ストックマークは「企業の中に眠る知識」をAIで使える資産へ変える会社
ストックマーク株式会社は、独自の生成AI技術を使い、企業の研究開発や新規事業、製造現場などで蓄積されてきた情報を仕事に生かせる形へ変えるAI企業です。
2026年10月8日放送のテレビ東京「ホンキの架け橋~本気をつなぐ人事戦略~」では、独自開発AIで企業変革を支援するストックマークが登場します。同社を率いるのは代表取締役CEOの林達さん。2016年11月に設立され、現在は製造業向けAIエージェント「Aconnect」と、企業データを構造化する「SAT」を中心に事業を展開しています。
この記事でわかること
- ストックマークが開発した1000億パラメータ国産LLM「Stockmark-2」
- 製造業向けAIエージェント「Aconnect」の役割
- 熟練者の暗黙知や図面を資産化する「SAT」
- CEO林達さんが目指す「シゴトを楽しくするAI」
Stockmark-2はゼロから開発した1000億パラメータの日本語LLM
ストックマークの技術力を象徴する存在が、日本語特化型大規模言語モデル「Stockmark-2」です。
2025年3月には「Stockmark-2-100B-Instruct-beta」を公開。パラメータ数は1000億で、既存の公開モデルを土台として追加学習したものではなく、ストックマークがゼロから開発した独自モデルです。経済産業省とNEDOによる国内生成AI開発支援プロジェクト「GENIAC」の支援を受けて開発されました。
特徴として掲げられているのが、
- 日本語に強い
- ビジネス分野の知識を重視
- AIが事実と異なる回答を生成する「ハルシネーション」を抑える
- 商用利用可能なオープンモデルとして公開
という点です。
同社が独自に用意したビジネス知識の評価では、Stockmark-2が90%の正解率を記録し、同じ評価でGPT-4oの88%を上回ったとしています。特に企業での利用では、文章を自然に生成できることだけでなく、業務上の資料や専門知識を正確に扱えることを重視しています。
2025年9月には「Stockmark-2」をNVIDIAの「NIMマイクロサービス」でも提供開始。独自AIを研究段階だけで終わらせず、企業が利用できる基盤へ広げています。
Aconnectは研究開発担当者の「情報を探す仕事」をAIに任せる
ストックマークが製造業向けに提供しているAIエージェントが「Aconnect」です。
もともとは2017年に企業向け情報収集サービス「Anews」として始まりました。その後、情報を届けるだけのサービスからAIが業務を支援する形へ進化し、2025年7月に「Aconnect」へ名称変更されています。
Aconnectが対象としているのは、研究開発や新規事業など、膨大な情報を読み続けなければならない仕事です。
扱う情報には、
- 国内外のニュース
- 論文
- 特許
- 官公庁のレポート
- 社内資料
などがあります。
必要な情報を自動で収集し、事業にとっての「リスク」や「チャンス」を見つけるほか、先行技術調査や技術課題の検討までAIが支援します。
製造業では、新素材や競合技術、法規制、市場変化などを追い続ける必要があります。
人間が毎日大量の記事や論文を探して読む代わりに、AIが必要な情報を整理することで、技術者は「読む作業」よりも「何を開発するか」という判断へ時間を使えるようにするのが狙いです。
SATは図面や熟練者の「暗黙知」までAIが使える形にする
もう1つの柱が「SAT」です。
企業で生成AIを導入するとき、大きな壁になるのが社内データです。
例えば製造業には、
- 図面
- 技術文書
- マニュアル
- グラフ
- 過去の報告書
- 熟練技術者だけが知っているノウハウ
が大量にあります。
しかし、一般的な生成AIへそのまま入力しても、複雑な図面や社内独自の表現を正確に理解できるとは限りません。
SATは、こうした「非構造データ」をAIが利用しやすい形へ整理し、企業固有の知識を資産として使える環境を作ります。2026年には、図面や専門文書だけでなく、文書化されていない熟練者の暗黙知まで企業のコア資産へ変える取り組みを本格化しています。
これは特に製造業で重要なテーマです。
長年働いた技術者が「音を聞けば機械の異常がわかる」「この形状ならこの加工条件がいい」と経験で判断していても、それが文書になっていなければ退職とともに失われる可能性があります。
ストックマークが狙っているのは、生成AIで文章を作ることだけではなく、企業内部に眠っている知識そのものを次世代へ残すことです。
2017年のAnewsから1000億パラメータLLM開発へ
ストックマークは2016年11月に設立されました。
翌2017年には「Anews」をリリース。当初から自然言語処理を使い、企業が必要な情報を見つける仕組みを開発してきました。
その後、AI研究を急速に拡大します。
主な歩みは次の通りです。
- 2016年:ストックマーク株式会社設立
- 2017年:Anewsをリリース
- 2023年:産業技術総合研究所と日本語生成AI研究を開始
- 2024年:経済産業省・NEDO「GENIAC」第1期に採択
- 2024年:1000億パラメータ「Stockmark-LLM-100b」を公開
- 2025年:1000億パラメータ「Stockmark-2」を公開
- 2025年:Anewsを「Aconnect」へ変更
- 2026年:AWSと生成AI領域で戦略的協業
- 2026年:熟練者の暗黙知を資産化する取り組みを拡大
ニュース配信サービスから始まった会社が、自ら大規模言語モデルを開発するAI企業へ変化してきたことがわかります。
CEO林達さんが掲げる「シゴトを楽しくするAI」
ストックマークの代表取締役CEOは林達さんです。
林さんは自らについて「AIの専門家ではありません」と説明しています。
だからこそ技術ありきではなく、「顧客にとって本当に価値があるものは何か」という視点からAI事業を考えてきたとしています。現在ストックマークが掲げるブランドプロミスも「シゴトを楽しくするAI」です。
ここでいう「楽しくする」は、単純に仕事量を減らすことではありません。
ストックマークが問題視しているのは、AIで資料を大量に作った結果、人間がAIの出力内容を延々と確認するような働き方です。
そこで目指しているのが「AI BPR」。
既存の仕事へAIを追加するだけではなく、AIを使うことを前提として業務の流れそのものを作り直します。AIに任せられる作業はAIへ移し、人間は新商品開発や研究、企画、判断など、人にしかできない仕事へ集中する考え方です。
日本を代表する16社と「暗黙知のAI-Ready化」も開始
2026年、ストックマークは経済産業省・NEDOのGENIACで「製造業データ等のAI-Ready化に関する研究開発」に採択されました。
この取り組みでは国内大手企業16社と協力し、それぞれの会社に存在する社内データや暗黙知をAIが利用できる形へ変えるプロジェクトを進めています。得られたノウハウについては、将来的に一般公開する方針も示されています。
さらに2026年4月には産総研グループと「ストックマーク-産総研 大規模言語モデルによる知的創造技術共創プロジェクト」を開始しました。
AIが情報を検索して答える段階から、「新しいアイデアを考える」「企業の意思決定を支援する」段階へ進もうとしています。
ストックマークの会社・サービス情報
ストックマーク株式会社の基本情報は次の通りです。
- 会社名:ストックマーク株式会社
- 英文名:Stockmark Inc.
- 設立:2016年11月15日
- 代表取締役CEO:林達
- 取締役CTO:有馬幸介
- 所在地:東京都港区南青山1丁目12-3 LIFORK MINAMI AOYAMA S209
- 主なサービス:Aconnect、SAT
- 研究開発:Stockmark-2など独自LLM
- 主な対象:製造業、研究開発、新規事業、企業のAI活用
企業向けサービスが中心のため、一般消費者がアプリを購入するタイプの会社ではありません。
一方、林達さんは2026年3月に『CEOのためのAIの教科書 「AI資本経営」を実現する90日ロードマップ』を出版。AIを単なる業務効率化ツールではなく「企業の資本」として経営へ組み込む考え方をまとめています。
まとめ
ストックマークは2016年に設立され、自然言語処理を使った情報収集サービスから出発したAI企業です。
現在は1000億パラメータの日本語LLM「Stockmark-2」を独自開発し、製造業向けAIエージェント「Aconnect」や、社内データをAIが利用できる資産へ変える「SAT」を展開しています。
特に注目されるのが、図面や技術文書だけではなく、ベテラン技術者の頭の中にある「暗黙知」までAIで活用しようとしていることです。
AIに文章を書かせるだけではなく、人が長い年月をかけて蓄積してきた知識を企業全体で利用できる形へ変える。
2026年10月8日の「ホンキの架け橋」で取り上げられるストックマークは、生成AIを「便利な道具」から、企業の仕事そのものを変える基盤へ進化させようとしている会社です。
参考リンク
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