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奥飛騨の温泉うなぎ養殖と石田清一さんの挑戦|午後LIVE ニュースーン

社会

雪国・奥飛騨でウナギを育てるカギは温泉の熱

2026年9月8日放送のNHK『午後LIVE ニュースーン』で、奥飛騨温泉郷の新しい名物づくりとして取り上げられるのが「温泉を利用したウナギ養殖」です。冬には氷点下になる岐阜県北部で、なぜ暖かい水を好むウナギを育てられるのでしょうか。

その中心にいるのが、奥飛騨ガーデンホテル焼岳の石田清一さんです。温泉をお風呂だけで終わらせず、ウナギやチョウザメ、スッポンなどの養殖にも利用してきました。温泉街の新しい名物を生み出そうとする取り組みを詳しく紹介します。

この記事でわかること

  • 奥飛騨でウナギを養殖できる理由
  • 温泉を使うことでウナギの成長がどう変わるのか
  • 石田清一さんと奥飛騨ガーデンホテル焼岳の取り組み
  • 温泉うなぎを食べたい場合に確認しておきたいポイント

奥飛騨では温泉水を利用してウナギを養殖してきた

温泉水でウナギの陸上養殖 岐阜県下呂市で新事業、土用の丑の日に本格販売:中日新聞Web

出典:温泉水でウナギの陸上養殖 岐阜県下呂市で新事業、土用の丑の日に本格販売:中日新聞Web

奥飛騨で温泉を利用したウナギ養殖に取り組んできたのが、奥飛騨ガーデンホテル焼岳の石田清一さんです。

2023年の東海テレビ取材時点で、養殖はすでに約8年前から続けられていました。計算すると2015年前後から試行錯誤が始まっていたことになります。

テレビ朝日の取材では、施設内でおよそ1,000匹のウナギが養殖されている様子も紹介されました。

奥飛騨ガーデンホテル焼岳の公式サイトでは、現在も会社代表として石田清一さんが掲載されています。ホテルは高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根にあり、敷地内に自家源泉を持つ温泉宿です。

なぜ寒い奥飛騨でウナギが育つのか

ポイントは「水温」です。

ウナギは水温によって活動量や食欲が変わる魚です。東海テレビの取材では、養殖には30℃近い水温が必要とされる中、奥飛騨では温泉の熱を利用することで冬でも水温を保ち、ウナギが冬眠状態にならず成長を続ける仕組みが紹介されています。

普通なら雪深い奥飛騨の冬は養殖に不利です。

ところが、この地域には大量の温泉があります。人間にとっては「熱すぎるから冷まして入る」ほどのお湯が、養殖施設では逆に貴重な熱源になります。

寒い地域で水槽を電気や燃料だけで温め続けると大きなコストがかかりますが、もともと地下から湧いている温泉熱を利用できれば、地域にある資源を有効活用できます。

温泉地だからこそ寒冷地でウナギを育てられる。ここが奥飛騨の温泉養殖の面白いところです。

「2年以上」が「早ければ半年」になるほど成長した例も

石田さんは2023年の取材で、一般的には出荷サイズまで2年以上かかるケースがある一方、奥飛騨では早い個体なら半年ほどで大きく育ったと説明しています。

これは「温泉成分を飲ませれば急成長する」という話ではありません。

大きいのは、暖かい水温を保つことで寒い時期にも活動や摂餌を続けられる点です。冬場に成長が止まりにくければ、その分、年間を通じて育てられます。

石田さんは取材で肉質についても手応えを語り、奥飛騨を将来的にウナギの産地にしたいという構想を示していました。

温泉旅館が自分たちの源泉を使い、食材そのものをつくる。料理を仕入れて提供するだけではない、新しい観光地づくりです。

石田清一さんは温泉を「入浴以外」に使い続けてきた

石田さんの取り組みはウナギだけではありません。

奥飛騨ガーデンホテル焼岳ではチョウザメも養殖し、「奥飛騨産フレッシュキャビア」として料理に利用しています。

ホテル公式サイトによると、チョウザメは厳しい冬には源泉を利用し、暖かい季節には平湯川の伏流水で育てています。採れたキャビアは宿の料理として提供されています。

岐阜県の登録店情報にも、同ホテルがすっぽんやチョウザメを養殖し、料理として提供していることが掲載されています。

さらにJR東海の「いいもの探訪」では、奥飛騨キャビアの養殖場で1万2,000匹以上のチョウザメが飼育されていると紹介されています。

ウナギ、スッポン、チョウザメ。

一見すると雪深い山間部とは結び付きにくい生き物ですが、「豊富な温泉熱」という条件を使えば奥飛騨ならではの食材になります。

温泉うなぎと奥飛騨キャビアは同じ発想から生まれている

奥飛騨の取り組みを理解するときに重要なのが、「熱を捨てない」という考え方です。

温泉は湧き出した瞬間から価値があります。しかし浴槽で使っただけで終わらせれば、利用方法は1つです。

奥飛騨では、その熱を発電、暖房、融雪、農業、養殖へ広げてきました。

東海テレビの取材では、冬の奥飛騨で温泉熱を使ってドラゴンフルーツを栽培するハウスも紹介されています。温泉による床暖房で、外気温が氷点下になる時期でも南国系の植物を育てていました。

「温泉街=お風呂」という従来のイメージから、「温泉街=熱エネルギーの産地」へ発想を変えたわけです。

ウナギは、その変化を観光客にも分かりやすく伝えられる存在になっています。

地熱発電とウナギ養殖は実は同じ地域再生策

石田さんはウナギ養殖だけでなく、大規模な地熱開発にも関わってきました。

2023年の報道では、奥飛騨ガーデンホテル焼岳付近で進められていた地熱発電計画について、地下約2,000mまで掘削する構想を語っています。事業者側の計画では5,000kW級の発電を目指していました。

発電と養殖は、一見すると別事業に見えます。

しかし根っこは同じです。

奥飛騨の地下にある熱を、旅館の風呂以外にも使い、新しい収入や雇用、名物を生み出す。その発想から、地熱発電も温泉うなぎも生まれています。

人口減少や人手不足に悩む温泉地にとって、「ここにしかない資源で稼ぐ」という仕組みをつくれるかどうかは大きな意味を持ちます。

奥飛騨ガーデンホテル焼岳ではキャビア料理も楽しめる

奥飛騨ガーデンホテル焼岳は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根2498-1にあります。

ホテルの特徴は、自家源泉から湧く「うぐいすの湯」。公式サイトでは、敷地内に自家源泉を保有する温泉宿として紹介されています。

料理では、ホテル自身が養殖している奥飛騨産フレッシュキャビアが現在も公式サイトで紹介されています。

一方、温泉うなぎについては過去の報道でホテルや地域での提供が紹介されていますが、今回確認した現在のホテル公式料理ページでは、キャビアのように常設料理として明記されていません。

そのため「ニュースーンで見た温泉うなぎを食べたい」という目的で訪れる場合は、宿泊予約時に提供状況を確認しておくのが確実です。

ウナギ養殖は誰でも自由に始められる事業ではない

温泉があれば簡単にウナギ養殖を始められるわけではありません。

国内のウナギ養殖業は資源管理の対象です。水産庁によると、ニホンウナギなどを対象とするウナギ養殖業は農林水産大臣の許可が必要な指定養殖業となっています。養殖業者ごとに稚魚の池入れ数量も管理されています。

ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギは天然資源への依存が大きく、単純に生産量を増やせばよいというものではありません。

そのため奥飛騨の温泉うなぎが地域産業として広がるとしても、「温泉で早く育てる技術」と「限られたウナギ資源をどう利用するか」はセットで考える必要があります。

この点も、単なるご当地グルメとは少し違うところです。

実用情報|温泉うなぎや奥飛騨の養殖を訪ねるなら

奥飛騨ガーデンホテル焼岳は、奥飛騨温泉郷の新平湯温泉エリアにあります。

所在地は岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根2498-1。公式サイトでは宿泊予約のほか、日帰り温泉についても案内されています。

温泉うなぎを目的にする場合は、料理としての提供日やプランを予約前にホテルへ確認するのがおすすめです。

同ホテルの「奥飛騨産フレッシュキャビア」は現在も公式料理ページで紹介されているため、温泉熱を使った養殖そのものに興味がある人はこちらも注目です。

なお、奥飛騨温泉郷には「うな亭」というウナギ専門店もありますが、今回紹介している石田さんの温泉うなぎ養殖とは別の店舗です。奥飛騨温泉郷観光協会によると、うな亭は一重ヶ根723にあり、うな丼やうなぎおむすびを提供しています。混同しないようにしたいところです。

まとめ

雪深い奥飛騨でウナギ養殖という組み合わせは、一見すると不思議です。

ところが地下から豊富な温泉が湧く奥飛騨では、その「暖かさ」が大きな武器になります。

石田清一さんらは温泉熱を利用して冬でもウナギが成長できる環境をつくり、さらにスッポンやチョウザメの養殖にも取り組んできました。現在では奥飛騨産キャビアという実際の商品にもつながっています。

地熱発電で電気をつくり、温泉で旅人を温め、余った熱を使って食材を育てる。

『午後LIVE ニュースーン』で紹介される温泉うなぎは、単なる珍しい養殖方法ではなく、「温泉街そのものを新しい産業に変えていく」という奥飛騨の挑戦を象徴する存在です。

参考リンク

 


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