ブラジリアンプラザの現在|ブラジル人の聖地が外国人の再出発を支える場所へ
群馬県大泉町にある「ブラジリアンプラザ」は、かつて日系ブラジル人たちが集まるショッピングセンターとして栄えた場所です。しかし、経済危機によって商業施設としての役割を失い、現在は生活に困窮する外国人を支える施設へと姿を変えています。
2026年10月11日放送のNHK『ドキュメント20min.』では、約30年にわたって変化してきたブラジリアンプラザを舞台に、利用者や運営者、地元住民たちの声を通じて、その現状に迫ります。
建物の2階には、2020年に「リスタートコミュニティ」という一時滞在施設が開設され、当初41室が整備されました。そこは単なる宿泊場所ではなく、仕事や住まいを失った外国人が生活を立て直すための拠点として生まれた場所です。
この記事でわかること
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ブラジリアンプラザの現在の役割と所在地
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ブラジル人の聖地と呼ばれたショッピングセンターの歴史
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2020年に41室が整備されたリスタートコミュニティの誕生
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大泉町の外国人住民と日本定住資料館の役割
ブラジリアンプラザの現在は外国人を支える施設

ブラジリアンプラザがあるのは、群馬県邑楽郡大泉町西小泉4丁目11番22号。東武小泉線の西小泉駅から徒歩約3分の場所です。
かつてブラジルの食料品や生活用品を扱う店が集まった建物は、現在、在日外国人を支援する施設として活用されています。
館内には、多目的室やイベントホールなどがあり、1階には日本定住資料館と大泉町観光協会の事務所も入っています。
そして、建物の大きな転機となったのが、2020年に始まった「リスタートコミュニティ」の活動でした。
新型コロナウイルスの感染拡大によって仕事や住まいを失った外国人たちを受け入れ、再び自立した生活へ戻ることを支える場所として整備されたのです。
ショッピングセンターだった建物が、人々の生活を支える場所へと変わったことが、ブラジリアンプラザの大きな特徴です。
リスタートコミュニティは2020年に41室を整備して開設
ブラジリアンプラザの2階に誕生した外国人支援施設が「リスタートコミュニティ」です。
2020年6月20日に開設式が行われ、同年7月から入居者の受け入れが始まりました。
開設当時の概要は次のとおりです。
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施設名:リスタートコミュニティ
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開設:2020年6月
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入居開始:2020年7月
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場所:ブラジリアンプラザ2階
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当初の整備室数:41室
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支援対象:仕事や住まいを失った日系ブラジル人をはじめとする外国人
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主な目的:一時的な生活の場を提供し、再出発を支えること
活動には、外国人支援団体「ブラジルsolidário横浜」のメンバーも参加しました。
同団体は、開設準備の段階からスタッフとして協力し、フードバンクかながわを通じて提供された食料を届けるなど、生活を支える活動に取り組んでいます。
この施設が必要とされた背景には、外国人労働者が直面する不安定な雇用環境があります。
工場などで働いていた人が職を失うと、収入だけでなく、住まいまで失ってしまうことがあります。
特に新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年は、仕事を失った人が新しい職を見つけることも容易ではありませんでした。
そうした人々が、生活を立て直すまで一時的に身を寄せられる場所として整えられたのが、リスタートコミュニティでした。
1990年代にブラジル人の聖地として誕生したショッピングセンター
ブラジリアンプラザの歴史は、1990年代に大泉町で日系ブラジル人が増加した時代までさかのぼります。
大泉町は、自動車や電機などの製造業が盛んな工業の町です。
1990年の出入国管理及び難民認定法の改正施行を背景に、ブラジルなど南米から多くの日系人が日本へ働きに来るようになりました。
大泉町でも企業や人材派遣会社による受け入れが進み、日系ブラジル人を中心とする外国人コミュニティーが形成されていきます。
しかし、日本に来たばかりの人々にとって、言葉や食事、生活習慣の違いは大きな問題でした。
ブラジルの食品を買える場所や、ポルトガル語で会話ができる場所、故郷の文化に触れられる場所が求められていました。
そうした暮らしの需要に応えるように、ブラジル料理店、食品店、雑貨店などが町に増えていきます。
ブラジリアンプラザも、その流れの中で1990年代半ばに誕生しました。
ブラジルに関係する商店が同じ建物に集まる施設は、日本で暮らす日系ブラジル人にとって、日用品を買うだけでなく、仲間と出会える場所でもありました。
遠く離れた日本で故郷の食べ物を手に入れ、母語で会話ができる。ブラジリアンプラザが「聖地」と呼ばれた背景には、買い物以上の役割があったのです。
リーマンショックがブラジリアンプラザの転機になった
ブラジリアンプラザを取り巻く環境が大きく変化したのは、2008年のリーマンショックでした。
世界的な金融危機によって製造業の生産活動が落ち込み、工場で働く外国人労働者も大きな影響を受けました。
大泉町のように製造業が集積する地域では、工場の仕事が減ることが、外国人住民の暮らしに直接影響します。
それまで多くの買い物客を集めていたブラジリアンプラザも、経済状況の変化によって商業施設としての活気を失っていきました。
やがてショッピングセンターとしての営業は終わり、かつての店舗が集まる姿は失われました。
しかし、建物そのものが消えたわけではありません。
外国人住民が歩んできた歴史を伝える場所として活用され、さらに2020年には生活困窮者を支援する施設へと転換していきます。
かつては仕事を求めて日本に来た人たちの暮らしを豊かにするための商業施設でした。
その場所が、仕事を失った人々の生活を守る施設へと変わったことに、ブラジリアンプラザが歩んだ時代の変化が表れています。
新型コロナウイルスの感染拡大が再出発の施設を生んだ
2020年の新型コロナウイルスの感染拡大は、ブラジリアンプラザにもう一度、大きな変化をもたらしました。
感染拡大による経済活動の停滞で、外国人労働者の中にも職を失い、生活が困難になる人が現れました。
そこで必要とされたのは、単に一晩を過ごす場所ではなく、生活そのものを立て直すための支援です。
リスタートコミュニティでは、一時的な居住場所を提供するとともに、食料の支援や自立に向けた活動が行われてきました。
開設時には41室が用意され、生活に困難を抱えた外国人を受け入れる体制が整えられました。
これは、かつてブラジル人同士が交流していた場所に、新たな助け合いの仕組みが生まれたことを意味します。
ブラジリアンプラザの役割は、買い物を楽しむ場所から、生活の危機を乗り越えるための場所へと変化したのです。
日本定住資料館には日本とブラジルを行き来した人々の歴史が残る
ブラジリアンプラザの1階には、「日本定住資料館」があります。
この資料館では、日本から海外へ移住した人々の歴史と、その子孫が日本へ働きに来るようになった歴史を紹介しています。
日本とブラジルの関係を理解するうえで、重要なのは人の移動が一方向ではなかったことです。
かつて日本から多くの移民がブラジルへ渡りました。
その後、ブラジルで暮らしていた日本人移民の子孫が、仕事を求めて日本へ渡るようになったのです。
日本定住資料館では、こうした移民と逆移民の歴史を資料を通して知ることができます。
現在の大泉町で外国人が暮らすようになった背景は、数十年前に突然始まったものではありません。
日本からブラジルへ渡った人々の歴史と、その子孫が日本に戻ってきた歴史がつながっています。
ショッピングセンターだった建物の中に、その歴史を伝える資料館と、生活を立て直そうとする人々のための施設があることも、ブラジリアンプラザの特徴です。
大泉町の外国人住民は2026年8月時点で9,251人
ブラジリアンプラザがある群馬県大泉町は、日本でも外国人住民の割合が高い自治体の1つです。
2026年8月31日時点で、大泉町の人口は次のようになっています。
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人口総数:41,304人
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外国人住民:9,251人
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全世帯数:21,138世帯
町の人口の約22%を外国人住民が占めています。
この数字からも、大泉町では外国人住民の存在が地域社会の重要な一部となっていることがわかります。
一方、外国人住民が長く暮らしていくためには、働く場所だけでなく、住居、医療、教育、地域との交流など、さまざまな生活基盤が必要です。
景気の変動によって職を失った人への支援は、その中でも重要な課題の1つです。
ブラジリアンプラザの変化は、外国人が日本で働くだけでなく、地域に生活の基盤を築いていく過程とも重なっています。
ブラジリアンプラザの場所と日本定住資料館の利用案内
ブラジリアンプラザは、大泉町の中心部にある西小泉駅から徒歩で訪れることができます。
1階の日本定住資料館は一般の人も見学でき、入館は無料です。
日本定住資料館の施設情報
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所在地:群馬県邑楽郡大泉町西小泉4-11-22
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建物:ブラジリアンプラザ1階
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最寄り駅:東武小泉線・西小泉駅
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アクセス:西小泉駅から東へ徒歩約3分
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開館時間:8:30~17:30
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開館日:月曜日~土曜日
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休館日:日曜日、祝日、年末年始
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入館料:無料
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電話番号:0276-61-2038
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駐車場:あり
上記は日本定住資料館の見学情報です。2階のリスタートコミュニティの利用条件や受け入れ方法とは異なります。
日本とブラジルの移民の歴史、大泉町に日系ブラジル人が集まるようになった背景に関心がある人にとって、現地で学べる施設です。
まとめ
群馬県大泉町のブラジリアンプラザは、1990年代にブラジル人向けのショッピングセンターとして誕生し、外国人住民の交流を支えてきました。
しかし、リーマンショックなどによる経済環境の変化を経て商業施設としての営業は終わり、2020年には外国人の生活再建を支えるリスタートコミュニティが開設されました。
ブラジル人が故郷の文化に触れるために集まった建物は、今度は生活に困った人々が再び立ち上がるための場所となったのです。
買い物の聖地から再出発の拠点へ。
ブラジリアンプラザの約30年にわたる変化には、日本で働き、暮らしてきた外国人たちの歴史が刻まれています。
参考リンク
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