桐たんすを学びに来日した木工職人は3年後に「教える側」へ
2026年9月7日放送の『世界!ニッポン行きたい人応援団』では、桐たんすに魅せられたアメリカ人・ロジャースさんのその後が紹介されます。2023年の初来日から約3年。番組予告には「アメリカで日本の木工技術と桐たんすの魅力を伝える講師へ」とありました。調べてみると、ロジャースさんのフルネームや現在の活動場所、実際に開かれている日本木工の講座まで確認できました。
この記事でわかること
- 番組のロジャースさんのフルネーム
- 日本の木工にのめり込んだきっかけ
- 2026年現在の仕事と活動拠点
- ロジャースさんから日本木工を学ぶ方法
ロジャースさんはCaleb Nakia Rogersという木工職人

出典:桐の蔵「世界!ニッポン行きたい人応援団」2023年放送記事
2023年のテレビ東京公式記事では、番組に登場した人物は米ワイオミング州に住む木工職人「ロジャースさん」と紹介されています。一方、米国のものづくり教育施設Wonder Instituteでは、Caleb Nakia Rogers(ケイレブ・ナキア・ロジャース)さんについて「TV Tokyoの2時間番組で伝統的な桐たんす制作を中心に取り上げられた」と明記しています。経歴や制作分野も一致しており、番組のロジャースさんはCaleb Nakia Rogersさんと確認できます。
現在はワイオミング州ジャクソンホールを拠点にする家具デザイナー・木工家。釘やネジをなるべく使わず木同士を組む日本の「指物」をはじめ、組子、障子、箪笥、仏壇など、日本の伝統木工から強い影響を受けた作品を制作しています。Wonder Instituteでは講師として授業やレクチャーも担当しています。
原点はパブの客から教えられた日本の仏壇
ロジャースさんが日本木工を始めた経緯もかなりユニークです。
テレビ東京によると、約17年前、パブで働いていたロジャースさんは客から日本の仏教について教えられ、その際に見た「仏壇」に衝撃を受けました。それをきっかけに独学で仏壇作りを開始。図書館で日本の道具や障子について調べるうちに箪笥の写真を見つけ、さらにのめり込んでいきました。
本人を紹介した米木工出版社Lost Art Pressの記事でも、ロジャースさんは基本的に独学だったとされています。家具を見て「どうやって組み立てているのか」を考え、同じ継手を何度も試しながら技術を身につけてきました。仕事の約8割を手作業で行い、日本の鉋、ノミ、鋸などを愛用していたことも紹介されています。
つまり、2023年の来日は「何も知らない外国人が初めて木工を体験する企画」ではありません。長年独学を続けてきた職人が、本場の職人から答え合わせをするような旅だったわけです。
2023年に新潟・加茂で桐たんす作りを本格的に学んだ
初来日したロジャースさんが向かったのが、新潟県加茂市。ここで桐たんす工房・桐の蔵に入り、材料選びから木取り、組み立て、鉋がけ、塗装、金具付けまでを学びました。テレビ東京の当時の番組情報では「滞在190時間」と紹介されるほど濃密な内容でした。
特にロジャースさんが強く興味を示したのが、桐たんす独特の「気密性」です。
桐たんすは引き出しを少し大きめに作り、実際の箪笥へ差し込みながら、当たっている部分を鉋で少しずつ削って調整します。削りすぎれば隙間ができるため、職人は音や感触を頼りに紙一枚ほどの差を詰めていきます。完成すると一つの引き出しを押した空気で別の引き出しが動くほど密着することがあります。
ロジャースさん自身も日本製の鉋をアメリカから持参していましたが、本場の職人から鉋台の調整方法などを学び、自分の技術をさらに深めました。
3年後の現在はWonder Instituteで日本木工を教えている
そして2026年。
桐の蔵は9月7日の放送について「前回の放送から約3年」「アメリカでのその後の人生」が追加されると告知しています。番組側も、帰国したロジャースさんが日本の木工技術と桐たんすの魅力を伝える講師になったと予告しています。
現在ロジャースさんが教えているのが、ワイオミング州ジャクソンホールのWonder Instituteです。同施設はロジャースさんをMaker in Residenceとして紹介し、「釘やネジを使わない日本の指物を得意とする独学の家具デザイナー・メーカー」と説明しています。
実際に「Intro to Japanese Woodworking」という2時間の日本木工入門講座も掲載されており、掲載価格は35ドル。さらに箪笥の角の継手を手で刻む「Tansu Joinery Workshop」、組子を学ぶ講座、日本の鉋を扱う講座なども展開されています。
日本で学んだ技術を自分の作品だけに使うのではなく、アメリカで次の人へ伝える側になった。この変化こそ、今回の「3年後」の大きな見どころになりそうです。
Esho Funi名義で家具制作も続けている
ロジャースさんは「Esho Funi」という名前で家具制作も行っています。
公式サイトでは、仏壇、箪笥、照明、その他の家具などを掲載。日本の手工具を使い、伝統技法をベースにしたオリジナル家具を制作すると説明されています。オーダー家具についての問い合わせも受け付けています。
興味深いのは、テレビ出演をきっかけに突然日本木工を始めたわけではないことです。2020年のLost Art Pressの記事の時点ですでに、日本式箪笥や仏壇を中心に注文家具を制作し、木工教室も開いていました。日本での修業は、それまで独学で築いてきた技術を一段深める転機だったといえます。
実用情報
ロジャースさんの現在の活動を追うなら、最もわかりやすいのはWonder Instituteです。所在地は米ワイオミング州Jackson Hole。日本木工、組子、箪笥の継手などの講座が掲載されています。講座内容や料金は開催時期によって変わるため、参加を考える場合は公式ページの最新情報を確認してください。
作品を見るなら本人のEsho Funi公式サイトも便利です。Tansu、Butsudan、Andonなど、日本文化から影響を受けた作品をカテゴリー別に見ることができます。
まとめ
『世界!ニッポン行きたい人応援団』のロジャースさんは、Caleb Nakia Rogersさん。独学で日本の仏壇や箪笥を研究し続け、2023年に初来日して新潟・加茂の桐たんす職人から本格的な技術を学びました。
そして3年後の2026年には、ワイオミング州で日本木工を教える講師へ。番組で描かれる「人生が変わった」という表現は大げさではなく、日本で受け取った技術をアメリカで次の人へ渡すところまで進んでいます。
参考リンク
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