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外付け肝臓UTOpiAとは?iPS細胞で肝不全を補う仕組みと実用化時期

iPS細胞を利用した外付け肝臓研究を表した概念図。肝臓と二つの処理カラムをつなぐ体外循環のイメージ テクノロジー・科学

外付け肝臓UTOpiAは、iPS細胞でつくる肝組織を使った体外循環システム

2026年11月7日放送のNHK総合『タモリ・山中伸弥の!? iPS細胞スペシャル』では、「外付け肝臓」の研究が話題になります。外付け肝臓は、肝臓の働きを体の外にある装置で一時的に補助しようとする考え方です。実際の研究例であるUTOpiA(ユートピア)は、iPS細胞からつくった肝臓の小さな組織と、炎症に関係する血液成分を取り除く仕組みを組み合わせたシステムです。

2026年11月時点でUTOpiAは人間に対する標準治療ではなく研究段階です。重症の肝不全を再現したラットで、生存率の改善などが確認されています。

UTOpiAの仕組みは「血液の処理」と「肝機能の補助」の二段階

UTOpiAという名称は「Universal Tandem Optimized iHLC with Apheresis System」の略です。東京科学大学と大阪大学などの研究グループが開発し、2025年に成果を公表しました。

装置の中心は、二つのカラム(筒状の処理部分)です。一つ目のGMAカラムは、血液中の顆粒球や単球という白血球の成分を除去し、全身に広がる強い炎症を抑える役割を担います。二つ目のカラムには、iPS細胞から作製した肝細胞を含む肝臓オルガノイドを組み込みます。

肝臓オルガノイドは、肝臓の一部の働きを再現する小さな組織です。研究ではアルブミンの産生、ビリルビンの取り込み、尿素回路に関わる機能などが確認されました。血液を体外で循環させ、二つのカラムを通すことで、炎症の軽減と肝機能の補助を同時に目指しています。

なぜiPS細胞を使うのか

iPS細胞は、皮膚などの体細胞から作られ、さまざまな種類の細胞に変化させられる細胞です。UTOpiAでは、iPS細胞から肝臓に関係する細胞を育て、機能を持つ小さな組織を作製しています。

研究グループは、移植時の免疫反応に関係する遺伝子を改変し、免疫から攻撃されにくくする工夫も加えました。さらに、アルギン酸という材料で細胞組織をゲル状の小さなカプセルに包み、血液と接触させる構造にしています。これは人体に肝臓をそのまま増設する治療ではなく、体外の装置で肝臓の働きを支える技術です。

動物実験で確認された効果は何か

重症の慢性肝不全急性憎悪(ACLF)を再現したラットの実験では、治療を行わない群の48時間以内の生存率が10%以下だったのに対し、UTOpiAを使った群では88.9%でした。別の急性肝不全モデルでも改善が確認されています。

また、血中アンモニアやビリルビンの異常、昏睡の状態、肝組織の障害や全身性の炎症にも改善がみられました。肝細胞成長因子(HGF)の増加や損傷組織の回復を示す所見も報告されています。

ただし、この数字はラットの特定条件下で得られた結果です。人間の患者が同じ割合で助かることを意味しません。安全性や有効性は、今後の臨床試験で検証する必要があります。

どのような病気への応用を目指しているのか

大きな対象は、肝硬変などを背景に急激な肝機能の低下が起こる慢性肝不全急性憎悪(ACLF)や急性肝不全です。重症例では肝移植が重要な選択肢になりますが、提供される臓器には限りがあり、移植までの間に肝機能を支える手段が求められています。

UTOpiAは失われた肝臓を完全に置き換えるものではありません。肝機能を一時的に補助し、炎症を抑えながら患者自身の肝臓の回復を支える治療が目標です。現時点で受診すれば利用できる装置ではありません。

実用化はいつ?若返りとの関係は

東京科学大学が2025年10月に公表した計画では、大量製造方法の確立や大動物での評価を進め、数年以内の臨床試験開始を目指すとしています。これは研究計画であり、実用化日や保険適用時期が決まったという意味ではありません。

肝組織の再生を助ける可能性は報告されていますが、体全体の老化を逆転させたり寿命を延ばしたりする効果が人間で証明されたわけでもありません。臓器の回復と若返り・超長寿は区別して考える必要があります。

国内で既に条件付き承認を受けたiPS細胞の医療製品については、関連記事『iPS細胞実用化の20年とリハート・アムシェプリの最新状況』でも紹介しています。UTOpiAとは対象疾患も承認段階も異なります。

まとめ

外付け肝臓UTOpiAは、iPS細胞から作った肝臓オルガノイドと血液の炎症成分を除去する装置を組み合わせ、肝不全を体外から支える研究です。ラットでは生存率や肝機能の改善が確認されましたが、人間での治療はまだ実用化していません。臨床試験と安全性の検証が今後の重要な段階になります。


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