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14歳で脳腫瘍、抗がん剤治療前に卵巣凍結保存を選んだ女子高生と聖マリアンナ医科大学病院のがん・生殖医療|病院ラジオ

病院ラジオ

14歳で脳腫瘍と診断された少女が将来のために選んだ卵巣凍結保存

2026年10月12日放送のNHK総合『病院ラジオ 聖マリアンナ医科大学病院編<完全版>』では、サンドウィッチマンが神奈川県川崎市の病院を訪れ、患者や家族が抱える思いに耳を傾けます。

なかでも印象的なのが、14歳で脳腫瘍が見つかり、抗がん剤治療を受ける前に卵巣凍結保存を選んだ女子高生の物語です。

抗がん剤は病気の治療に欠かせない一方、将来の妊娠に関わる卵巣の働きに影響を及ぼすことがあります。そのため、若い患者が治療前に卵巣組織などを凍結保存し、将来の選択肢を残す医療が行われています。

聖マリアンナ医科大学病院は、国内でも数少ない小児の卵巣組織凍結に対応する施設の1つです。2010年から取り組みを続け、凍結した卵巣組織の移植による国内初の出産実績も持っています。

この記事でわかること

  • 14歳で脳腫瘍を経験した女子高生と卵巣凍結保存の経緯

  • 卵巣組織凍結の仕組みと卵子凍結との違い

  • 聖マリアンナ医科大学病院が積み重ねてきた医療技術と実績

  • 妊孕性温存療法の助成制度と専門外来の受診方法

14歳で脳腫瘍と診断された女子高生が選んだ卵巣凍結保存

出典:聖マリアンナ医科大学「若年女性がん患者のQOL向上を志向した卵巣組織凍結ならびに自家移植」

女子高生のかほさんは、14歳のときに脳腫瘍の手術を受け、その後、抗がん剤による治療を経験しました。

抗がん剤治療によって将来子どもを授かることに影響が生じるおそれがあるため、治療に先立ち卵巣凍結保存の手術を受けました。

17歳になったかほさんは経過観察を続けながら、家族との日常を過ごしています。

母親とは意見がぶつかることがあり、父親の心配を過保護だと感じることもある。それでも、家族を嫌っているわけではなく、できるだけ仲良くしていたいという思いを語りました。

かほさんが選んだリクエスト曲は、SUPER BEAVERの「小さな革命」です。

病気の治療だけでなく、その後の学校生活や家族との関係、自分自身の未来も続いていきます。

卵巣凍結保存という選択には、目の前の病気と向き合いながら、これから先の人生も大切にするという意味があります。

卵巣組織凍結は将来の妊娠の可能性を残すための医療

卵巣組織凍結は、がん治療によって妊娠する能力が低下することに備え、卵巣の組織を採取して低温で保存する方法です。

医学的には、妊娠するために必要な能力を「妊孕性(にんようせい)」と呼びます。

抗がん剤や放射線などの治療は、病気の種類や治療内容によって卵巣の働きに影響を及ぼすことがあります。特に、若い年代で治療を受ける患者にとっては、将来の人生設計にも関係する問題です。

卵巣組織凍結では、一般に腹腔鏡手術で採取した卵巣の組織から、卵子のもとになる卵胞を含む部分を取り出して凍結します。

将来、病気の状態や本人の希望などを踏まえ、保存していた組織を融解して体内へ移植する方法が検討されます。

ただし、凍結保存を行えば必ず妊娠できるというものではありません。

卵巣組織の移植が適切かどうかは、元の病気や再発リスクなども含めて慎重に判断する必要があります。

卵子凍結とは異なり、小児にも対応できる卵巣組織凍結

妊孕性温存療法には、いくつかの方法があります。

  • 卵子凍結:卵巣から採取した未受精卵子を凍結保存する方法

  • 受精卵凍結:体外受精によってできた胚を凍結保存する方法

  • 卵巣組織凍結:卵子のもとになる卵胞を含んだ卵巣組織を保存する方法

  • 精子凍結:男性の精子を採取して凍結保存する方法

卵子凍結では、排卵誘発によって卵胞を育て、卵子を採取する過程が必要になります。

一方、卵巣組織凍結には排卵誘発が必要ありません。思春期前の女児や、がん治療の開始まで十分な時間を確保できない患者にも対応できることが特徴です。

聖マリアンナ医科大学病院では、小児・思春期の患者に対する卵巣組織凍結を重要な医療の1つとして位置づけています。

ただし、卵巣組織凍結には手術による負担があり、長期的な有効性や安全性についても慎重な検討が必要です。

患者の年齢だけで方法が決まるわけではなく、がんの種類、治療開始までの時間、体の状態などを考慮して選択されます。

聖マリアンナ医科大学病院が2010年から積み重ねてきた卵巣組織凍結の技術

聖マリアンナ医科大学の産婦人科は、2010年からがん・生殖医療に取り組んできました。

その中心的な人物が、産婦人科学の鈴木直教授です。

若いがん患者の妊孕性を守る医療の普及に取り組み、2012年には日本がん・生殖医療学会の設立代表者を務めました。

同大学では、卵巣組織を保存するための「ガラス化法」に関する研究も進めてきました。

ガラス化法は、細胞や組織に氷の結晶が形成されることによる損傷を抑えながら、急速に凍結する技術です。

同大学の2019年時点の実績では、がん・生殖医療外来を受診した患者は900人を超え、妊孕性温存に関する凍結件数は377件に達していました。

その内訳は、次のとおりです。

  • 卵巣組織凍結:108件

  • 卵子・胚凍結:168件

  • 精子凍結:101件

これらは2019年6月時点の集計であり、現在の累計件数ではありません。

卵巣組織の凍結だけでなく、解凍した組織を体内に戻す自家移植についても研究を進め、日本国内で初めて卵巣移植による出産に成功した実績があります。

重要なのは、組織を保存する段階だけで医療が完結しないことです。

将来、その組織を利用できる状態にするためには、凍結保存、融解、移植、卵巣機能の回復という一連の過程について研究と診療を積み重ねる必要があります。

聖マリアンナ医科大学病院は、こうした技術を長年にわたって発展させてきた医療機関です。

がん治療の成功だけでなく、その後の人生まで支えるがん・生殖医療

がん・生殖医療が重視するのは、がんを治療することと、治療後の人生を支えることの両立です。

かつては、病気を治すことが最も重要な課題であり、治療後の生殖能力について十分に考える余裕がない場合もありました。

現在は、治療成績の向上によって長く生活する若いがん経験者が増え、治療後の健康や生活の質も重要な課題になっています。

もっとも、妊孕性温存療法はすべての患者に実施できるわけではありません。

がんが進行している場合や、治療開始まで時間がない場合には、病気の治療を優先する必要があります。

また、将来子どもを持ちたいかどうかは本人の意思に関わることであり、妊孕性温存を希望しない選択も尊重されます。

聖マリアンナ医科大学病院では、がん治療を担当する医師と生殖医療の専門医が連携しています。

さらに看護師、心理士なども関わり、患者と家族が情報を理解し、納得して決められるよう支援する体制を整えています。

特に14歳という年齢では、自分自身の将来について考え始める一方、大きな医療上の決断には家族や医療者の支えが欠かせません。

卵巣凍結保存は、生殖医療の技術であると同時に、患者本人が将来について考え、選択することを支える医療でもあります。

卵巣組織凍結には国の助成制度も設けられている

若いがん患者が妊孕性温存療法を受ける場合、経済的な負担も重要な問題になります。

卵巣組織凍結では、組織の採取や凍結保存などに費用が必要です。保存した組織を将来利用する場合には、さらに医療費が発生します。

厚生労働省は、2021年度から「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」を開始しました。

この事業では、将来子どもを授かる可能性を残すための治療や、凍結した卵子・精子・受精卵・卵巣組織を利用する生殖補助医療について、費用の一部を助成しています。

対象となるのは、一定の要件を満たす患者です。

助成を受けるためには、対象疾患、年齢、医療機関、治療内容などの条件を確認する必要があります。

また、申請先は患者が住んでいる都道府県です。

聖マリアンナ医科大学病院は、この国の研究促進事業に参加している医療機関です。

費用面の問題が妊孕性温存を諦める理由にならないよう、医療制度の整備も進められています。

聖マリアンナ医科大学病院のがん・生殖医療外来の場所と予約方法

聖マリアンナ医科大学病院では、がん治療前の妊孕性温存だけでなく、治療後の生殖医療に関する相談にも対応しています。

病院・専門外来の基本情報

  • 病院名:聖マリアンナ医科大学病院

  • 所在地:神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1

  • 専門外来:がん・生殖医療外来

  • 診療日:毎週火曜日

  • 初診料:10,000円(税別・自費)

  • 再診料:700円(税別・自費)

  • 代表電話:044-977-8111

  • 医療連携FAX:044-975-0608

記載した料金は専門外来の診察料であり、卵巣組織凍結の手術費用や保存費用を含む総額ではありません。

予約方法

がん・生殖医療外来を初めて受診するには、現在通院している医療機関からの紹介が必要です。

紹介元の医療機関が聖マリアンナ医科大学病院のメディカルサポートセンターへ連絡し、予約手続きを進めます。

患者本人からの直接予約は受け付けていません。

治療開始までの時間が限られている場合には、まず現在の主治医に妊孕性温存について相談することが大切です。

まとめ

『病院ラジオ 聖マリアンナ医科大学病院編<完全版>』で取り上げられる14歳から脳腫瘍と向き合ってきた女子高生の物語は、がん治療と将来の人生を両立させる医療の大切さを伝えています。

聖マリアンナ医科大学病院は、2010年から若いがん患者の妊孕性温存に取り組み、小児の卵巣組織凍結や卵巣移植の分野でも実績を重ねてきました。

卵巣組織凍結は、将来の妊娠を保証するものではありません。それでも、病気と向き合う患者にとって、治療後の人生の選択肢を残すための重要な医療です。

サンドウィッチマンとの対話から伝わるのは、患者が病気だけでなく、家族との関係や日常生活、これからの未来についても思いを抱えているということです。

参考リンク


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