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「Deep Time」洞窟で40日間暮らした15人の実験結果|時計・太陽・スマホなしで体内時計はどうなった【世界まる見え】

ドキュメント

Deep Timeで明らかになった「時間を失った人間」の変化

2026年10月5日放送の「世界まる見え!テレビ特捜部」では、15人が洞窟の中で40日間生活した異例の実験が登場します。

実験の名前は「Deep Time」。2021年、フランスのロンブリーヴ洞窟で、太陽光や時計、外部との通信といった「今が何時なのか」を知る手掛かりを断ち、参加者自身の睡眠や空腹などを基準に生活する研究が行われました。

そして2026年、40日間のデータを詳しく分析した研究論文が発表されています。

最大のポイントは、洞窟内で参加者の睡眠・活動周期が24時間から大きくずれ、平均31.6時間まで延びたことです。一方で、地上に戻って太陽や時刻などの手掛かりを取り戻すと、24時間の生活周期は速やかに回復しました。

この記事でわかること

  • Deep Timeで15人が40日間どんな生活をしたのか
  • 時計も太陽もない生活で睡眠・活動周期がどう変化したのか
  • 参加者が「40日」を約30日ほどに感じた理由
  • 2026年に発表された研究で明らかになった睡眠・体温・ホルモンの変化

結論:睡眠・活動周期は平均31.6時間まで延びた

公式動画:Human Adaptation Institute「40 jours hors du temps」

Deep Timeで特に興味深い結果が、人間の「1日」の変化です。

2026年に学術誌「Chronobiology International」で発表された研究では、参加者15人のうち解析対象となった13人について、洞窟に入る前には平均24.1時間だった睡眠・活動周期が、洞窟生活中には平均31.6時間まで延びました。

  • 洞窟に入る前:平均24.1時間
  • 洞窟生活中:平均31.6時間
  • 40日間に経験した周期:24~31周期
  • 平均:約29.3周期

つまり現実には40日間が経過していても、参加者自身の身体と生活は「約29日分」ほどしか周期を刻んでいなかったことになります。

実験終了が知らされた時、多くの参加者は自分たちがまだ30周期ほどしか過ごしていない感覚でした。企画側の記録でも、40日目に出口を告げられた時点で、多くの参加者が「30周期目」付近にいると認識していたことが記されています。

ただし、「人間の体内時計そのものが31.6時間になった」と単純に考えるのは正確ではありません。

31.6時間という数字は主に睡眠と活動を合わせた生活周期の平均です。体温やホルモンには別の動きも確認されており、人間の身体のさまざまなリズムが一斉に同じ長さへ変化したわけではありません。

Deep Timeは2021年にフランスの洞窟で行われた

Deep Timeが始まったのは2021年3月14日です。

舞台となったのは、フランス南部アリエージュ県にあるロンブリーヴ洞窟(Grotte de Lombrives)。巨大な地下空間を持つ洞窟で、参加者たちは4月24日まで40日間を地上へ出ることなく過ごしました。

参加したのは7人の女性と8人の男性、合計15人です。

実験を企画・指揮したのは、探検家・研究者の**クリスチャン・クロット(Christian Clot)**さん。人間が未知の環境や危機にどのように適応するのかを研究するHuman Adaptation Instituteを設立し、本人も15人の1人として洞窟へ入りました。

洞窟内には、普段の生活なら当たり前に存在する「時間の手掛かり」がありません。

  • 太陽の光なし
  • 時計なし
  • 外部との通信なし
  • ニュースや日付など外部情報なし
  • 起床時刻や就寝時刻の指定なし

参加者は時計に合わせるのではなく、眠くなれば眠り、目が覚めれば活動するという生活へ切り替えました。

洞窟内はおよそ10℃、湿度100%という環境。生活場所や研究スペースを設置し、40日間で50を超える科学的な測定や実験も行われました。

40日間でも本人たちには約30日しかたっていなかった

私たちは普段、朝になれば明るくなり、夜になれば暗くなります。

さらにスマートフォン、テレビ、時計、食事時間、仕事や学校など、ほぼすべての生活が24時間周期に合わせられています。

Deep Timeでは、この24時間を示す手掛かりがほぼなくなりました。

すると参加者それぞれの睡眠・活動周期は少しずつ長くなり、40日という現実の時間と本人たちが経験する「周期」の間に大きなずれが生まれました。

40日間で平均29.3周期だったため、単純に換算すると約10~11周期分の差になります。

これは「10日間の記憶が消えた」という意味ではありません。

参加者は毎日生活し、食事や作業、研究をしています。ただし「朝が来たから起きる」「夜だから眠る」という外部からの時間情報がないため、自分自身のリズムで起床と睡眠を繰り返した結果、1周期が長くなったのです。

睡眠時間も長くなったが割合は大きく崩れなかった

生活周期が長くなれば、ずっと起きていたのかというと、そうではありません。

研究では周期が延びるのに合わせて睡眠時間も長くなりましたが、睡眠と覚醒の割合は比較的安定していました。

睡眠が占める割合は約36.5%です。

たとえば1周期そのものが長くなれば、起きている時間だけでなく眠っている時間も伸びます。

これは外部の時計から大きく外れた環境でも、身体が必要とする睡眠と覚醒のバランスが完全には失われなかったことを示しています。

人間は24時間という社会の時間から切り離されると生活周期を大きく変える一方、睡眠そのものを調節する仕組みはある程度保たれていたのです。

15人で暮らしても全員の時間はそろわなかった

Deep Timeのもう1つの重要な目的は、「集団なら自然に同じリズムへそろうのか」を調べることでした。

15人が同じ洞窟で生活し、共同作業を行えば、人との交流そのものが時計の代わりになりそうにも見えます。

ところが2026年の研究では、時間がたつにつれて集団全体が一緒に活動する割合は低下しました。

一時的に同じリズムを持つ小さなグループは生まれましたが、15人全体が1つの安定した周期へそろう状態にはなりませんでした。

社会的な交流だけでは、太陽光などの強い時間情報の代わりにはならなかったことになります。

「同じ場所で一緒に暮らしていれば自然に同じ時間になる」というほど、人間のリズムは単純ではありませんでした。

体温のリズムは大きく揺れた

参加者は腕に装着する活動量計だけでなく、身体の深部体温を測定するセンサーなどを使って記録されました。

深部体温にも通常は1日の中で一定の変化があります。

しかし洞窟内では、その周期に大きな個人差が現れました。

研究では体温リズムの周期が19.5~86.4時間と非常に幅広くなっています。初期には身体内部のリズムがばらばらになる「内部脱同調」が確認され、その後、一部では再びリズムがそろう動きも見られました。

睡眠・活動周期だけを見れば平均31.6時間ですが、身体のすべてが31.6時間へ統一されたわけではないことが、ここからも分かります。

メラトニンやコルチゾールの変化は保たれていた

さらに研究チームは唾液を採取し、メラトニンとコルチゾールも調べています。

メラトニンは睡眠との関係が深いホルモン、コルチゾールは覚醒やストレス反応などに関係するホルモンです。

興味深いのは、生活周期が大きくずれているにもかかわらず、起床時と就寝時に見られるホルモンの違いは維持されていたことです。

外部の「午後10時」「午前7時」といった時刻からは離れても、身体は「自分が起きる時」「自分が眠る時」に合わせた生理的な調節を続けていました。

Deep Timeが示したのは、人間の身体が単に壊れていく姿ではありません。

環境に合わせて時間の使い方そのものを組み替えながら、一部の生理機能を維持するという、人間の適応力の大きさでした。

地上へ戻ると24時間周期は速やかに回復した

40日間も24時間から外れた生活をすると、元の生活に戻れなくなるのではないかと心配になります。

しかし研究では、参加者が地上へ戻り、再び太陽光や時計などの時間情報に触れると、24時間の生活周期は速やかに回復しました。

人間のリズムには大きな「可塑性」があるということです。

時間情報がなくなれば環境に応じて大きく変化し、再び通常の環境へ戻れば24時間へ適応し直す。

Deep Timeは、人間の身体が思っている以上に柔軟に時間へ対応していることを示した実験でもあります。

なぜ洞窟で実験する必要があったのか

研究室や地下施設ではなく、ロンブリーヴ洞窟が選ばれたのにも理由があります。

自然の洞窟なら太陽光や時刻情報を遮断しながら、広い空間を歩き、探索し、共同生活を行うことができます。

単に狭い部屋へ閉じ込めるのではなく、人間が未知の環境で生活し、仕事を分担し、他人と協力する状況そのものを研究できる場所だったのです。

Deep Timeでは時間感覚だけでなく、認知、睡眠、体温、ホルモン、集団行動など幅広いデータが集められました。

将来、長期間の隔離生活や極限環境、宇宙での長期滞在などを考える上でも、人間が環境変化へどう適応するかを理解する材料になります。

まとめ

2021年に行われたDeep Timeでは、15人がフランスのロンブリーヴ洞窟で40日間、太陽光や時計、外部との通信といった時間の手掛かりから切り離されて生活しました。

2026年に発表された研究で特に注目される結果は、解析対象となった13人の睡眠・活動周期が、洞窟へ入る前の平均24.1時間から平均31.6時間へ延びたことです。

その結果、実際には40日が経過していても、参加者が経験した周期は平均29.3回。多くの参加者にとっては「まだ30日ほど」という感覚のまま実験終了を迎えました。

一方、睡眠と覚醒のバランスやホルモンの変化など、一部の身体機能は保たれていました。そして地上へ戻ると、生活周期は再び24時間へ速やかに戻っています。

Deep Timeが明らかにしたのは、「時計がなくなると人間は時間を完全に失う」という単純な話ではありません。

太陽や時計という外部の基準がなくなれば、人間は自分自身のリズムで新しい時間を作り始める。そのリズムは人によって異なり、集団で暮らしていても完全にはそろわない一方、通常の環境へ戻れば再び24時間へ適応できる――人間の時間感覚と身体が持つ柔軟さを浮かび上がらせた40日間でした。

参考リンク

日本テレビ「世界まる見え!テレビ特捜部」

Christian Clot「Deep Time」公式ページ

PubMed「Circadian free-running and temporal organization during 40 days of human group isolation in a cave without external time cues」

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Deep Time – 40 jours sous terre


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