3坪の事務所から始まった壁紙屋本舗が「自分で貼る」壁紙を広げた
2026年9月26日放送のNHK総合『探検ファクトリー』では、貼るだけで部屋の雰囲気を大きく変えられる壁紙のものづくりが取り上げられ、「壁紙屋本舗」が紹介されます。同店を運営するのは、大阪市大正区に本社を置く株式会社フィルです。壁紙屋本舗の公式サイトでも番組への登場が告知されています。
現在は「水だけで貼れるHattan(ハッタン)」や、マスキングテープ感覚で使える「EASY WALL TAPE(イージーウォールテープ)」など、DIY初心者でも扱いやすい独自商品を展開しています。
しかし、その始まりは大規模な壁紙メーカーではありません。壁紙職人だった濱本廣一さんが、大阪・南堀江のわずか3坪ほどの事務所で始めた会社でした。そこから壁紙通販、輸入壁紙、オリジナル壁紙、そして壁紙製造へと事業を広げています。
この記事でわかること
- 壁紙屋本舗を運営する株式会社フィルと濱本廣一さん
- 水だけで貼れるHattanの特徴と特許
- EASY WALL TAPEが普通の壁紙と違うポイント
- 3坪の事務所から壁紙製造へ進んだ25年の歩み
壁紙屋本舗は大阪の株式会社フィルが運営
公式動画:マステ感覚で貼る壁紙「EASY WALL TAPE」を上手く貼るコツ|壁紙屋本舗公式YouTube
壁紙屋本舗を運営している株式会社フィルの本社は、大阪府大阪市大正区小林西1丁目15-12。代表取締役は濱本廣一さんです。
フィルは壁紙屋本舗のほか、輸入壁紙専門店「WALPA」なども展開しています。現在の本社には物流、プリンティング、企画デザイン、EC運営など壁紙に関わるさまざまな部門があり、1階には「WALLPAPER MUSEUM WALPA / OSAKA」、2階には「壁紙屋本舗LAB」があります。
壁紙屋本舗が掲げているのが「全人類職人化計画」です。
職人に頼むだけではなく、一般の人自身が壁紙を選び、自分の手で貼って住まいを変えていく。そのハードルを下げる商品開発と施工ノウハウの発信を続けてきました。
Hattanは水に浸して貼れる「折りたためる壁紙」
壁紙屋本舗を象徴するオリジナル商品の一つが、2020年に発売されたHattan(ハッタン)です。
一般的な壁紙のように大きなロールを広げ、別途のりを用意して施工する方式とは大きく異なります。Hattanは不織布を使ったファブリック素材で、水に浸すことで壁へ貼れる仕組みになっています。
代表的なHattanは45cm×45cmの正方形。大きな壁紙を一気に扱うのではなく、小さなパネルを順番に貼っていけるため、初めて壁紙を扱う人でも作業しやすくなっています。
主な特徴は、
- 水で貼って、はがすことができる
- のりが乾くまで位置を調整しやすい
- 不織布素材でシワを手で伸ばしやすい
- 小さく折りたためる
- 45cm角のHattanと90cm角のQuattro Hattanがある
- 一部商品は賃貸住宅の壁にも使用できる
というものです。
さらにHattanは「折りたためる壁紙」として特許第6993632号を取得しています。壁紙をロール状の長い建材としてではなく、もっと小さく、軽く、気軽に扱えるインテリア用品へ近づけた点が大きな特徴です。
EASY WALL TAPEは幅23cmのマスキングテープ感覚の壁紙
もう一つ、現在の壁紙屋本舗を代表する商品がEASY WALL TAPEです。
2023年に発売された商品で、国内のマスキングテープづくりで培われた技術を生かし、マスキングテープのように貼ってはがしやすい壁紙として開発されています。丈夫なフリース素材を使い、一般的な壁紙より細い幅23cmにすることで扱いやすくしています。
1本の基本サイズは幅23cm×6m。
壁だけでなく、
- ドア
- 家具
- 天井
- 腰壁
- キッチンや洗面周り
などの部分的な模様替えにも利用できます。
一般的なシール壁紙には粘着面を保護する剥離紙がありますが、EASY WALL TAPEは剥離紙のゴミが出ないことも特徴です。壁紙屋本舗は2023年の発売後に商品展開を拡大し、現在はシリーズ累計販売本数が10万本を突破しています。
壁一面を大がかりに張り替えるのではなく、「この壁だけ」「家具の一部分だけ」といった使い方ができることが、従来の壁紙との大きな違いです。
濱本廣一さんは16歳で壁紙職人の世界へ入った
こうしたDIY向け壁紙の原点には、濱本廣一さん自身の職人経験があります。
濱本さんは1972年大阪生まれ。音楽に打ち込んでいた10代に高校を中退し、16歳で内装工事店の壁紙職人へ弟子入りしました。
23歳だった1996年には独立し、「Rasta インテリア」の屋号で内装工事の個人事業をスタートします。
大きな転機になったのが1999年です。
現場で知り合った電気工事職人から、使っていた壁紙を「売ってほしい」と頼まれました。濱本さんはのりを付けた壁紙と施工道具を渡し、その場で貼り方を実演します。
専門職ではない人には難しいと考えていたものの、その人物は自分できれいに施工し、後日さらに別の部屋の壁紙を注文しました。
「一般の人でも壁紙は貼れる」。
この経験が、職人向けだった壁紙を一般消費者へ販売する事業につながっていきました。
2000年に3坪の事務所から壁紙通販を開始
2000年、27歳だった濱本さんは有限会社フィルを設立しました。
スタート地点は大阪・南堀江に借りた約3坪の事務所。内装工事を続けながら、一般向けの壁紙販売を始めます。
インターネット通販が広がり始めていた時期でもあり、「壁紙もネットで売れるのではないか」と壁紙通販を開始。2001年には楽天市場へ出店しました。
ところが初月の月商はわずか2万円。当時は一般家庭が自分で壁紙を貼る文化そのものが、まだほとんど定着していませんでした。
それでも壁紙だけでなく床材などへ品ぞろえを広げ、2004年には楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
内装工事をやめ「壁紙を売る会社」に一本化した転機
会社にとって大きな決断となったのが2009年です。
フィルは創業以来続けていた内装工事部門を他社へ引き継ぎ、壁紙の小売事業へ専念しました。
業績が順調だったからではありません。リーマンショックなどの影響を受けて負債を抱え、事業を縮小する必要に迫られた中での選択でした。
それでも、まだ市場が十分に形成されていなかった一般向け壁紙販売を残しました。結果として、この決断が現在の壁紙屋本舗につながる大きな転機になります。
2013年から「売る会社」から「作る会社」へ
壁紙屋本舗はメーカーの商品を販売するだけではなく、自分たちで壁紙を作る方向へ進みます。
2013年にはオリジナルシール壁紙Hatte me!(ハッテミー)の製造を開始。水回りなどにも使えるビニール素材のシール壁紙として、タイル柄など多彩なデザインを展開しました。
2019年には壁紙製造をさらに本格化します。
その後、
- 2020年:水だけで貼れる「Hattan」
- 2021~2022年:亜麻素材の「FLAX WALLPAPER」など天然素材系壁紙
- 2023年:「EASY WALL TAPE」
と独自商品の開発を続けてきました。
製造事業の拡大に伴い、新しい印刷機を設置するスペースなどを確保するため、2023年には大阪市大正区の本社敷地内に新社屋も完成しています。
3坪の小さな事務所で始まった壁紙通販が、20年以上を経て壁紙を自ら企画・製造する事業へ変わっていったことになります。
壁紙屋本舗の商品は公式通販で購入できる
壁紙屋本舗の商品は公式オンラインストアから購入できます。
代表的な商品は、
- Hattan:水で貼ってはがせる不織布壁紙
- Quattro Hattan:90cm角の大型Hattan
- EASY WALL TAPE:幅23cm×6mのマステ感覚の壁紙
- Hatte me!:貼ってはがせるシール壁紙
などです。
EASY WALL TAPEはデザインによって価格が異なりますが、2026年9月24日時点では幅23cm×6mの商品に通常価格2,990円、セール価格2,690円で販売されているものがあります。Hattanもサイズ、枚数、デザインによって価格が変わるため、施工する面積を確認してから必要枚数を選ぶのがポイントです。
また、大阪の本社には「壁紙屋本舗LAB」があり、商品を実際に見たり、施工方法について相談したりできます。
- 所在地:大阪府大阪市大正区小林西1丁目15-12
- 運営会社:株式会社フィル
- 代表取締役:濱本廣一
- 公式通販:壁紙屋本舗
賃貸で使う場合は下地の確認が必要
「貼ってはがせる」とされる商品でも、どんな壁にも跡を残さず使用できるわけではありません。
EASY WALL TAPEは一般的なビニール壁紙の上では比較的はがしやすい一方、紙素材、塗装面、劣化した下地などでは、のり残りや下地の傷みが起こる場合があります。
Hattanも撥水・防汚機能のある壁紙や凹凸の大きな壁では十分に接着できない場合があります。賃貸住宅で使う際は、目立たない場所で試してから施工するのが安心です。
まとめ
壁紙屋本舗の原点は、濱本廣一さんが職人として壁紙を貼っていた現場でした。
一般の人が自分で壁紙を施工できた体験をきっかけに、2000年に3坪の事務所から壁紙販売を開始。壁紙通販、輸入壁紙、オリジナル商品へと事業を広げ、現在はHattanやEASY WALL TAPEのような「施工そのものを簡単にする壁紙」を生み出しています。
水に浸して貼る、45cm角に小さくする、マスキングテープのように細くする――。壁紙を専門職だけの建材ではなく、一般家庭が気分に合わせて貼り替えられるインテリアへ近づけてきたことが、壁紙屋本舗の25年の歩みを象徴しています。
参考リンク
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EASY WALL TAPE
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