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VIEの脳波イヤホン開発と音楽で脳をととのえる技術 今村泰彦CEOの創業背景|アンパラレルド

企業・新技術

VIEがイヤホン型脳波計と音楽を組み合わせて目指すニューロテックの社会実装

2026年9月30日放送のテレビ東京「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」では、イヤホンで脳波を測定し、音楽と組み合わせるニューロテック企業「VIE株式会社」が取り上げられます。

VIEが目指しているのは、これまで研究室や医療・研究用途のイメージが強かった脳波計測を、イヤホンのように日常で使える形へ近づけることです。

すでにイヤホン型脳波計を商品化し、音楽を聴いているときの脳波を分析する研究や、食欲、記憶、ウェルビーイングなどへ応用する取り組みも進めています。

この記事でわかること

  • VIE株式会社が開発するイヤホン型脳波計の特徴
  • VIE EEG Earphoneの価格と基本的な仕組み
  • 今村泰彦CEOが音楽とテクノロジーを結びつけた背景
  • 藤井進也CMOとVIEが進める音楽・食欲・記憶の研究

VIEはイヤホン型脳波計を開発するニューロテック企業

出典:VIE公式「VIE EEG Headphone/VIE EEG Earphone」

VIE株式会社は神奈川県鎌倉市に本社を置き、ニューロテクノロジーの研究開発やウェアラブル脳波計の開発・販売、脳波解析ソフトウェアなどを手掛ける企業です。

代表取締役は今村泰彦さん。社名は以前の「VIE STYLE株式会社」から2023年11月に「VIE株式会社」へ変更されました。

特徴的なのが、脳波を「測定して終わり」にしていないことです。

VIEでは脳波を可視化・解析するとともに、音楽などのエンターテインメントを組み合わせ、日常生活の中でニューロテクノロジーを利用できる世界を目指しています。

従来の脳波測定というと、頭部へ多数の電極を装着する大がかりな装置を思い浮かべます。

VIEはそこをイヤホン型デバイスへ置き換えることで、研究室以外でも脳波を取得できる仕組みを広げてきました。

VIE EEG Earphoneは耳から脳波を測定できる

VIEが展開する「VIE EEG Earphone」は、音楽を聴くイヤホンとしての機能と、脳波を測定する機能を組み合わせたウェアラブルデバイスです。

公式製品ページでは49,800円(税込)から販売されています。

主な特徴は次の通りです。

  • 製品名:VIE EEG Earphone
  • 価格:49,800円(税込)~
  • イヤホン型デバイスで脳波を計測
  • Bluetooth対応
  • 音楽再生と脳波センシングに対応
  • 日常環境での脳波計測を想定

一般的なワイヤレスイヤホンと違うのは、音を聴くだけではなく、音楽を聴いている人の脳の反応まで取得できる点です。

VIEではさらに研究用途向けの「VIE EEG Headphone」も開発しています。こちらは外部トリガー入力などを備え、研究・実証実験での使用を想定したモデルです。

つまりVIEは、日常向けのイヤホン型と、研究用途向けのヘッドホン型という両方向から脳波計測を広げています。

多数の電極を使わず脳波を測る独自技術

脳波は非常に微弱な電気信号のため、簡単に測定できるものではありません。

特に日常環境では体の動きや外部環境によるノイズが混ざりやすく、必要な脳波だけを取り出すことが課題になります。

VIEでは、ゴムへ特殊な材料を練り込むことで導電性を持たせた電極と、ノイズを処理する技術を組み合わせ、イヤホン型デバイスで脳波を取得できる仕組みを開発しています。

VIE LABでは、ノイズリダクションのほか、脳情報を読み取る学習機能、脳の状態をリアルタイムに可視化する技術なども開発しています。

ここがVIEの技術を理解するうえで重要なポイントです。

単純に「耳から脳波を測れる」というだけではなく、

脳波を測る → 状態を解析する → 音などの刺激を与える

という一連の仕組みを作ろうとしています。

そのため、イヤホンそのものよりも、その先にある「脳波と音楽を組み合わせたサービス」がVIEの事業の大きな特徴になっています。

今村泰彦CEOが音楽業界からニューロテックへ進んだ転機

VIE代表取締役の今村泰彦さんは、もともと音楽とITの両方に深く関わってきた人物です。

ワーナーミュージック・ジャパンではオンライン音楽配信事業の開発に携わり、その後マーベラスAQLで執行役員を務めました。

2013年からはEvernoteでパートナーマネジャーとして働き、その後VIEを設立しています。

今村さん自身、幼少期から音楽に関わり、プロのジャズドラマーを目指した時期もありました。

音楽では、体を動かして音を出し、その音を耳で聞き、脳で判断して再び体を動かすという循環が起こります。

今村さんはこうした経験から、音楽が人間の脳や身体と深く結びついていることに注目しました。

さらにEvernote勤務時代にシリコンバレーのスタートアップ文化やIoTに触れた経験が、音楽ウェアラブルから生体情報を取得する事業へ進むきっかけの一つになっています。

音楽会社、IT企業、ウェアラブルデバイスという一見別々に見える経験が、現在の「脳波×音楽」というVIEの事業につながっています。

藤井進也CMOが進める音楽神経科学の研究

VIEで音楽研究を担っているのが、Chief Music Officer(CMO)の藤井進也さんです。

藤井さんは慶應義塾大学環境情報学部准教授で、VIEには2022年にCMOとして参画しました。VIEではニューロテクノロジーと音楽を組み合わせる研究開発を進めています。

2026年には、VIEのイヤホン型脳波計を使い、音楽を聴いている最中の脳波から、その人がより強く快感を感じる曲を選ぶ研究成果も発表されました。

この研究では、脳波と楽曲の音響的な特徴を組み合わせ、その人が強く感動すると予測される楽曲を選択します。

脳波をもとに作られたプレイリストでは、ランダムな楽曲と比較して、主観的な快感評価や「鳥肌が立つような感覚」が高まる結果が示されています。

音楽配信サービスの「好みから似た曲を選ぶ」という仕組みとは異なり、VIEが研究しているのは実際の脳の反応を使って曲を選ぶ方法です。

脳波イヤホンが音楽を再生するだけの機器ではなく、音楽体験そのものを個人に合わせるためのセンサーになっている点が興味深いところです。

製薬会社と進める食欲・認知症と音楽の研究

VIEの技術は音楽を楽しむためだけではありません。

2026年6月には大正製薬との研究で、脳波に基づいて設計した音響刺激によって、主観的な空腹感や食欲を抑えられる可能性を示す研究成果が発表されました。

研究では満腹時に特徴的な脳波パターンを分析し、その状態へ近づけることを目的とした音響刺激を設計しています。

一方、記憶と音楽を組み合わせた取り組みも進んでいます。

VIEは東和薬品、NTTデータ経営研究所と「うたメモリー」を共同開発しました。

脳波イヤホンで音楽を聴いたときの「懐かしさ」の反応を読み取り、AIが一人ひとりに合わせたプレイリストを作るサービスです。

さらに脳波とAIを使って選ばれた音楽によって、ノスタルジアの感情や記憶の鮮明さ、ウェルビーイングが高まる研究成果も発表されています。

食欲、記憶、感情。

扱うテーマは異なりますが、共通しているのは「脳の状態を測り、音によって働きかける」という考え方です。

VIEが脳波と音楽を日常生活へ広げようとしている現在

VIEが現在進めているのは、脳波計を研究者だけの道具にしない取り組みです。

2025年にはNTTドコモビジネスの「Mindscape Entry」に、イヤホン型脳波計、ニューロミュージック、脳波解析システムを提供しました。

体験者の集中やリラックスといった状態をイヤホン型脳波計で測り、その変化を映像としてリアルタイムに表現する仕組みです。

2026年9月には、Rebaseのオフィスへニューロミュージック生成システムを導入。

オフィスの場所や利用場面に合わせて5種類のニューロミュージックを設計するなど、研究室から実際の生活・仕事空間へ技術を広げています。

VIEが目指している「脳波の民主化」は、脳波を誰もが日常的に扱える技術へ変えることとも言えます。

イヤホンを装着して音楽を聴くという普段の行動の中で脳波を測り、そのデータから自分に合った音や体験を作る。

VIE EEG Earphoneは、その入り口となるデバイスです。

まとめ

VIE株式会社は、イヤホン型脳波計を中心に、ニューロテクノロジーと音楽を結びつけている鎌倉発の企業です。

代表の今村泰彦さんが音楽業界やIT企業で積み重ねてきた経験と、藤井進也さんらによる音楽神経科学の研究が組み合わさり、現在はイヤホン型脳波計の商品化だけでなく、食欲、記憶、音楽体験、オフィス空間などへ活用範囲が広がっています。

2026年9月30日の「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」で注目したいのは、珍しいイヤホンそのものだけではありません。

脳波を日常の中で測定し、その人の状態に合わせて音楽や体験を変える。

VIEが進めているのは、これまで研究室の中にあった脳波技術を、生活の中へ持ち出す挑戦です。

参考リンク

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