売上が消えたわけではないが通常の入金日には受け取れない
2026年9月7日放送の「クローズアップ現代 カードが使えない!?キャッシュレス社会の“死角”」を見て、全東信と契約していた店舗が最も気になるのは「未払いになったカード売上は戻ってくるのか」という点でしょう。結論からいうと、破産手続開始前に発生し全東信からまだ支払われていない売上金は破産債権となり、従来の入金日に受け取ることはできません。一方、国は影響を受けた中小事業者向けに特別相談窓口やセーフティネット貸付、セーフティネット保証1号などを用意しています。
この記事でわかること
- 未払いになったカード売上金の現在の扱い
- 全東信の端末をそのまま使えない理由
- 加盟店が利用できる公的な資金繰り支援
- 新しいカード決済へ切り替える方法
全東信の端末は使用停止、新しい決済手段への切り替えが必要
全東信の破産管財人は、2026年7月6日の破産手続開始に伴い、同社と加盟店とのクレジットカード決済代行サービスを停止しました。
全東信のクレジット端末についても今後使用できず、たとえ端末自体が作動しているように見えてもサービスを利用しないよう案内されています。
そのため加盟店がカード決済を再開するには、別の決済会社やカード会社との契約が必要になります。
クレディセゾンは全東信利用店舗向けに、同社と包括代理加盟店契約を結んでいる事業者として、
- STORES
- ジェイブリッツ
- アルファノート
- USEN FinTech
を案内しています。
これは「必ずこの4社から選ばなければならない」という意味ではありません。既存の取引金融機関、POSサービス、別の決済代行会社などを含め、自店に合ったサービスを新たに契約する必要があります。
未払い売上は破産債権として処理される
全東信を通じてカード決済したにもかかわらず、店舗が破産開始前までに入金を受け取っていない売上について、破産管財人は「未収売上金」として扱っています。
この未収売上金は破産手続上の破産債権となります。
つまり、以前約束されていた入金日に全額がそのまま振り込まれる状態ではありません。
破産財団の資産を調査し、債権者へ配当できる可能性が生じた段階で、破産債権届など必要な手続について案内するとされています。
現時点で、
「いつ戻る」
「何%戻る」
「全額戻る」
と断定できる状況ではありません。
カード会社が全東信に代わって未払い額を自動的に全額補填する制度が発表されているわけでもありません。
加盟店は未入金額を確認できる資料を整理しておきたい
今後の破産手続や資金繰り支援を考えると、店舗側では自店の未入金額を明確にしておくことが重要です。
整理しておきたいのは、
- 全東信との契約書
- カード売上明細
- 日別・月別のカード決済額
- 全東信から過去に受け取った入金履歴
- 未入金となっている売上の対象期間
- 銀行口座の入出金記録
などです。
これは将来の破産手続だけでなく、公的な信用保証制度を利用するときにも重要になります。
実際、全東信を対象としたセーフティネット保証1号では、全東信に対する未収入金などが確認できる帳簿・帳票等が認定手続で必要になる場合があります。
セーフティネット保証1号が全東信について発動
国は2026年7月31日、全東信を**セーフティネット保証1号(連鎖倒産防止)**の指定事業者としました。
指定期間は、
2026年7月6日から2027年7月5日まで
です。
対象となるのは原則として、
- 全東信に対して50万円以上の売掛金債権等を持つ中小企業者
- 50万円未満でも、全東信との取引依存度が20%以上ある中小企業者
です。
認定を受ければ、信用保証協会による一般保証とは別枠の保証を利用でき、保証割合は100%です。
ただし、これは国が53億円の未払いを直接補償して返してくれる制度ではありません。
金融機関から事業資金を借りる際の信用保証を通じ、資金繰りを支える制度です。
日本政策金融公庫にも全東信専用の相談窓口
日本政策金融公庫も2026年7月10日から、全東信の破産による影響を受けた事業者向けの特別相談窓口を全国の支店に設置しています。
中小企業・小規模事業者向けには「経営環境変化対応資金」が案内されています。
2026年7月10日時点の案内では、
- 国民生活事業:融資限度額7200万円
- 中小企業事業:融資限度額7億2000万円
- 設備資金:20年以内
- 運転資金:10年以内
- 据置期間:いずれも3年以内
となっています。
実際の融資の可否や条件は個別審査となるため、「全東信の加盟店なら自動的に借りられる」という制度ではありません。
資金繰りに影響が出ている場合は、売上が完全に尽きてからではなく早めに金融機関や日本政策金融公庫へ相談することが現実的です。
政府は金融機関にも柔軟な対応を要請
金融庁など関係省庁は、全東信破産の影響で飲食店などの資金繰りに重大な支障が生じないよう、金融機関に対して支援を要請しています。
具体的には、
- 資金繰り相談への丁寧な対応
- セーフティネット貸付の活用
- セーフティネット保証1号の活用
- 既存借入の返済条件変更
- 借り換えへの柔軟な対応
などが挙げられています。
全東信から数日後に入る予定だった売上金を仕入れや給与、家賃の支払いに予定していた店舗ほど、突然の未入金は深刻です。
そのため政府も「通常の倒産だから破産手続を待つだけ」ではなく、連鎖倒産を防ぐための資金繰り支援を用意しました。
客側はカードそのものを交換する必要はない
全東信問題で店舗のカード端末が使えなくなったとしても、客が持っているクレジットカードそのものに異常があるとは限りません。
対象店舗でカードが利用できない場合には、
- 現金
- QRコード決済
- 電子マネー
- 別のカード決済端末
など、店舗側が対応している別手段を使います。
クレディセゾンも、全東信の影響でカードを使えない店舗では別の決済手段を利用するよう利用者に案内しています。
「昨日まで使えていた店で突然カードが通らない」という事態が起きても、必ずしもカード会社から自分のカードを止められたという意味ではない点は覚えておきたいところです。
まとめ
全東信からまだ受け取っていないカード売上金は、破産手続上の破産債権として扱われます。
従来の入金日に支払われることはなく、現時点では配当額や時期を確定することもできません。
一方、店舗の営業と資金繰りを維持するため、国は特別相談窓口、セーフティネット貸付、セーフティネット保証1号などを用意しています。
特にセーフティネット保証1号では、全東信に50万円以上の売掛金等を持つ事業者などが対象になり得ます。
「クローズアップ現代」で全東信問題を知った加盟店にとっては、未払い金の回収を待つことと、目の前の営業資金を確保することを分けて考える必要があります。
参考リンク
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