mm:740,000円
- 直径1200mm:890,000円
- 直径1500mm:1,230,000円
無節材を使った「ゆとり」シリーズでは、
- 直径900mm:840,000円
- 直径1000mm:940,000円
- 直径1200mm:1,180,000円
- 直径1500mm:1,800,000円
となっています。
いずれも価格表では消費税別です。
直径2000mmの木曽檜・無節材仕様になると3,330,000円。
天然木を大量に使用し、円形へ精密に加工して組み上げるため、一般的な浴槽とは価格帯も大きく異なります。
なお、これは志水木材産業が公開している木風呂の価格例で、番組に登場する桶型風呂そのものの販売価格を示したものではありません。
TRAIN SUITE 四季島にも木曽檜風呂が採用された
木曽の木風呂づくりが家庭や旅館だけにとどまらないことを象徴する例が、JR東日本の豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」です。
四季島スイートとデラックススイートには、天然木曽檜を使った浴槽が設置されています。
製造を担当したのが志水木材産業です。
使われたのは木曽谷で育った天然材で、列車という特殊な環境に設置するため、通常の浴槽にはない工夫も施されました。
列車が揺れれば、当然お湯も揺れます。
浴槽から湯があふれるのを抑えるため、内側へ薄い板を取り付けるなど、ミリ単位で調整しながら製作されました。
伝統的な木風呂づくりの技術が、現代の豪華列車という全く新しい空間にも生かされています。
志水木材産業は1944年創業
木曽で木風呂づくりを続ける志水木材産業は、長野県木曽郡南木曽町に本社と工場を構えています。
創業は1944年。
始まりは製材業で、水車を動力としてノコギリを動かし、丸太を製材していました。
その後、桶などの木工製品へ事業を広げ、現在では、
- 檜風呂
- 桶
- 樽
- 寿司桶
- おひつ
- 木製浴室用品
などを製造しています。
大きな特徴は、原木の製材から加工、組み立てまでを自社で一貫して行っていること。
桶づくりに必要な熟練の手仕事を残しながら、精度が求められる部分には機械加工も取り入れています。
伝統技術だけに頼るのではなく、機械と職人技を組み合わせることで現代の木風呂を作り続けています。
木曽には桶・樽づくりそのものが根付いている
木曽地方では、檜風呂だけが突然生まれたわけではありません。
ヒノキ、サワラ、アスナロ、コウヤマキ、ネズコの「木曽五木」を利用し、古くから桶や樽、生活用品が作られてきました。
長野県では、木曽五木を材料にした桶樽類などが「木曽材木工芸品」として県の伝統的工芸品に指定されています。
小さな桶で培われた、
木を選ぶ
↓
板へ加工する
↓
円形へ組む
↓
タガで締める
↓
水を漏らさない器へ仕上げる
という技術。
その延長線上に、人が全身で入れる巨大な桶型風呂があります。
番組で紹介される製造工程は、1台の高級浴槽を作っているだけではなく、木曽で長年受け継がれてきた桶づくりの文化を見る場面でもあります。
まとめ
「ニッポン行きたい人応援団」で取り上げられるのは、最高級の天然木曽檜を使った究極の桶型風呂です。
木曽檜には樹齢150〜300年になるものもあり、細かな年輪と緻密な木質を持つ希少な素材です。
その原木を製材し、長期間乾燥させ、木目やクセを見極めて部材へ加工。さらに複数の板を円形へ隙間なく組み上げ、水を張って使える浴槽へ仕上げます。
完成した浴槽だけを見るとシンプルな木の桶に見えますが、その裏側には木材を知り尽くした職人による数多くの工程があります。
小さな桶から巨大な浴槽まで。長い年月をかけて育った木曽檜と、木曽に受け継がれてきた桶づくりの技が組み合わさって生まれるのが、天然木曽檜の桶型風呂です。
参考リンク
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