ハロン湾の奇岩はなぜ消滅するといわれる?
2026年11月10日放送のテレビ朝日系『絶景&世界遺産 火曜の良純孝太郎』では、DAIGOさんと大友花恋さんがベトナムのハロン湾を訪れます。海に浮かぶ無数の奇岩は、なぜ現在の姿のままではいられないのでしょうか。
その理由は、石灰岩が雨水や地下水に溶かされ、波に削られながら形を変え続けることにあります。今日や明日に湾が消えてしまうという意味ではなく、非常に長い地質学的な時間の中で進む自然の変化です。
ハロン湾は本当に消滅する?いつなくなるの?
ハロン湾の景色を作っているのは、海面から突き出した石灰岩の塔のような島々です。島は固定された彫刻ではなく、今も風化や侵食の影響を受けています。
ユネスコの世界遺産の評価でも、ハロン湾のカルスト地形の発達は長期にわたる変化の最終段階に近づいていると説明されています。ただし、湾全体が何年後に消えるかという具体的な年数が決まっているわけではありません。近い将来に観光ができなくなるといった意味に受け取る必要もありません。
約2000の奇岩が生まれた理由は石灰岩のカルスト地形
ハロン湾はベトナム北東部のトンキン湾にあります。大小約2000の奇岩が連なる景観は、古い石灰岩の地層が長い年月をかけて変化したものです。
石灰岩は、空気中や土壌の二酸化炭素を含んだ雨水などで少しずつ溶ける性質があります。雨水が岩の割れ目に浸み込み、地下水が内部を通ることで、岩の隙間や洞窟が大きくなります。
地殻の隆起・海面の変動・水による溶食や侵食が重なって、円すい形の山が並ぶ陸上のカルスト地形から、海面に細長い岩の塔が浮かぶ現在の景色へと変わってきました。このような塔状の石灰岩地形をタワーカルストと呼びます。
奇岩の根元がくびれ、洞窟ができる仕組み
ハロン湾では、島の根元がえぐれたような形や、崖に開いた洞窟を見ることができます。これは雨や地下水だけでなく、海岸に打ち寄せる波などによる侵食も加わるためです。
海面付近が削られてできるくぼみはノッチ(波食窪)と呼ばれます。長い時間をかけて削れ方が進むと、岩の形が変わったり、一部が崩れたりする可能性があります。海にそびえる岩の姿は、そうした変化の途中の一場面なのです。
巨大洞窟と迷宮のような洞窟にも地球の歴史が残る
ハロン湾には多様な洞窟があります。代表的なスンソット洞窟は、広い空間や壮大な鍾乳石で知られる観光名所です。一方、メークン洞窟は曲がりくねった通路が特徴で、「迷宮」を意味する名前を持ちます。
石灰岩の洞窟は地下水による溶食から始まり、その後の地形や海面の変化によって異なる姿になります。世界遺産の区域には、古い地下水の洞窟、山の裾にできた洞窟、海岸の侵食でできた洞窟など、複数のタイプが残されています。
同じ湾にさまざまな洞窟があるのは、長い地質の歴史をたどる手がかりです。なお、上記の個々の洞窟はハロン湾を代表する見学地であり、11月10日の番組で訪れる場所として確定したものではありません。
世界遺産がなくなるという意味ではない
「消滅」という言葉は、石灰岩の島々が地質学的な時間の中で変わっていくことと、世界遺産としての登録が失われることを混同しやすい表現です。地形が自然に変わることと、世界遺産登録の取り消しは別の問題です。
ハロン湾は1994年に世界自然遺産に登録され、2000年に地質学的価値が評価されました。2023年にはカットバ群島を含む「ハロン湾-カットバ群島」へと範囲が広がっています。自然の地形だけでなく、環境の保全や観光との両立も大切にされています。
ハロン湾の場所と観光で見られる景色
ハロン湾はベトナムの首都ハノイから東へ約170km。高速道路を利用すると、ハノイから車でおよそ2時間半が目安です。クルーズ船に乗れば、海面から立ち上がる石灰岩の島々を間近に眺められます。
見どころは奇岩だけではありません。鍾乳洞の見学や、波に削られた崖、海面の高さによって姿を変える入り江なども、この土地ならではの地形を感じられる場所です。ベトナム観光当局が案内する過ごしやすい時期は、秋の9〜11月頃です。
日本にも石灰岩が作るカルスト地形があります。秋吉台のカルスト台地と世界ジオパークの特徴を知ると、ハロン湾の景色との共通点や違いも見えてきます。
まとめ
ハロン湾が「いつか消滅する」といわれるのは、石灰岩の奇岩が雨水に溶かされ、海の波などに削られて、長い時間をかけて形を変え続けるためです。近い将来に湾がなくなるという意味ではありません。壮大な島々や洞窟は、地殻変動と海面変化の歴史が作った、今も変化の途中にある世界自然遺産です。
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