振付も衣装も高校生が作った汎愛高校の「花火」
2026年9月6日放送の『2分30秒にかけた夏〜DCC 第14回全国高等学校ダンス部選手権〜』で、目黒日本大学高校と並んで主要な密着校として紹介されているのが大阪府立汎愛高等学校です。2026年の作品テーマは「花火(ハナビ)」。振り付けや楽曲、衣装まで生徒たちが手掛け、実際の花火鑑賞だけでなく花火師への取材まで行って作品を作り込んでいます。
この記事でわかること
- 汎愛高校ダンス部「花火」がどんな作品なのか
- なぜ高校生が花火師まで取材したのか
- 振付・音楽・衣装を生徒主体で作る汎愛高校の特徴
- DCC関西大会から全国決勝へ進んだ2026年の成績
大阪府立汎愛高校ダンス部は生徒主体で作品を作る
汎愛高校ダンス部の大きな特徴は、「先生や外部振付師に作品を作ってもらう」という形ではなく、生徒自身が作品制作に深く関わっていることです。
学校公式のダンス部紹介でも、大会作品の制作や技術指導など、活動の多くを生徒自身で行い、自主性を尊重していると説明されています。全国大会優勝を目標に、放課後と土曜日を中心に練習する部活です。
2026年のDCC作品「花火」でもその方針は変わりません。ABCテレビによると、振り付け・楽曲・衣装のすべてを学生たちが自ら手掛けています。単に既成曲に振り付けを付けるのではなく、「花火」という一つの題材を、音・動き・衣装・構成まで含めて舞台作品へ変えていったわけです。
高校ダンス部の大会というと「どれだけ揃っているか」「難しい技ができるか」に目が向きがちですが、汎愛高校は作品そのものをどう設計するかという部分まで高校生が担っているのが面白いところです。
「花火」を表現するため本物の花火を見て花火師にも取材
さらに踏み込んでいるのが作品研究です。
「花火」を作る際、部員たちは実際に花火を鑑賞しました。それだけでなく、花火師への取材も行っています。番組公式では、花火の表現に深みを出すための取り組みとして紹介されています。
ここがこの作品の一番検索価値の高い部分かもしれません。
ダンスで花火を表現しようと思えば、「大きく広がる」「最後に爆発する」といった分かりやすい動きだけでも作品は作れます。しかし汎愛高校は、実際の花火がどのように見え、どんな時間の流れで消えていくのかを確かめています。
しかも作品名の「花火」は、単なる夏の風物詩という意味だけではありません。番組紹介では「わずか2分30秒の一瞬に青春のすべてを注ぎ込む部員たちの姿」が、一瞬だけ夜空に大きく咲いて消える花火と重ねられています。
高校3年間の中でも、大会の本番はほんの数分。その短さまで含めて「花火」というテーマを選んでいるため、作品タイトルと部員たち自身の物語が自然につながっています。
「花火」は29人の大人数を生かした作品としても評価された
同じ「花火」は、DCCだけで踊られた作品ではありません。
2026年7月に行われた「全日本高校ストリートダンスクライマックス2026関西予選大会1」にも、汎愛高校は「花火」で出場しています。この大会では29人のチームとして紹介され、決勝進出を決めました。
審査員から特に評価されたのが、人数を生かした演出でした。29人が踊り切るスキル、大技のリフト、衣装の変化、作品の起承転結などが高く評価されています。衣装チェンジを全員同時ではなく、あえてタイミングをずらして見せる工夫も指摘されていました。
これは「花火」という題材とかなり相性のいい演出です。
本物の打ち上げ花火も、すべてが同時に開くわけではありません。小さな光が上がり、次々と色や形が変わり、最後に大きく広がります。大人数のダンサーを使って時間差を作れば、ステージ全体でそうした変化を表現できます。
衣装まで自分たちで作り込む汎愛高校だからこそ、踊りだけでなく「客席からどう見えるか」まで作品化できたのでしょう。
DCC関西大会では準優勝と審査員特別賞
「花火」は2026年7月5日に神戸文化ホールで行われたDCC関西地方大会に出場しました。
この日の優勝は京都聖母学院高校「艶奏(アパッシオナート)」、準優勝が汎愛高校「花火」。上位2校が決勝大会へのシード権を獲得しました。さらに汎愛高校は審査員特別賞の「keijiro賞」も受賞しています。
大人数部門でも京都聖母学院に次ぐ2位。つまり「花火」は、単にテレビ密着の題材として面白かっただけではなく、大会でも明確に高い評価を受けて全国決勝へ進んだ作品です。
全国決勝は8月26日の東京ガーデンシアター。目黒日大、鎮西、日本大学明誠、帝塚山学院、樟蔭など全国の強豪校と同じ舞台に立ちました。DCC公式が発表した決勝進出36チームの中にも、「大阪府立汎愛高等学校・花火」と掲載されています。
前年の悔しさから再び全国大会へ
汎愛高校は2025年のDCC第13回にも全国決勝へ出場しています。
前年の作品は「魂炎(ソウルメイト)」。しかし全国決勝では上位10チームが進むFinal Stageまで表現力でわずかに届かず、学校の活動報告には、本番後に涙を流したメンバーがいたことや、次の全国大会では全員で笑って終わりたいという思いが記されています。
その翌年に作ったのが「花火」です。
前年の悔しさを経験したうえで、自分たちでテーマを掘り下げ、花火師にまで話を聞き、再びDCC全国決勝へ進出したと考えると、この作品の背景がより立体的に見えてきます。
結果だけなら「全国大会に出場した高校」で終わりますが、汎愛高校の場合は、その作品を作るプロセス自体に物語があります。
地域活動でも高校生が「教える側」になっている
汎愛高校ダンス部の自主性は大会だけではありません。
2026年には大阪市鶴見区の小学生向けダンス教室にも参加。高校生たちが小学生のグループについて振り付けを教え、最後には一緒に踊っています。鶴見区の報告では、高校生が子どもたちに分かりやすいよう前後に分かれて踊り方を見せる様子も紹介されています。
自分たちで作品を作るには、「自分が踊れる」だけでは足りません。
仲間に振りを伝える、全員で意見をまとめる、客席からどう見えるかを考える。こうした経験を普段から積んでいることが、「振り付け・楽曲・衣装まで自分たちで作る」という汎愛高校独自のスタイルにつながっているのかもしれません。
番組では「完成した花火」より作る過程に注目
9月6日の特番はDCCの結果発表番組というより、高校生たちが本番へ向かう過程を追うドキュメンタリーです。
地方大会から8月26日の決勝まで長期間密着し、練習中の葛藤、挫折、怪我、プレッシャー、仲間との衝突や成長まで描くと案内されています。汎愛高校についても、「花火」という2分30秒の作品が完成するまでの時間が大きな見どころになります。
特に注目したいのは、花火師への取材で得たものが、実際の振り付けや衣装、フォーメーションにどう変換されているかです。
完成したステージだけを見ると一瞬で終わってしまいますが、事前に背景を知っておくと、一つ一つの動きの意味を探しながら見られます。
まとめ
大阪府立汎愛高校の「花火」は、夏らしい題材を選んだだけのダンスではありません。
振り付け、楽曲、衣装を生徒たち自身で作り、実際の花火を見て、さらに花火師へ取材。そのうえで、わずか2分30秒のステージと自分たちの高校生活の短さを「一瞬だけ輝く花火」に重ねた作品です。
DCC関西大会では準優勝とkeijiro賞を獲得し、全国決勝へ進出。他大会でも大人数の構成や衣装変化、リフトなどが評価されました。
番組を見る際は、「どの学校が勝ったか」だけでなく、29人規模のダンサーがどう花火の広がりや消えていく一瞬を表現しているのかにも注目すると、汎愛高校の作品がさらに面白く見えてきます。
参考リンク
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