色紙を裏返すとキラキラしている理由は「砂子」にある
サインや寄せ書きに使う白い色紙を裏返すと、金色や銀色の粒が散ったような面が出てきます。書く場所でもないのに、なぜ裏側だけ豪華なのでしょうか。『チコちゃんに叱られる!▽めじろ押しの謎▽タンクトップの謎▽色紙の謎(9月4日)』をきっかけに、キラキラの正体と色紙の構造、平安時代までさかのぼる歴史をたどります。
この記事でわかること
- 色紙の裏にあるキラキラの正体
- 「砂子紙」が使われている理由
- 色紙の本当の表と裏
- 現在のサイン色紙につながる長い歴史
色紙の裏のキラキラは金銀を散らした「砂子紙」
![時代をさかのぼる、色紙の歴史[営業] | 特集・社員ブログ | 谷口松雄堂 │ 京都の和紙製品メーカーが提供する卸・仕入れサイト](https://i0.wp.com/www.taniguchi.co.jp/feature/nsmail-32.jpg10.jpg?w=1256&ssl=1)
(出典:谷口松雄堂 時代をさかのぼる、色紙の歴史)
色紙の裏側に散っているキラキラしたものは、「砂子(すなご)」と呼ばれる金や銀の装飾です。
「砂子」は金箔や銀箔を細かくしたもので、砂のように見えることから、この名前で呼ばれます。
一般的な色紙は、書いたり描いたりする表側の紙、その下の厚い芯、裏側の砂子紙などを貼り合わせて作られています。芯にはある程度の筆圧にも耐えられる厚い紙が使われます。
つまり、色紙のキラキラは偶然できた模様でも、紙を補強するための金属でもありません。裏面そのものに装飾された紙が使われています。
キラキラしている面が「表」という説は正しいのか
ここは色紙を使うときに意外と迷うところです。
金や銀が付いている方が豪華なので、「こちらが本当の表では?」と感じる人も少なくありません。
しかし色紙・短冊を製造する京都の谷口松雄堂は、砂子振りの面を裏面として案内しています。同社によると、砂子面は書きにくいため、文字や絵は表側に書くのが基本です。
「昔の人が謙遜して裏側へ書いたため白い側が使われるようになった」といった説も語られてきましたが、少なくとも現在販売されている一般的な白色紙では、白く書きやすい側が表、砂子の側が裏と考えて問題ありません。
寄せ書きやサインをお願いするときも、白い面を差し出せば大丈夫です。
そもそも「色紙」は本当に色の付いた紙だった
今の色紙といえば「白くて四角い厚紙」のイメージですが、名前の由来をたどると姿がかなり違います。
色紙はもともと、染めたり装飾したりした紙と深く結びついていました。
平安時代には色を施した料紙が歌集などに用いられ、その後、屏風や障子などに和歌を書くために設けた方形の部分を「色紙形」と呼ぶようになります。
京都色紙短冊協同組合の紹介では、鎌倉時代ごろには、紙を染め、金砂子や金銀箔などで装飾した方形の厚紙という現在につながる形が成立したとされています。
現在の白いサイン色紙だけを見ていると不思議な「色紙」という名前にも、きちんと歴史があります。
平安時代の色紙は紙そのものが作品だった
古い色紙を見ると、文字を書くためだけの紙ではなかったことがよく分かります。
平安時代・11世紀の寸松庵色紙には、中国から伝わった唐紙が使われ、雲母で唐草や亀甲、花などの文様が施されています。現在は重要文化財になっている作品もあります。
染められた紙、文様、金銀などの装飾、そこへ書かれる和歌。
紙と文字を合わせて鑑賞する文化の中で色紙が発達してきました。
その長い歴史を考えると、現代の色紙の裏に金銀の砂子が残っているのも、単なる事務用の厚紙とは違う「飾って鑑賞する紙」としての性格を感じさせます。
現在のサイン色紙は「書きやすさ」と「飾る美しさ」の両方を持つ
現代の色紙は用途が大きく広がり、有名人のサイン、卒業や退職時の寄せ書き、書道、俳句、絵画などで使われています。
表側は文字や絵を書きやすくし、内部には厚い芯を入れ、裏側には砂子紙を貼る。
この構造によって、普通の紙とは違う厚みと存在感が生まれます。
普段はほとんど見ることのない裏側ですが、金銀の小さな粒には、長く続いてきた日本の装飾紙文化とのつながりがあります。
次に色紙を手にしたときは、白い面だけでなく、一度裏返してみると面白いでしょう。「なぜこんなところまできれいに作ってあるのか」という疑問そのものが、色紙の長い歴史への入り口になります。
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