「めじろ押し」の由来を知ると、言葉の景色が見えてくる
予定やイベントが次々と続くとき、何気なく使う「めじろ押し」という言葉。実は「目白」は地名ではなく、小さな野鳥のメジロが関係しています。『チコちゃんに叱られる!▽めじろ押しの謎▽タンクトップの謎▽色紙の謎(9月4日)』をきっかけに、鳥の習性がどのように子どもの遊びを経て、現在の言葉になったのかをたどります。
この記事でわかること
- 「めじろ押し」の「めじろ」が鳥を指す理由
- メジロの姿から生まれた言葉の意味
- 江戸時代にあった「めじろ押し」という遊び
- メジロとウグイスを見分けるポイント
「めじろ押し」はメジロが枝で押し合う姿から生まれた
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(出典:三鷹市 メジロ(目白)メジロ科)
「めじろ押し」のメジロは、本当に鳥のメジロです。
メジロは仲間同士で体を寄せ、1本の枝に押し合うように並ぶことがあります。その姿を人間が横一列になって押し合う様子に重ねたことが、「めじろ押し」という言葉につながりました。
辞書でも、メジロが木にとまる際に押し合うように並ぶ姿を語源としており、「大勢の人が込み合って並ぶこと」から、現在では「物事が集中して続いていること」という意味でも使われています。
「新作映画が目白押し」「年末はイベントが目白押し」といった表現を考えると、予定が隙間なく並んでいる様子が、枝に並ぶ小鳥の姿と重なって見えてきます。
最初から「予定がたくさん」という意味ではなかった
興味深いのは、鳥の姿から現在の使い方へ直接変化したわけではないことです。
かつて「めじろ押し」と呼ばれる子どもの遊びがありました。大勢が横一列に並んで押し合い、列の外に押し出された人が端へ回って、また押し合うというものです。
辞書には1704年の用例も残っており、江戸時代にはすでに「目白押し」という表現が使われていました。
流れを整理すると、
枝で体を寄せるメジロ → 人が横一列で押し合う遊び → 人が密集する状態 → 予定や物事が次々と並ぶ状態
と意味が広がっていったことになります。
今では物理的に人が押し合っていなくても使えるため、言葉だけを知っていると鳥との関係がすっかり見えなくなっています。
メジロは目の周りの白い輪ですぐ見分けられる
メジロはスズメ目メジロ科の鳥で、全長は約12cm。スズメより少し小さく、体の上側は緑色で、何より特徴的なのが目を囲む白い輪です。
「目が白い鳥」という姿が、そのまま「メジロ」という名前を連想させます。
日本では北海道や山地で季節移動する個体もいますが、各地の林や身近な緑地でも見ることができます。「チィー」という地鳴きのほか、複雑なさえずりも聞かせます。
梅や桜など花の近くで黄緑色の小鳥を見つけ、目の周囲に白いリングがあれば、メジロを見分ける大きな手掛かりになります。
「梅にウグイス」でメジロとウグイスを間違えやすい
メジロと混同されやすい鳥がウグイスです。
春に梅の枝で黄緑色の鳥を見ると「ウグイスだ」と思いたくなりますが、梅の花を訪れる姿をよく見かけるのはメジロです。
ウグイスはメジロのような鮮やかな黄緑色ではなく、もっと落ち着いた緑褐色。さらにメジロには目の周囲の白い輪があります。
日本野鳥の会東京も、ウグイスとメジロがたびたび混同されていることを紹介しています。
つまり春先に「きれいな黄緑色の鳥が梅に来た」と感じたら、まず確認したいのは目です。白い輪がくっきりしていればメジロです。
「目白押し」は小さな鳥の姿を残した日本語
普段の会話では、「イベントが目白押し」「新商品が目白押し」のように使うため、鳥を思い浮かべることはほとんどありません。
しかし言葉をさかのぼると、枝に寄り添う小鳥の姿があり、それを人間の遊びに置き換え、さらに現在の抽象的な意味へ広がった歴史があります。
「予定がぎっしり」と言うのとは少し違い、何かが次々と連なっている景色まで含んだ言葉だと考えると、「めじろ押し」という表現が一段と分かりやすくなります。
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