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龍渓硯とは?辰野町の伝統工芸の特徴・職人・購入方法

長野県辰野町の伝統工芸・龍渓硯をイメージした黒い手彫り硯と筆、墨の画像 伝統工芸

龍渓硯は長野県辰野町で受け継がれる伝統のすずり

龍渓硯(りゅうけいすずり)は、長野県上伊那郡辰野町の山中から産出する龍渓石を使い、職人が手彫りで仕上げる伝統工芸品です。墨のおりや発色のよさ、原石の形と色を生かした造形が特徴で、1987年に長野県知事指定の伝統的工芸品となりました。

2026年11月8日放送予定のNHK総合『小さな旅』では、南アルプスと中央アルプスに囲まれた辰野町を訪ね、米農家や古着店、伝統のすずり作りに携わる人々の暮らしが紹介されます。町に伝わる龍渓硯の魅力を、素材や作り手の視点から見ていきましょう。

龍渓石とは?黒い石が金色や赤褐色に輝く理由

原料の龍渓石は、辰野町の横川地区などで採れる黒雲母粘板岩です。約2億年以上の長い時間を経て形成されたとされ、緻密で、墨をするための石として適した硬さを持っています。

石の内部は青みを帯びた黒色ですが、表面には鉄分の酸化などによって金色、黄褐色、赤褐色の表情が現れます。すべてを均一に磨き込むのではなく、自然な石肌や色の変化を残す作品があるのも魅力です。一面ごとに形や模様が異なり、同じ仕上がりのものはありません。

江戸時代末期から続く龍渓硯の歴史

辰野町でのすずり作りは江戸時代末期に始まり、高遠藩が産業として育てたと伝わります。良質な原石と彫刻の技が合わさり、書道の道具として知られるようになりました。

「龍渓石」という名称は、1935年(昭和10年)に当時の長野県知事・大村清一によって名付けられたとする町の記録があります。1987年2月10日には「龍渓硯」が県の伝統的工芸品に指定されました。現在も機械による大量生産ではなく、素材を見極めながら仕上げる手仕事が伝わっています。

手彫りの技と「陸」「海」のつくり

すずりには、固形墨を水で磨る平らな部分「陸(おか)」と、磨った墨液をためるくぼみ「海(うみ)」があります。龍渓硯の職人は石の厚みや曲線、自然の形に合わせ、それぞれの配置と深さを決めます。

原石の形を読み、専用の刃物で彫り、磨き上げていく工程は根気のいる作業です。書道用の実用品であると同時に、石の色合いや造形を観賞する工芸作品にもなります。用途によっては、文鎮や花器などに仕立てられることもあります。

龍渓硯を受け継ぐ職人と制作体験

龍渓硯の制作は職人の高齢化と担い手の減少が課題です。書家で硯作家の泉石心(いずみせきしん)さんは、硯の制作に加え、高校生や大学生らに石を彫る技を伝える活動を行ってきました。2025年には作り手がごく少数となっていることも報じられています。

辰野町では過去に美術館などで龍渓硯の制作講座が行われました。ただし、常設の体験教室や毎日の工房見学があるとは限りません。参加や見学を希望する場合は、実施日や受け入れ状況を事前に確かめる必要があります。

龍渓硯はどこで買える?価格と問い合わせ先

龍渓硯は、素材の大きさや形、彫刻の細かさ、作家によって作品が異なるため、一律の定価はありません。中古品や骨董品の流通もありますが、その価格を現役作家の新作の相場とみなすことはできません。

新作の取り扱い、販売先、注文や制作体験について知りたい場合は、長野県が工芸品の問い合わせ先として案内する辰野町役場 産業振興課に相談できます。電話は0266-41-1111(代表)です。販売在庫や個別作品の価格、工房の公開状況は事前確認が必要です。

辰野町を訪ねるなら

龍渓硯の産地である辰野町は、中央アルプスと南アルプスの山並みに囲まれた土地です。地域の景色も楽しみたい方は、日本中心の展望台の場所とアクセスも参考にしてください。工芸品の購入や工房見学とは別に計画すると、無理なく町を巡れます。

まとめ

龍渓硯は、辰野町の龍渓石を使い、原石の色や形を生かして手彫りされる伝統工芸品です。江戸時代末期から受け継がれ、1987年には長野県の伝統的工芸品に指定されました。作品ごとに表情が違うのも魅力です。購入先や体験の可否は、辰野町の担当窓口などに事前確認してから訪ねましょう。


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