「ナピラ出没注意」の看板から始まる本庄のご当地グルメ
2026年9月19日放送の『ぶらり途中下車の旅』では、小島奈津子さんが高崎線をぶらり旅。埼玉県本庄市で見つけるのが、まるで動物への警告看板のような「ナピラ出没注意」の文字です。
では、ナピラとはいったい何なのか。その正体は、納豆・ピザ・ライスの頭文字を取った「納豆ピザライス」。1970年代から1980年代に本庄周辺の喫茶店で食べられていた料理が、現在は本庄のご当地グルメとして受け継がれています。番組でも「ナピラって何?」が今回の大きなフックとして紹介されています。
そして気になる「出没注意」という言葉も、ナピラが危険という意味ではありません。以前から本庄でナピラを広めるPR活動に使われてきた、思わず足を止めたくなるユニークな表現なのです。
この記事でわかること
- 「ナピラ出没注意」という看板の意味
- ナピラ=納豆ピザライスとはどんな料理なのか
- ナピラが本庄で生まれ、再び広まった経緯
- 本庄でナピラを食べられる代表的な店
「ナピラ出没注意」は危険の警告ではなくナピラを広めるPR表現

『ぶらり途中下車の旅』の予告だけを見ると、まず気になるのが「ナピラ出没注意」という不思議な言葉です。
クマやイノシシの「出没注意」を思わせますが、もちろんナピラが突然襲ってくるわけではありません。
この「ナピラ出没注意」という表現は、少なくとも2024年には本庄市内のイベントで、ナピラのPR活動に使われていました。
本庄商店会のハロウィーンイベントでは、「ナピラに恋して委員会」の一員として活動する持田崇裕さんが、「ナピラ出没注意」と書かれた看板を身につけてナピラをPRしていたことが確認できます。
つまり「出没注意」は本当の警告ではなく、注意看板のようなインパクトを使って、
「本庄にはナピラという変わった食べ物がありますよ」
と興味を持ってもらうために使われている表現と考えるのが自然です。
なお、「なぜ最初に『出没注意』という言葉を選んだのか」という正式な命名理由については、本庄商工会議所などの一次情報では確認できません。
そのため、「クマ出没注意をもじって作った」などと由来まで断定するのは避けた方が正確です。
確認できるのは、「ナピラ出没注意」という看板が番組以前から存在し、ナピラのPR活動で使われていたということです。
ナピラの正体は「納豆・ピザ・ライス」
ナピラは、
- ナ=納豆
- ピ=ピザ
- ラ=ライス
から名付けられた納豆ピザライスです。
本庄商工会議所青年部などによる公式紹介では、1970年代から1980年代にかけて、本庄市を中心とした埼玉県北部の喫茶店で人気だった料理とされています。
名前から想像すると、ご飯の上に丸いピザをのせる料理にも思えますが、実際は少し違います。
本庄市によると、「ピザ」という名前が入っているものの、作り方としてはドリアに近い料理です。
ご飯と納豆に野菜などを合わせ、チーズをのせてオーブンなどで焼くスタイルが基本となっています。
納豆とチーズはどちらも発酵食品。さらに熱々のご飯が加わるため、見た目以上に相性のいい組み合わせです。
現在の本庄では店ごとのアレンジも進み、「ナピラ」という名前自体が1つの料理カテゴリーのようになっています。
ナピラは40年以上前の本庄の喫茶店で食べられていた
ナピラには、町おこしのために最近考案された新しい料理とは違う歴史があります。
本庄市が過去の記録や聞き取りを調べたところ、約40年前、市内の複数の喫茶店で納豆ピザライスに近い料理が提供されていました。
具体的な店名として、本庄市は当時の「チェチェメニ」「ホンキートンク」を挙げています。
店によって名称や形には多少違いがあったものの、現在の納豆ピザライスにつながる料理が存在していたことが、市の調査で確認されています。
その後、昔ながらの喫茶店が減少。
納豆ピザライスも外食で見かける機会が減っていきましたが、家庭や一部の飲食店で味そのものは受け継がれていました。
ここがナピラの面白いところです。
いったん消えかけた地域の喫茶店メニューが、数十年後に「本庄らしい食べ物」として再発見されたのです。
2017年の「こだまめしグランプリ」でナピラが再び注目された
転機となったのは2017年。
本庄児玉地域の食をテーマにした「こだまめしグランプリ2017」で、本庄商工会議所青年部が出品した「焼きなっとうピザライス」がご当地グルメ第1位に選ばれました。
これをきっかけに、昔の納豆ピザライスが再び注目されます。
その後は本庄商工会議所青年部や「ナピラにKoiして委員会」などが普及活動を展開。
2023年から2024年にかけては、本庄市内の飲食店や観光スポットを回る「ナピラに恋するスタンプラリー」も開催されました。
この企画では30店もの飲食店が参加。ナピラが昔ながらの1品だけではなく、本庄の街を巡って楽しむご当地グルメへ発展していることが分かります。なお「ナピラ」は本庄商工会議所の登録商標です。
「ナピラ出没注意」という遊び心のある言葉が似合うのも、こうした街ぐるみの活動が背景にあります。
本庄では約30店がそれぞれ違うナピラを作っている
ナピラには、全国共通の厳格なレシピがあるわけではありません。
公式紹介サイトでは、約30店舗がそれぞれ独自のナピラを提供しています。
例えば、
- 土鍋で提供する和風ナピラ
- ガーリック風味の納豆チャーハン+チーズ
- 肉味噌やザーサイを使った中華風ナピラ
- アボカドと温泉卵を合わせたナピラ
- 納豆・ご飯・チーズをパン生地で包んだ揚げナピラ
- 納豆チャーハン+チーズのナピラ
などがあります。
つまり「納豆ピザライス」という名前から想像する1皿だけではありません。
納豆・ライス・チーズを軸にしながら、店ごとに自由に進化しているのが現在のナピラです。
これも、最初から完成されたご当地グルメとして作られたのではなく、喫茶店や家庭で受け継がれてきた料理だからこその広がりといえます。
昔ながらのナピラなら「喫茶 えとせとら」
昔の納豆ピザライスに近いスタイルを知りたい人に分かりやすい1店が、喫茶 えとせとらです。
公式ナピラサイトでは、「1978年の開業から変わらない味」と紹介されています。
- 店名:喫茶 えとせとら
- 住所:埼玉県本庄市北堀278-1
- 電話:0495-21-8672
- 営業時間:11:00~20:00
- ラストオーダー:19:30
- ランチ:11:30~13:30
- 定休日:第1・第3日曜日
- 駐車場:10台
1978年といえば、ナピラが本庄周辺の喫茶店で広まっていた時代と重なります。
現在のアレンジされたナピラと、昔ながらの納豆ピザライスを食べ比べてみるのも、本庄ならではの楽しみ方です。
ただし、『ぶらり途中下車の旅』で小島奈津子さんがこの店を訪れることが放送前に公式確認されているわけではありません。
番組に登場する店と、代表的なナピラ提供店は分けて考える必要があります。
パンや餃子まである現在の進化系ナピラ
現在のナピラで特に面白いのは、もはや耐熱皿に入った料理だけではないところです。
パン・ド・ミでは、納豆、チーズ、ご飯、ネギ、ピーマン、ソーセージなどをパン生地で包んで揚げたナピラを提供。
中華料理ちゃいなちゃいなでは、納豆チャーハンとチーズを組み合わせた「ナピラちゃーはん」のほか、「ナピラ豚丼」「ナピラぎょうざ」まで展開しています。
かつての喫茶店メニューをそのまま保存するだけではなく、
「納豆+チーズ+ライスなら、こんな料理にもできる」
と各店が発想を広げてきました。
だからこそ、本庄の街中でさまざまな姿のナピラが「出没」しているという言葉も、今のナピラにはよく似合います。
「ナピラ出没注意」の看板まで含めて本庄のナピラ文化
今回の『ぶらり途中下車の旅』では、「ナピラとは何か」だけでなく、入口になる「ナピラ出没注意」という看板そのものにも注目です。
ナピラは40年以上前の喫茶店メニューから始まり、一度は店で見かける機会が少なくなりました。
それを地元の人たちが掘り起こし、イベントやスタンプラリー、個性的な看板などを使いながら広めてきました。
単に「変わった納豆料理があります」というだけではなく、地域の人たちが楽しみながら名物を育ててきたことまで含めて、現在のナピラなのです。
「ナピラ出没注意」の文字を見て、
「ナピラって何?」
と思った時点で、その看板の狙いはかなり成功しているのかもしれません。
まとめ
『ぶらり途中下車の旅』に登場する「ナピラ出没注意」は、危険なものへの警告ではなく、本庄のご当地グルメ・ナピラを印象づけるために使われてきたユニークなPR表現です。
ナピラの正体は、納豆・ピザ・ライスから名付けられた「納豆ピザライス」。
1970年代から1980年代に本庄周辺の喫茶店で食べられていた料理が、2017年のご当地グルメイベントなどをきっかけに再び注目されました。
現在では昔ながらのナピラだけでなく、チャーハン、パン、餃子などにも進化しています。
「ナピラ出没注意」という謎めいた看板の向こうにあるのは、40年以上前の喫茶店文化を現在まで楽しく受け継いできた、本庄ならではの食文化です。
参考リンク
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