79㎡のマンションに弓道練習場と防音室を実現した「となりあう囲い」
2026年9月24日放送の「見取り図の間取り図ミステリー」では、兵庫県にある個性的なリノベーションマンションが登場します。住まいの中に設けられているのは、夫が長年続けてきた弓道を練習するための細長い空間と、妻がバイオリンを演奏できる防音室です。
この住まいの作品名は「となりあう囲い」。大阪のリノベーション会社・シンプルハウスが手掛けた築29年、79㎡のマンションで、工事費は960万円、工期は90日です。2025年には「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」で特別賞「弓の協奏リノベーション賞」を受賞しました。
単に趣味の部屋を追加しただけではありません。夫婦それぞれが自分の時間を大切にしながら、室内を回遊でき、光や風も行き渡るように設計されています。
この記事でわかること
- 79㎡・工事費960万円・工期90日のリノベーション内容
- マンション内につくられた弓道練習スペースの仕組み
- バイオリン用防音室の位置と防音方法
- シンプルハウスが手掛けた住まいづくりと受賞内容
兵庫県79㎡・工事費960万円・工期90日のリノベーション
公式動画:見取り図の間取り図ミステリー 2026年9月24日よる10時~放送!
「となりあう囲い」は、兵庫県にあるマンションを全面的にリノベーションした住宅です。
シンプルハウスが公開している施工データは次の通りです。
- 所在地:兵庫県
- 建物:マンション
- 築年数:29年
- 面積:79.00㎡
- 工事費:960万円
- 工期:90日
- 施工会社:株式会社シンプルハウス
工事費960万円は施工当時の金額です。
住むのはFさん夫婦。もともとは夫婦とも実家が戸建てだったため、自分たちも家を持つなら戸建てというイメージを持っていました。
しかし都市部で戸建てを探すと、隣家との距離や物件価格など、思い描いていた暮らしとの違いが見えてきます。
そこで候補に浮上したのが中古マンションのリノベーションでした。
夫婦が戸建てで実現したかった大きな希望は2つ。
夫の弓道練習スペースと、妻のバイオリン用防音室です。
一見するとマンションでは難しそうな条件ですが、シンプルハウスからマンションでも実現できると提案されたことで、住まい探しの方向が変わりました。
最終的に選んだのは、以前からなじみがある地域に建つ、駅から近く眺望にも恵まれたマンションでした。
マンション内に弓道練習場をつくった間取り
「となりあう囲い」の中でも特に目を引くのが、マンションの一室に設けられた弓道の練習スペースです。
夫は長年弓道を続けており、現在も弓道が暮らしの一部になっています。
そのため、新しい住まいでも弓や道具を単に収納するのではなく、日常の中で身近に感じながら練習できる空間が求められました。
そこで夫の部屋の一角につくられたのが、細長く伸びる弓道練習スペースです。
ただし、自宅の中に一般的な弓道場をそのまま再現したわけではありません。
通常の弓道場では的まで約28mの距離がありますが、この住まいの練習スペースはそこまでの長さは確保されていません。
自宅では、野球でいえば素振りに近い形で、弓を引く動作や姿勢を確認するための場所として使われています。
つまり「家の中から的へ矢を28m飛ばす弓道場」ではなく、弓を引くために必要な細長い空間を住居の中へ組み込んだ設計です。
この細長いスペースの先はキッチンのパントリーへつながっています。
趣味専用の行き止まり空間にするのではなく、室内の空気が循環する経路にもなっているのが特徴です。
弓道のためだけに部屋を1つ完全に独立させるのではなく、生活動線の中へ溶け込ませたところに、この間取りの面白さがあります。
バイオリンを楽しむための防音室も設置
もう1つの大きな特徴が、妻がバイオリンを練習するための防音室です。
バイオリンは自宅で楽しめる楽器ですが、マンションでは音が隣室や上下階へ伝わる問題があります。
「となりあう囲い」では、防音室を住戸の端ではなく室内の中心付近に配置しました。
防音室には、
- 天井に吸音素材
- 四方の壁にグラスウール
- 周囲へ音が伝わりにくい室内中央の配置
といった対策が施されています。
ポイントは、防音性能だけを考えて厚い壁で囲った部屋をつくったのではなく、住戸全体の間取りの中で音が近隣へ伝わりにくい位置を選んだことです。
夫には弓道。
妻にはバイオリン。
趣味はまったく異なりますが、それぞれが自分の好きなことを自宅で続けられるよう、2つの専用スペースが同じ79㎡の住まいに共存しています。
個室を細かく分けながら光と風がつながる設計
この家が特徴的なのは、弓道とバイオリンだけではありません。
Fさん夫婦が住まいづくりで大切にしていたのが、**「個々の時間と空間を大切にすること」**でした。
夫婦であっても寝室は別々。
一般的な大きなリビングを中心に家族が集まる間取りではなく、それぞれが落ち着いて過ごせる場所を確保しています。
一方で、部屋を完全に壁とドアで分断すると、79㎡のマンションでは閉塞感が生まれます。
そこで壁の量を抑え、腰壁や柱、梁などを使って空間を緩やかに分けました。
室内をぐるりと移動できる回遊動線も設けられています。
空間は細かく分かれているのに、光や風は住戸全体へ行き渡る。
「1人で過ごす場所」と「2人で暮らす家」を両立させた設計になっています。
和の雰囲気も大切にしており、木材には檜を採用。
玄関土間には飛び石を配置し、配管を隠すための小石も和の景色として生かしています。
必要なものを足すだけではなく、本当に必要ではないものを減らしながら、自分たちに合った空間を組み立てています。
施工会社は大阪のシンプルハウス
「となりあう囲い」を手掛けたのは、株式会社シンプルハウスです。
大阪を拠点として、中古住宅探しから設計、施工、インテリアまでリノベーションを手掛けています。
Fさん夫婦とシンプルハウスとの出会いは、天神橋筋商店街で見かけたリノベーションの展示でした。
そこから資料請求を行い、セミナーへ参加。
ほかの会社も検討したうえで、シンプルハウスとの個別相談や物件探しへ進みました。
夫婦が実現したかった弓道練習スペースと防音室についても、「マンションだから無理」と諦めるのではなく、間取りや位置、素材を工夫することで形にしています。
住宅の広さを単純に「何LDK」と考えるのではなく、
「この家で何をしたいのか」
から逆算して設計したことが、「となりあう囲い」の大きな特徴です。
リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025特別賞を受賞
「となりあう囲い」は、一般社団法人リノベーション協議会が開催する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」で特別賞を受賞しました。
賞の名称は、
「弓の協奏リノベーション賞」
です。
同賞では2025年、全206作品の応募から60作品が入賞し、その後の最終選考でグランプリや各部門賞、特別賞が選ばれました。
「となりあう囲い」は施工費800万円以上1500万円未満の作品として、960万円・79㎡でエントリーしています。
審査でも大きなインパクトとなったのが、やはりマンションの中に弓道練習スペースと防音室を設けた点でした。
しかし評価されたのは珍しさだけではありません。
夫婦それぞれの寝室と趣味のスペースを確保しながら共有スペースも残し、生活動線まで考えられた間取りになっていることも評価されています。
趣味を楽しむために大きな戸建てを建てるのではなく、79㎡の中古マンションを選び、今ある空間を自分たちの暮らし方に合わせて再構成する。
「となりあう囲い」は、リノベーションだからこそ実現できる住まい方を示した事例といえます。
まとめ
「となりあう囲い」は、兵庫県にある築29年・79㎡のマンションを、工事費960万円・工期90日でリノベーションした住まいです。
最大の特徴は、夫のための弓道練習スペースと、妻がバイオリンを演奏するための防音室を同じマンション内に実現したこと。
さらに、
- 夫婦別々の寝室
- 回遊できる生活動線
- 光と風を遮らない緩やかな間仕切り
- 檜を使った和の空間
- 防音室を室内中央へ配置する工夫
など、夫婦の暮らし方そのものから間取りがつくられています。
その発想と設計が評価され、「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」では特別賞「弓の協奏リノベーション賞」を受賞しました。
マンションでも趣味を諦めず、「自分たちが家で何をしたいか」から間取りをつくる。「となりあう囲い」は、そんなリノベーションの可能性がよく分かる住まいです。
参考リンク
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