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決済代行業者はなぜ監督の網から漏れた?全東信で判明した制度の死角【クローズアップ現代】

社会

キャッシュレスを支える会社すべてが金融機関と同じ監督を受けているわけではない

2026年9月7日の「クローズアップ現代 カードが使えない!?キャッシュレス社会の“死角”」では、全東信について「異変の兆候がありながら金融行政の監視の網から漏れていた」という問題が取り上げられます。カード決済を扱い、巨額のお金を動かす会社なら金融庁などが財務状況を監督していると思いがちですが、実際の制度はそれほど単純ではありません。国会でも全東信の破産後、この規制の空白が正式に議論されています。

この記事でわかること

  • 決済代行会社とカード会社の違い
  • 全東信が財務健全性の監督対象外だった理由
  • 決済代行会社がすべて「無規制」というわけではない理由
  • キャッシュレス時代に店舗側が確認したいポイント

決済代行業者はカード会社と加盟店をつなぐ存在

一般的なカード決済では、客がカードを利用すると、カード会社や加盟店契約を担う事業者、決済システムなど複数の会社が間に入ります。

「決済代行会社」は店舗側から見ると、複数ブランドへの対応や審査、決済端末、売上管理、入金などをまとめて利用できる存在です。

ただし、「決済代行会社」と呼ばれる会社がすべて同じ業務をしているわけではありません。

加盟店契約を実質的に決定する会社もあれば、カード会社と店舗の仲介だけをする会社、決済システムだけを提供する会社、全東信のように売上金を早期に立て替える会社もあります。

この違いが、どの法律で、どこまで監督されるのかを分かりにくくしています。

全東信の財務状況は割賦販売法の監督対象になっていなかった

全東信破産後の2026年7月15日、衆議院経済産業委員会でこの問題が取り上げられました。

政府答弁では、カード会社については消費者に与信を行うため、割賦販売法に基づき財務基盤や業務運営体制を要件とした登録制度が設けられていると説明されています。

一方、全東信のように、

カード会社から加盟店へ支払われる立替金を代理で受け取り、

金融機関から資金を借り、

加盟店へ先行して売上金を支払う会社については、

消費者に対する与信を行っていないため、財務状況を監督する対象ではなかった

と経済産業大臣が答弁しています。

さらに政府は、そのため全東信と同様の事業者について財務健全性を把握していなかったことも明らかにしています。

番組概要にある「金融行政の監視の網から漏れていた」というポイントは、まさにここにつながります。

「決済代行会社は無登録・無規制」と考えるのも正確ではない

ただし、ここで注意したいのが「決済代行会社なら何をしても規制されない」という意味ではないことです。

経済産業省の割賦販売法FAQによると、決済代行会社がカード会社から包括的に権限を与えられ、加盟店契約について実質的な最終決定権を持つ場合には、「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」として登録が必要になる場合があります。

一方、一次審査など一部業務だけを行い、加盟店契約の最終判断をカード会社側が持っている場合には、その決済代行会社自身の登録は不要とされています。

つまり、

加盟店を管理するための規制

と、

決済代行会社そのものの財務健全性をチェックする規制

は別の問題です。

全東信問題で大きく浮かび上がったのは後者です。

加盟店へ巨額の資金を先払いする会社でも、銀行やカード会社と同じように自己資本や財務状況を継続的に監督される仕組みにはなっていなかったという点です。

なぜキャッシュレス時代には影響が大きくなるのか

経済産業省によると、日本の2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%、金額にして162.7兆円まで上昇しました。

そのうちクレジットカードは134.6兆円で、キャッシュレス決済金額全体の82.7%を占めています。

現金中心だった時代なら、店は客から受け取った現金をその日のうちに自分で管理できました。

ところがカード決済では、

客が支払う
↓
複数の決済事業者を通る
↓
数日から一定期間後に店舗へ入金される

という構造になります。

この途中にいる事業者が破綻すると、「商品や料理はすでに提供したのに売上代金を受け取れない」という状況が発生します。

キャッシュレス化が進めば進むほど、店舗の売上に占める「まだ自分の銀行口座には届いていないお金」の割合も大きくなり得ます。

全東信のような会社はほかにも存在する

国会では、全東信と同様の業務形態を取る決済代行会社がほかにも存在すると政府が認めています。

一方で、その財務健全性について政府が業界横断的に把握しているわけではありませんでした。

全東信の破産を受け、政府は関係省庁と連携し、クレジットカード決済に関わる決済代行業者の実態を調査する方向で検討すると答弁しています。

今後の制度改正があるかどうかは別として、全東信問題が「一企業の特殊な倒産」で終わらず、決済インフラ全体の制度設計を問い直すきっかけになっていることは重要です。

加盟店が決済サービスを選ぶときに確認したいこと

小規模な飲食店が決済会社の財務を詳細に分析するのは現実的ではありません。

しかも全東信のように公表数字と実態が大きく異なっていたとされる場合、通常の店舗側が問題を見抜くのはさらに困難です。

そのうえで、今後のリスクを下げるために確認したいのは次のような点です。

  • カード売上が何日後に入金されるのか
  • 実際に店舗へ支払う会社はどこなのか
  • カード会社と決済代行会社の契約関係
  • 途中でサービス停止した場合の契約条項
  • 売上金がどのような流れで店舗へ届くのか
  • 1社の端末が停止した場合の代替手段
  • 売上明細や入金履歴を自店側でも保存できるか

特に重要なのは「決済手段を1本に集中させない」という考え方です。

カード端末が止まっても、別系統のQR決済や現金を扱えるようにしておけば、少なくとも営業そのものが停止する危険は小さくできます。

利用者側も「カード+別の支払い方法」が安心

今回の問題は加盟店への影響が中心ですが、消費者にとっても他人事ではありません。

店舗の端末側が突然止まれば、利用限度額に余裕があり正常なカードでも決済できない場合があります。

スマートフォン決済だけ、カードだけと支払い手段を完全に一本化するより、

  • クレジットカード
  • QRコード決済
  • 少額の現金

など複数の方法を用意しておくと、店舗側のシステム障害や決済会社のトラブルにも対応しやすくなります。

まとめ

全東信問題で明らかになった重要な点は、キャッシュレス決済を扱う会社すべてが銀行やカード会社と同じ財務監督を受けているわけではないことです。

全東信のような早期決済代行会社は消費者へ与信を行っていなかったため、政府答弁によれば割賦販売法上、財務状況を監督する対象になっていませんでした。

一方で、加盟店契約について最終決定権を持つ決済代行会社には別の登録規制がかかる場合があります。

「規制されているか、いないか」という単純な二択ではなく、何の業務について、誰が、どこまで監督する制度なのか。その隙間に巨大な資金が流れていたことこそ、「クローズアップ現代」が取り上げるキャッシュレス社会の死角です。

参考リンク


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