車の緊急脱出ハンマーは合わせガラスを割れない|側面の窓も事前確認が必要
車が水没したとき、緊急脱出用ハンマーで割れるのは基本的に強化ガラスです。フロントガラスに使われる合わせガラスは、ハンマーでひびが入っても脱出口を作れません。最近はドアの窓にも合わせガラスを使う車種があるため、「サイドガラスなら必ず割れる」と考えるのも危険です。2026年10月28日放送予定のテレビ朝日『朝メシまで。』では、台風による車の水没と救助の現場を紹介。自分の車で割れる窓の調べ方と、水没時の脱出順序を公的資料から整理します。
フロントガラスだけでなく、ドアの合わせガラスも割れない
自動車の窓には主に強化ガラスと合わせガラスがあります。強化ガラスは、緊急脱出用ハンマーの硬い先端で局所的に力を加えると、細かく砕ける構造です。一方、合わせガラスは複数のガラスの間に樹脂製の中間膜を挟んでいるため、割れても穴を開けにくく、ハンマーによる脱出には適しません。
JAFが2014年に行った比較テストでは、専用の脱出用ハンマー3種類は強化ガラスのサイドウインドウを割れましたが、合わせガラスのフロントウインドウは割れませんでした。試したスマートフォン、車の鍵、ヘッドレストなどでも窓を割ることはできませんでした。こうした物を緊急脱出用ハンマーの確実な代用品と考えないことが大切です。
近年は静粛性などのため、運転席・助手席を含む側面の窓にも合わせガラスが採用されることがあります。車種やグレード、年式でガラス構成が異なる場合もあり、前席が割れなければ後席や後部の窓も同じとは限りません。購入したハンマーの性能だけでなく、車両のどの窓が強化ガラスなのかを把握する必要があります。
合わせガラスと強化ガラスは刻印や断面で見分ける
まず、車の取扱説明書で「緊急脱出用ハンマー」「ガラスの種類」などの項目を調べます。説明が見つからなければ、自動車メーカーや購入店へ車台番号・年式・グレードを伝え、破砕できる側面・後面の窓の位置を尋ねてください。
日産の公式FAQでは、ドアの窓を少し下げて上端の断面を見る確認方法を紹介しています。2枚のガラスを貼り合わせた構造なら合わせガラスです。また、窓にある表示は、JISマークの「L」が合わせガラス、「T」が強化ガラス、Eマークの場合は「XI」「V-XI」が合わせガラスを示す例として説明されています。
ただし、ガラスに刻印がない場合や、表示方式が異なる車もあります。「Lの文字が見当たらないから強化ガラス」と判断するのは禁物です。視認できる位置だけを安全に確認し、分からないときは販売店に照会しましょう。
自分の車種での具体的な確認方法は日産の水没時の脱出・窓ガラス判別の公式案内が参考になります。他社製の車両ではそのメーカーの説明書を優先してください。
水没したときの脱出順序|水圧でドアが開かなくなる前に行動
国土交通省は、冠水した道路には進入せず、万一水没したらできるだけ早い段階で車外へ脱出するよう呼びかけています。すでに車内に閉じ込められた場合は、まずシートベルトを外し、ドアを開けられるか試すことが基本です。
ドアが開かなければ、窓の開閉スイッチを操作します。電動窓は浸水したら必ず即座に停止するわけではなく、まだ動く場合があります。窓が開けばそこから脱出します。
ドアも窓も開かないときは、強化ガラスだと確認できる側面または後部の窓を、手の届く場所に固定しておいた緊急脱出用ハンマーで破砕して脱出します。フロントガラスや合わせガラスを何度もたたき続けて時間を失わないことが重要です。ガラス破砕時は破片や急な浸水によるけがにも注意が必要です。
どうしてもドア・窓から脱出できない最悪の状況では、車内外の水位差が小さくなるとドアへの水圧が減り、開けられる場合があります。これは早期脱出ができなかった場合の最終手段であり、最初から水が満ちるまで待つことを勧めるものではありません。水没時は車の状態が刻々と変わり、必ず脱出できる保証もありません。
ハンマー購入前に確認するのは刃よりも「割れる窓」と置き場所
国民生活センターは、JISやGSなど信頼できる規格の表示がある脱出用ハンマーを選び、シートベルトカッター付きかどうかも確認するよう勧めています。衝撃でシートベルトが外せなくなった際に、ベルトを切れる機能が重要になることがあるためです。
収納場所は、運転席に座ったまま手が届く位置で、走行中に転がったり急ブレーキで飛び出したりしないよう固定できるところにします。トランクや荷物の奥にしまうだけでは、車が傾いたりドアが開かなくなったりしたときに取り出せません。取付位置は運転操作やエアバッグの作動を妨げないようにしてください。
実際に窓を割って試すのではなく、平常時に取扱説明書を読み、どの窓が強化ガラスか、どこにハンマーがあるか、ベルトカッターをどう使うかを同乗する家族と共有しておきましょう。政府の車両水没時の脱出手順の公式案内も事前確認に役立ちます。
車が水につかった後の修理や保険の手続きは、命の安全を確保してから考える内容です。補償の範囲については、当サイトの車の水没と車両保険、洪水・津波の補償の違いでも整理しています。
まとめ
脱出用ハンマーは強化ガラスに使う道具で、フロントガラスや一部車種のドアに使われる合わせガラスには対応できません。平常時に車の取扱説明書や窓の刻印から破砕可能な場所を調べ、ハンマーを手の届く位置へ安全に固定しておきましょう。万一水没したら、まずドアと窓を開けることを試し、早期の車外脱出を優先します。
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