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古田洋隆・古田愛 父娘が受け継ぐ伝説のわな猟と命を生かす鹿肉の技術|Dearにっぽん

Dearにっぽん

三重・美杉の伝説のわな猟師と娘が受け継ぐ50年の技と命への思い

2026年10月18日放送のNHK総合『Dearにっぽん』は、三重県津市美杉町で50年以上にわたって猟を続けてきた古田洋隆さん(71)と、父の技術を受け継ごうとする娘・古田愛さんの物語です。

洋隆さんは、年間600頭ものシカを捕獲した実績を持つ「伝説のわな猟師」。動物の行動を読み切る独自のわなと、捕獲した命を食材として無駄なく生かす解体技術を磨いてきました。

しかし、長年山を歩き続けてきた洋隆さんは心臓の病を抱え、以前のように猟へ出ることが難しくなっています。そんな父のそばで約10年前から仕事を手伝ってきた愛さんが、わな猟の技術と命に向き合う姿勢を学んでいます。

番組では、農作物を守るために野生動物を捕獲する仕事と、その命を無駄にしないという信念、そして父から娘へと続く技術の継承を見つめます。

※放送後詳しい内容が分かり次第追記します。

この記事でわかること

  • 古田洋隆さんが年間600頭を捕獲する伝説のわな猟師と呼ばれる理由

  • シカの習性を利用する独自のわなと臭みの少ない鹿肉を生む技術

  • 娘の古田愛さんが父から受け継ごうとしている仕事と信念

  • 三重県美杉町の獣害問題と「みえジビエ」、スピリッツの所在地

古田洋隆さんは年間600頭のシカを捕獲した伝説のわな猟師

東海テレビ公式動画「仕留めたシカを最高のジビエに変える特殊な技術」

公式動画:東海テレビNEWS

古田洋隆さんが活動する三重県津市美杉町は、山林に囲まれた自然豊かな地域です。しかし、シカなどの野生動物による農作物や森林への被害が深刻な問題となっています。

洋隆さんは50年以上の狩猟経験を持ち、かつて年間約600頭ものシカを捕獲してきました。その技術の高さから「伝説のわな猟師」と呼ばれています。

洋隆さんは、最初から捕獲を本業にしていたわけではありません。

かつては衣服の販売や配達などの仕事をしながら、趣味として狩猟を続けていました。ところが、地域ではシカが畑の作物を食べる被害が増え、住民から捕獲を頼まれるようになりました。

地域の人を助けるために始めた捕獲活動は、やがて本格的な仕事へと変わっていきます。2022年の東海テレビの取材では、その約17年前から狩猟を本業にしたことが紹介されています。

農家が丹精込めて育てた作物を守り、森林への被害を減らす。その役割を担いながら、洋隆さんは獲物を確実に捕らえる技術を磨いてきました。

シカの足跡から通り道を読む独自のわな猟

洋隆さんの技術を象徴するのが、自ら開発した「くくりわな」です。

くくりわなは、地面に仕掛けた装置によって動物の脚を捕らえるわなです。洋隆さんは長年の経験をもとに改良を重ね、捕獲する動物への傷を少なくするための仕組みを作り上げました。

過去の取材では、直径約12センチの板状の装置が紹介されています。シカが踏むと約0.2秒でワイヤーが作動する仕組みで、その詳細な構造は独自技術として扱われています。

しかし、優れた装置を作るだけでは、山の中を移動するシカを捕獲できません。

洋隆さんの最大の強みは、山に残されたわずかな痕跡からシカの行動を読み取ることです。

過去の取材では、次のような観察技術が紹介されました。

  • 足跡の大きさからシカの年齢や体格を判断する

  • 土の乾燥状態から足跡が残された時期を読み取る

  • 山の地形や痕跡からシカが繰り返し通る獣道を探す

  • シカが足元の硬いものを避ける習性を利用する

  • シカがどちらから歩いてきて、どの脚を着くのかまで予測する

2025年に行われた取材では、山の地形を見るだけでシカやイノシシの通り道を把握できることも紹介されています。

初めて見る山でも獣道を想像し、4本の脚のうち、どの脚をわなにかけるかまで考えるという洋隆さん。そこには長年の観察によって身につけた経験と感覚があります。

こうした技術は、わなの作り方を覚えるだけでは再現できません。動物の習性、山の地形、季節や環境の変化を理解することが必要です。

娘の愛さんが父から学ぶ仕事の中心にも、この山を読む力があります。

臭みの少ない鹿肉を生む独自の血抜きと解体技術

洋隆さんが高く評価されているのは、シカを捕獲する腕前だけではありません。

捕獲したシカを質の高い食肉へと変える技術も、料理人たちから支持されています。

シカ肉などの野生鳥獣肉は、捕獲後の取り扱いや衛生管理が品質を大きく左右します。適切な処理が行われなければ、肉質の低下や衛生上の問題につながります。

洋隆さんは、捕獲したシカをできるだけ良い状態で食材にするため、血抜きの技術を追求してきました。

特にこだわっているのが、心臓の働きを利用して血液を排出する独自の方法です。

一般的な狩猟では、獲物を仕留めた後の放血方法や処理のタイミングによって、肉に残る血液の量や状態が変わります。洋隆さんは長年の経験を通じて、適切かつ迅速に血液を排出する方法を磨いてきました。

2025年の取材では、朝早く捕獲したシカを作業場へ運び、その日の午前中に解体する様子も紹介されています。

さらに、作業場では衛生管理のために工程を分けています。

  • 捕獲後、迅速に放血して肉の品質を保つ

  • 作業場へ運び、洗浄や内臓の処理を行う

  • 専用の作業場所で枝肉を分割する

  • 別の部屋で肉を部位ごとに切り分ける

  • 包丁や機械を殺菌し、清潔な作業環境を維持する

洋隆さんは、包丁や肉をつり下げる道具などにも自ら工夫を加えています。

長年シカを解体してきたため、どこに骨や関節があるのかを熟知しており、迷いなく肉を切り分けていきます。

こうして仕上げた鹿肉は、独特の臭みが少なく、料理人から高い評価を受けています。

ただし、臭みが少ないことと食品衛生上の安全性は別です。野生の鹿肉には病原体や寄生虫による食中毒のリスクがあるため、食べる際には中心部まで十分に加熱する必要があります。

有名料理人が評価する古田洋隆さんの鹿肉

洋隆さんが捕獲・処理した鹿肉は、料理の世界でも知られています。

2022年の東海テレビの取材では、三重県津市のフランス料理店「ミュゼボンヴィヴァン」が、古田さんの鹿肉を使用する店として紹介されました。

当時のシェフは、古田さんの処理技術によって雑味の少ない肉が届くため、特別な臭み消しをしなくてもおいしい料理に仕上がると評価しています。

過去の取材では、若い雄ジカを捕獲してレストランへ届ける様子も紹介されています。受け取ったシェフは、肉の色や柔らかさ、味の濃さを高く評価していました。

2025年の取材でも、全国の料理店から古田さんの鹿肉を指定して購入する動きが紹介されています。

洋隆さんにとって大切なのは、捕獲することだけで仕事を終わらせないことです。

捕らえた命を良い食材として料理人へ渡し、料理人がその価値をお客さんへ伝える。山での猟から食卓までが、一つのつながりになっています。

娘・古田愛さんが約10年前から父の猟を手伝う

古田洋隆さんの技を受け継ごうとしているのが、娘の古田愛さんです。

愛さんは約10年前から父の仕事を手伝ってきました。山でのわな猟だけでなく、捕獲したシカを食材として生かす作業にも関わっています。

2025年に取材された解体作業でも、父と一緒に仕事をする姿が確認されています。

しかし、洋隆さんが長年積み重ねてきた技術を受け継ぐことは簡単ではありません。

わなを仕掛ける場所を決めるとき、父は山の地形やシカの痕跡から判断します。その感覚は、何十年も山を歩いてきた経験に裏打ちされたものです。

同じ道を歩き、同じ足跡を見ても、経験の差によって読み取れる情報は違います。

愛さんは、父の判断をそばで見ながら、実際にわなを仕掛ける経験を重ねています。

2026年10月8日のNHK『#NHK』では、父に教わりながらわなを仕掛け、愛さんがシカを仕留めたことも紹介されました。

父が長年かけて身につけた技術を、娘が実践の中で学んでいく。その積み重ねが、古田家の猟を次の世代へつなぐ力になっています。

心臓の病を抱える父と技を受け継ごうとする娘

古田父娘の物語には、もう一つ大きな背景があります。

洋隆さんは心臓の病を抱えており、以前に比べて猟に出る回数が減っています。

50年以上続けてきた仕事だからこそ、山へ入ることが難しくなる現実は、技術の継承という問題にも直結します。

洋隆さんが習得してきたわな猟の技術は、道具や作業手順だけではありません。

獣道を見極める経験、シカの行動を予測する力、捕獲後の適切な処理、そして命を無駄にしないという仕事への考え方まで含まれています。

それらを受け継ぐため、愛さんは父から学びながら経験を重ねています。

2026年10月8日に紹介されたNHKの映像でも、洋隆さんが娘に技術を教え、愛さんがわな猟に取り組む姿が取り上げられました。

父が長年培ってきた仕事を娘が担うことは、単に猟の後継者が生まれるというだけではありません。

山の中で人と野生動物がどう向き合うのか。捕獲した命をどう扱うのか。そうした父の考えを、娘が受け継ごうとしています。

「頂く命を無駄にしない」古田洋隆さんの信念

今回の物語で重要なのが、洋隆さんの命に対する考え方です。

シカなどの野生動物は、農作物や森林へ深刻な被害をもたらす場合があります。そのため、地域では被害を防ぐための捕獲が必要とされています。

しかし、捕獲された動物のすべてが食肉として利用されるわけではありません。処理施設への運搬や衛生管理などの条件が整わず、焼却などによって処分される個体もあります。

洋隆さんは、捕獲した動物の命を無駄にしたくないという思いから、食肉としての品質を高める技術を磨いてきました。

過去のインタビューでも、人間はほかの命をいただくことで生きており、捕獲したシカを最高の食材にして料理人へ渡したいという考えを語っています。

農作物を守るためには野生動物の捕獲が必要になる一方、捕らえた命をただ処分するのではなく、食材として大切に利用する道もあります。

父が大切にしてきたのは、単に捕獲数を増やすことではなく、捕らえた後まで責任を持つ仕事です。

愛さんが受け継ごうとしている「命を生かす」という信念は、この姿勢にあります。

三重県の「みえジビエ」と古田洋隆さんの指導者としての仕事

三重県では、捕獲されたシカを安全で品質の高い食肉として活用するため、「みえジビエ」という取り組みを進めています。

みえジビエは、県が定めた衛生・品質管理のマニュアルに従い、登録された事業者が捕獲から解体、加工、調理までを適切に行う仕組みです。

古田洋隆さんは、この取り組みに参加する「スピリッツ」の代表的な技術者として活動してきました。

三重県が2024年10月23日に実施した「みえジビエ捕獲解体処理研修会」では、洋隆さんが講師を担当しています。

当時の県の資料には、洋隆さんが「みえジビエハンター兼みえジビエ解体処理者」として紹介されています。

さらに2025年1月には、解体処理事業者の現場で行う個別研修でも講師を務めました。

この研修では、鹿肉の筋取りや解体処理の技術を指導し、参加者が自分の作業を改善する機会にもなりました。

洋隆さんの技術は、娘の愛さんだけでなく、三重県でジビエに携わる人たちにも伝えられています。

一人の熟練猟師が積み重ねてきた技術が、地域の食肉利用や次の世代の人材育成にも役立てられているのです。

スピリッツの所在地と鹿肉の購入について

古田洋隆さんが関わる「スピリッツ」は、三重県津市美杉町にある、みえジビエの登録事業者です。

三重県が2026年5月15日に公開した登録事業者一覧では、解体処理施設と鹿肉を購入できる店舗の両方に掲載されています。

スピリッツの基本情報

  • 施設名:スピリッツ

  • 関係者:古田洋隆さん

  • 所在地:三重県津市美杉町下多気1371

  • 郵便番号:515-3311

  • 電話番号:059-275-0353

  • 登録区分:みえジビエ解体処理施設

  • 販売:みえジビエの購入可能事業者として登録

  • 営業時間・販売方法:事前確認が必要

スピリッツは、観光用の工場見学施設として紹介されている場所ではありません。

鹿肉の購入を希望する場合は、取り扱い状況や販売方法を事前に確認する必要があります。

また、古田さんが捕獲した鹿肉と、一般に販売されている「みえジビエ」のすべてが同じ商品というわけではありません。購入時には生産者や加工事業者の表示を確認することが大切です。

美杉町でシカによる農業被害が深刻になった背景

古田父娘が活動する三重県津市美杉町では、シカによる農業被害や森林被害が問題になっています。

シカは畑の野菜や苗を食べるほか、森林では樹木の皮や若い植物を食べることがあります。

樹皮を大きく傷つけられた木は、成長が妨げられたり枯れたりすることもあります。林業や森林環境への影響は、農作物被害と並ぶ重要な問題です。

2022年に東海テレビが美杉町を取材した際には、シカに苗木を食べられることに悩む製材業者や、防護ネットを設置して農作物を守る農家の声が紹介されました。

地域の人々にとって、シカは山の中だけに生息する動物ではありません。暮らしや仕事に直接影響を与える存在でもあります。

こうした状況の中で、古田さんが続けてきた捕獲活動には、地域の農業と森林を守るという役割があります。

そして捕獲したシカをジビエとして利用することは、野生動物による被害対策と食材の有効活用を結びつける取り組みでもあります。

まとめ

2026年10月18日の『Dearにっぽん』で中心となるのは、三重県津市美杉町のわな猟師・古田洋隆さんと娘の古田愛さんです。

洋隆さんは年間600頭ものシカを捕獲した実績を持ち、独自のわなと血抜きの技術によって、質の高い鹿肉を生み出してきました。その仕事は農業被害の対策にとどまらず、食材として命を生かす取り組みへと広がっています。

心臓の病によって猟に出る機会が減る中、父の技術を受け継ごうとしている愛さん。父娘の歩みを通じて、山の暮らしと野生動物との関わり、そして命を大切にする仕事の意味が描かれます。

参考リンク


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