鹿沼ほうきは原料栽培から手仕事で仕上げる「一生もの」の伝統工芸品
2026年9月13日放送のTBS「むしめがね 〜真の価値をのぞく〜」では、栃木県鹿沼市に伝わる「鹿沼ほうき」が紹介されます。熟練の職人でも1日に作れるのはわずか1本。柄の付け根を美しい蛤型に編み上げ、良質なほうき草を使うことで、長く使い続けられるのが特徴です。
現在、伝統的な鹿沼箒を手掛ける職人として知られるのが「きびがら工房」の増形早苗さん。鹿沼市から「鹿沼の名匠」に認定され、栃木県伝統工芸士にも認定されています。価格や通販での購入方法、50年使えるとされる理由、独特の蛤型に込められた意味まで詳しく紹介します。
この記事でわかること
- 鹿沼ほうき「蛤型」の現在の価格
- 通販で購入・予約する方法と販売店
- 50年使えるとされる理由と使い方
- 職人・増形早苗さんと鹿沼箒の歴史
鹿沼ほうきの価格は蛤型・小41,800円、中48,400円
公式動画:「鹿沼の名匠」鹿沼箒・きびがら細工製造 増形早苗さん
鹿沼ほうきを扱う「十二ヵ月 Online Store」で確認できる、きびがら工房・増形早苗さんの伝統的な蛤型の価格は、2026年9月時点で「鹿沼箒 蛤型 / 小」が税込41,800円、「鹿沼箒 蛤型 / 中」が税込48,400円です。
小さなタイプもあり、「鹿沼小箒 / 小さなほうき」は税込2,970円、「とんぼ・小」は税込3,190円、「とんぼ・大」は税込4,730円、「俵型柄付き」は税込14,300円など。伝統的な大きな座敷箒だけでなく、机まわりや棚などに使いやすい小箒も販売されています。
番組で紹介される「50年も使える」という鹿沼ほうきを探している場合、特に注目したいのは伝統的な「蛤型」です。
ただし、大量生産される商品ではありません。入荷数が限られるため、在庫切れや予約販売になっている場合があります。価格や入荷時期は購入時点で改めて確認した方が確実です。
鹿沼ほうきは通販で予約購入できる

鹿沼ほうきは「十二ヵ月 Online Store」で通販されています。
特に蛤型はすぐに購入できる在庫品だけでなく、「予約販売品」として受け付けられる場合があります。中サイズの商品ページでは、2026年8月19日時点の案内として、次回入荷予定を「2027年3月中旬~下旬頃」とし、予約を受け付けています。予約時には内金11,000円を支払い、商品入荷後に残金を支払う方式が案内されています。
大型の鹿沼箒は通常の送料無料条件の対象外となる場合があり、オンラインストアでは関東・関西への発送例として送料負担額1,450円が示されています。発送地域や梱包によって変わる可能性があるため、注文確定時の案内を確認してください。
なお、増形さんの「きびがら工房」は鹿沼市村井町にありますが、鹿沼市観光協会の案内では「製作に専念するため見学不可」「工房での販売はしていない」と明記されています。直接工房へ行けば買えるというわけではありません。
鹿沼市内では福田荒物店が鹿沼箒の取扱店として紹介されています。ただし掲載時期によって在庫状況は変わるため、現地購入を考える場合は事前確認がおすすめです。
鹿沼ほうきが50年使えるとされる理由
「50年」という数字には、実際に長期間使われてきた鹿沼ほうきのエピソードがあります。
増形早苗さんはTOKYO FMのインタビューで、良い鹿沼箒について「50年くらいは持つ」と説明しています。さらに増形さんのお母さまは、嫁入りの際に持たされた鹿沼箒を金婚式を迎えるまで約50年間、同じ1本を使い続けていたと紹介されています。
ポイントは、最初から最後まで同じ場所を掃き続けるのではないことです。
鹿沼箒は長年使って穂が短くなったり傷んできたりすると、畳から板の間、さらに土間、最後には外掃きへと用途を変えながら「使い下げる」という考え方があります。穂が短くなれば上部の糸を外しながら使い続けることもできると増形さんは説明しています。
高価な工芸品を飾って保存するのではなく、形を変えながら最後まで道具として使い切る。ここに鹿沼ほうきならではの面白さがあります。
原料は「箒モロコシ」から育てる
鹿沼ほうきの価値は、編み方だけで決まるものではありません。
原料には「箒モロコシ」「箒きび」などと呼ばれる、座敷箒のための植物が使われます。増形さんの鹿沼箒では、地元で無農薬・無化学肥料にこだわって育てたほうき草が使われており、原料の栽培段階からものづくりが始まっています。
ほうきに適した穂は柔らかく、しなりがありながら丈夫。増形さんによれば、栽培された草のすべてが最高級の鹿沼箒になるわけではなく、伝統的な鹿沼箒に使えるのは約2割ともいわれています。
原料を大量に仕入れて組み立てる製品とは大きく異なり、植物を育て、収穫し、乾燥させ、選別して、ようやく職人の編み作業へ進みます。
番組で「熟練の職人でも1日にたった1本」と紹介される背景には、こうした原料づくりから続く長い工程があります。
鹿沼ほうき最大の特徴は「蛤型」の編み込み
鹿沼箒を一目で見分けるポイントが、柄と穂の境目にあるふっくらとした部分です。
この形が二枚貝のハマグリに似ていることから「蛤型」と呼ばれています。鹿沼市や栃木県の公式情報でも、柄と箒の接合部分を蛤型に編み上げることが鹿沼箒を代表する特徴として紹介されています。
単なる装飾ではありません。
細かな茎を美しく編みながら柄と草を強固につなげる高度な技術で、美しさと丈夫さを両立させています。鹿沼市も「使いやすさや丈夫さはもちろん、その美しさも評価されている」と紹介しています。
そのため鹿沼箒は、掃除道具でありながら工芸品として眺めても美しい独特の姿になりました。
蛤型と麻の模様が嫁入り道具として受け継がれた
鹿沼箒は古くから嫁入り道具としても使われてきました。
特徴的な蛤型は子宝を願う縁起物とされ、編み込みに見られる麻の模様にも子どもの健やかな成長を願う意味が込められてきたと伝えられています。
毎日の掃除に使う実用品でありながら、新しい家庭の幸せを願う品でもあったわけです。現在の視点で見ると「50年使えるほうき」を結婚時に贈るという文化は、まさに一生ものの道具を贈る習慣だったことが分かります。
鹿沼箒の歴史は1842年までさかのぼる
鹿沼市公式サイトによると、鹿沼箒の始まりは天保12年、1842年とされています。
上殿の代官だった荒井喜右衛門がホウキモロコシの種を持ち帰り、鹿沼で植え付けたことが起源とされています。そこから原料となるほうき草の生産と箒作りが発展しました。
鹿沼は日光東照宮にも近く、古くから木工をはじめとした職人文化が育ってきた土地です。単に「掃ければいい」という道具ではなく、編み目や形の美しさまで追求する文化の中から、現在の蛤型の鹿沼箒が磨かれていきました。
栃木県は現在も鹿沼箒を「栃木県伝統工芸品」として指定しています。
職人・増形早苗さんは介護福祉士から祖父の技を継いだ
現在の鹿沼箒を語るうえで欠かせないのが、きびがら工房の増形早苗さんです。
増形さんの母方の祖父は箒職人。幼い頃から祖父母が箒を作る姿を身近で見ていましたが、当初から職人を目指していたわけではなく、介護福祉士として働いていました。
転機になったのは祖母の急逝です。
二人三脚で仕事をしていた祖父が気落ちし、箒作りをやめようとしたとき、幼い頃から当たり前に存在していた技術がなくなることを惜しいと感じた増形さんが「自分にやらせてほしい」と申し出ました。
現在では鹿沼市の「鹿沼の名匠」に認定され、2023年には栃木県伝統工芸士にも認定されています。原料のほうき草から向き合い、希少になった鹿沼箒の技術を受け継ぐ存在となっています。
購入前に確認したい実用情報
伝統的な蛤型を購入するなら、価格の安さだけで判断する商品ではありません。
小サイズでも税込41,800円、中サイズでは税込48,400円と一般的な家庭用ほうきより高価ですが、原料栽培から選別、複雑な編み込みまで人の手で行われる工芸品です。
一方、初めて鹿沼箒を使ってみたい場合には、2,000~4,000円台から購入できる小箒もあります。机や棚、細かな場所の掃除から試してみる方法もあります。
蛤型は生産数が非常に少なく、テレビ放送後には在庫や予約状況が変わる可能性があります。購入する場合はオンラインストアの最新表示を確認し、鹿沼市内の取扱店を利用する場合も事前に在庫を問い合わせておくと安心です。
まとめ
TBS「むしめがね 〜真の価値をのぞく〜」で紹介される鹿沼ほうきは、栃木県鹿沼市で1842年頃から受け継がれてきた伝統工芸品です。
現在確認できる伝統的な「鹿沼箒 蛤型」の販売価格は、小が税込41,800円、中が税込48,400円。通販では「十二ヵ月 Online Store」で販売・予約されています。
最大の特徴は、柄の付け根をふっくらと編み上げる「蛤型」。原料のほうき草から育て、選び抜いた草を職人が長時間かけて編み上げるため、熟練者でも大量には作れません。
そして「50年使える」という言葉も単なるキャッチコピーではなく、職人・増形早苗さんの母が嫁入り時の鹿沼箒を約50年間使い続けてきた実例があります。掃除道具として使い込み、畳から板の間、土間、外掃きへと役割を変えながら最後まで使い切る。鹿沼箒は、見た目の美しさだけでなく、日本の「良いものを長く使う」文化まで伝える道具です。
参考リンク
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