櫻井翔が出会う越前打刃物のレジェンド・岡田政信
2026年9月21日放送のNHK総合『世界がほれた 絶品!翔ケース』では、櫻井翔さんが福井県を訪れ、約700年の歴史を持つ「越前打刃物」の世界に入ります。
その中で「レジェンド」として登場するのが、岡田打刃物製作所3代目の岡田政信さんです。番組では、小槌を使って熱した鉄を自在に形づくり、何枚作っても同じ形に仕上げる熟練の技が紹介されます。岡田さんは、越前打刃物の伝統技法「廻し鋼付け」を受け継ぎ、特に刈込鋏の分野で極めて重要な技術を守ってきた職人です。
この記事でわかること
- 岡田政信さんがどんな越前打刃物職人なのか
- 岡田さんが受け継ぐ「廻し鋼付け」と「舞小槌」の技
- 岡田打刃物製作所で作られている刃物
- 岡田さんとタケフナイフビレッジの深い関係
岡田政信は岡田打刃物製作所3代目の伝統工芸士

出典:Takefu Knife Village「岡田打刃物製作所」公式ページ
岡田政信さんは、福井県越前市にある岡田打刃物製作所の3代目です。同製作所は1928年創業。岡田さんは福井県立武生工業高校電気科を卒業した後、父である2代目紋治郎のもとで打刃物の仕事に入りました。
父は「現代の名工」に選ばれた職人で、岡田さんはその技を受け継ぎながら、越前の伝統技法を磨いていきました。
現在手掛ける刃物は、一般的な料理包丁だけに限りません。
- 造林用の鎌
- ナタ
- 刈込鋏
- やりがんな
- 漆かき用刃物
- 切出ナイフ
- 各種特殊刃物
用途に合わせて形そのものを変える刃物を作れるところに、岡田さんの大きな特徴があります。
2001年度には越前打刃物の伝統工芸士に認定され、2017年には伝統工芸への功績によって瑞宝単光章を受章しています。
岡田政信が守る「廻し鋼付け」は越前打刃物を象徴する技
岡田さんを語るうえで欠かせないのが、**柾置法(まさおきほう)とも呼ばれる「廻し鋼付け」**です。
越前打刃物の祖とされる刀匠・千代鶴国安が考案したと伝わる技法で、鋼と軟らかい地鉄を鍛接したあと、鋼の一角から全体を菱形状に打ち広げていきます。
この方法によって鋼を薄く伸ばしやすくなり、研ぎやすく、切れ味のよい刃に仕上げられます。加熱時に鋼へ直接火が当たりにくいという利点もあります。
特に重要なのが刈込鋏です。
タケフナイフビレッジの公式プロフィールでは、廻し鋼付けによる刈込鋏を作れる職人として岡田さんは唯一の伝承者と紹介されています。
昔からある技法を単に保存しているのではなく、実際に使えるプロの道具として作り続けていることが岡田さんの仕事の核になっています。
小槌だけで同じ形を生み出す「舞小槌」の技
『世界がほれた 絶品!翔ケース』で櫻井翔さんが驚くのが、岡田さんの小槌さばきです。
岡田さんは「舞小槌」と呼ばれる技術を修得しています。火で熱した鉄を小槌で細かく打ちながら、必要な厚さや曲線へと整えていく技です。
特に鎌では、もともと直線に近い鉄を、小槌の打ち方だけで次第に美しいカーブへ変えていきます。
型へ押し込んで成形する大量生産とは異なり、鉄の状態を見ながら一打ずつ形を決めていくため、高い経験が必要です。番組では岡田さんが何枚作っても同じ形へ仕上げる様子に、櫻井さんが驚く場面が紹介されます。
岡田さんが番組で語る「機能がちゃんと付いているやつはきれいなんやね」という言葉も、この仕事をよく表しています。
飾るために形を整えるのではなく、切る、刈るという機能を突き詰めた結果として美しい形になる。今回の番組では、佐藤卓さんが掘り下げる「機能美とデザイン」にもつながっていきます。
岡田打刃物製作所では鎌や刈込鋏など特殊な道具を製作
越前打刃物というと包丁の印象が強いですが、岡田打刃物製作所の主力はもっと幅広いものです。
越前打刃物自体も、もともとは農民のために作られた鎌から始まったとされています。越前打刃物協同組合によると、その起源は1337年、京都の刀匠・千代鶴国安が現在の越前市へ移り住み、刀剣を作るかたわら農民のための鎌を作ったことにあります。
岡田さんが得意とする鎌や刈込鋏は、まさにその原点を現代へ受け継ぐ道具です。
園芸用だけでなく、造林、茅葺き、漆かきなど、使う人の仕事に応じて必要な刃の厚さや角度、形は変わります。
番組でも「ソロキャンプ用」「鳥籠用」など、非常に限定された用途の刃物が登場します。越前打刃物が長く生き残ってきた背景には、こうした細かな注文に応じて道具を作り分けてきた文化があります。
タケフナイフビレッジ誕生にも岡田政信が関わっていた
岡田さんは1人の職人として刃物を作るだけでなく、越前打刃物産地そのものの将来にも関わってきました。
1970年代、ステンレス製品や安価な量産刃物が普及すると、手仕事を中心としていた越前の刃物産業は厳しい状況に置かれます。
そこで後継世代の職人たちが1973年に「武生刃物工業研究会」を結成しました。
そのメンバーの1人が岡田政信さんです。
加茂勝康さん、安立勝重さん、北岡英雄さん、加藤弘さん、戸谷治二さん、岡田政信さんら10人が、仕事を終えた夜に集まり、越前打刃物の未来について話し合いました。
その活動はデザイナーとの共同開発へと発展。1983年には東京・六本木で「タケフナイフビレッジ展」を開催し、1986年にはニューヨークでの展示も実現しました。
現在のタケフナイフビレッジにつながる大きな転機です。
櫻井翔さんも今回の収録後、刃物の切れ味だけでなく、ナイフビレッジを形にした人々の行動力と情熱が印象に残ったとコメントしています。
岡田打刃物製作所の所在地と越前打刃物を見られる場所
岡田打刃物製作所は福井県越前市にあります。
- 名称:岡田打刃物製作所
- 代表:岡田政信
- 所在地:福井県越前市池ノ上町45-1-6
- 電話:0778-24-1612
- 創業:1928年
- 主な製品:鎌、ナタ、刈込鋏、やりがんな、漆かき用刃物、切出ナイフ、特殊刃物
所在地と連絡先は越前千代鶴の館および越前打刃物協同組合でも案内されています。
越前打刃物そのものを見学したい場合は、越前市のタケフナイフビレッジもあります。館内には資料館や見学工房があり、職人が実際に作業する工房を見下ろせる見学ルートも設けられています。
まとめ
『世界がほれた 絶品!翔ケース』で櫻井翔さんが出会う岡田政信さんは、岡田打刃物製作所3代目として越前打刃物を作り続けてきた伝統工芸士です。
最大の特徴は、越前に伝わる廻し鋼付けと舞小槌という高度な技。特に廻し鋼付けを用いた刈込鋏づくりでは、希少な伝承者として技術を守ってきました。
さらに岡田さんは、産地が厳しい時代を迎えた1970年代から仲間の職人たちと立ち上がり、後のタケフナイフビレッジへつながる活動にも参加しています。
「ファッションじゃない。作っているのは道具だよ」という番組での言葉。その背景には、見た目を先に作るのではなく、使う人のために機能を突き詰めてきた長い職人人生があります。9月21日の放送では、その考え方が実際の小槌の一打一打から見えてきそうです。
参考リンク
・NHK「世界がほれた 絶品!翔ケース」公式ページ
・岡田打刃物製作所 公式サイト
・Takefu Knife Village 岡田打刃物製作所
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