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YKK「PROSEAL」の仕組みと用途|水も空気も通さない気密ファスナーと宇宙服の技術

企業・新技術

YKKのPROSEALは水も空気も通さない特殊ファスナー!仕組みと宇宙服への応用技術

PROSEAL(プロシール)は、YKKが製造する水密・気密ファスナーです。特殊な金属部品でテープを隙間なく密着させ、水や空気の通り道をふさぎます。ダイビング用のドライスーツや救命装備、液体コンテナなどに使われる産業用製品です。

2026年10月25日放送の日本テレビ系『所さんの目がテン!』では、ファスナーがかみ合う仕組みや、水・空気を通さない特殊技術が紹介される予定です。ここでは、YKKのPROSEALを中心に、一般的な防水ファスナーとの違いや宇宙開発への応用を解説します。

PROSEALとは?水と空気を防ぐ特殊な構造

PROSEALは、YKKが開発した水密・気密ファスナーです。

一般的なファスナーは、左右の小さな部品をスライダーによってかみ合わせる仕組みになっています。

かみ合う部品は「エレメント」、左右のエレメントを開閉する金具は「スライダー」と呼ばれます。

この構造は丈夫ですが、通常のファスナーでは部品の隙間から水や空気が通ることがあります。

一方、PROSEALは、特殊なエレメント構造によって左右のテープを隙間なく圧着する設計です。

金属部品をかみ合わせる力を利用して、ファスナーを閉じた部分に気密性を持たせています。

YKKが公開する主な仕様は次のとおりです。

  • 製品名:PROSEAL(プロシール)

  • メーカー:YKK株式会社

  • 種類:水密・気密ファスナー

  • エレメント素材:洋白

  • スライダー素材:アルミブロンズ

  • テープ素材:PVC、クロロプレン合成ゴム、ポリウレタン

  • 主な用途:ドライスーツ、サバイバルスーツ、液体コンテナ

洋白は、銅・ニッケル・亜鉛を主成分とする合金です。

このようにPROSEALは、通常の衣服やバッグ向けではなく、高い密閉性能が必要な装備に対応する製品として設計されています。

ただし、ファスナー単体に気密性があっても、取り付け部分や生地まで含めた製品全体の気密性能が保証されるわけではありません。

PROSEALとAQUASEAL・AquaGuardの違い

YKKには、PROSEAL以外にも水の侵入を防ぐファスナーがあります。

名前が似ていても、使用目的や性能は異なります。

① PROSEAL|水密・気密タイプ

水だけでなく、空気の漏れを防ぐための製品です。

ドライスーツやサバイバルスーツ、液体コンテナなど、気密性が重要な用途に使用されます。

② AQUASEAL|防水タイプ

AQUASEAL(アクアシール)は、防水機能を持つファスナーです。

ウェットスーツや防水バッグなどに利用されます。

サイズ10の製品については、すべて気密検査を実施しており、30kPaの気密保証が設定されています。

③ AquaGuard|止水タイプ

AquaGuard(アクアガード)は、主に衣料品やバッグ、テントなどに使われる止水ファスナーです。

アウトドアジャケットやリュックなどで見かけることがあります。

ただし、止水ファスナーは完全防水を意味するものではありません。

YKKも、水密・気密ファスナー、防水ファスナー、止水ファスナーを用途によって区別しています。

例えば雨の日に着るジャケットにはAquaGuardが選ばれる一方、水中で使用する特殊装備には、求められる性能に応じて別の製品が必要になります。

同じファスナーでも、どの程度の水圧や気圧に耐える必要があるかによって設計が違うのです。

宇宙服にも使われてきたYKKの気密ファスナー

YKKの水密・気密ファスナー技術は、宇宙開発にも関係しています。

同社の公式資料によると、スペースシャトルの宇宙飛行士が着用していたオレンジ色の与圧服には、YKK製の水密・気密ファスナーが使用されていました。

採用されていたのは、胸から背中にかけての部分です。

宇宙船の打ち上げ時や帰還時には、船内の気圧が急激に変化する事故に備えて、宇宙飛行士が与圧服を着用します。

与圧服は、内部の圧力を保つことで宇宙飛行士を守る装備です。

このため、衣服の開閉部分にも空気を漏らさない技術が必要になります。

普段の生活では何気なく開閉しているファスナーが、特殊な環境では人命を守る重要な部品になるわけです。

なお、YKKが公開している宇宙服への採用情報は水密・気密ファスナー技術に関するもので、現在販売されているPROSEALの特定仕様がそのまま使用されたとまでは確認できません。

2026年には月面基地をつなぐ技術開発にも参加

YKKのファスナー技術は、さらに大きな構造物への応用も検討されています。

2026年1月22日、YKKはミサワホーム、ミサワホーム総合研究所、カンボウプラスとの共同提案が、JAXAの研究制度「Moon to Mars Innovation」に採択内定されたと発表しました。

研究テーマは、月面基地の構築に役立つ、柔軟で施工しやすい空間連結技術です。

構想の中心となるのは、小型の居住モジュールを複数設置し、必要に応じてつなげていく方式です。

月面では建設に使える人員や機材が限られるため、複雑な作業を減らすことが重要になります。

そこで、ファスナーなどを利用してモジュール同士を連結する技術が検討されています。

YKKは、これまで南極での移動基地ユニットに関する研究にも参加してきました。

今回の開発では、その技術を宇宙環境に適応させることを目指しています。

研究期間は2026年4月から2028年3月までの24か月間が計画されています。

ただし、これは研究開発段階の取り組みであり、PROSEALが月面基地に採用されたと決まったわけではありません。

PROSEALは一般購入できる?価格と修理の注意点

PROSEALは、主に産業用途を想定した製品です。

YKKによると、ファスナーは種類や長さ、色などの組み合わせが多いため、基本的に注文生産で提供されています。

PROSEALについても、一般的な文房具や手芸用品のように、全国一律の販売価格が設定されているわけではありません。

購入を検討する際は、サイズ、素材、必要な気密性能、取り付ける製品の用途を確認する必要があります。

製品仕様は、YKK公式「PROSEAL」製品案内で確認できます。

取り扱う際の注意点

PROSEALは、高い密閉性能を維持するため、通常のファスナー以上に丁寧な取り扱いが必要です。

YKKは次のような注意事項を示しています。

  • 開閉前に砂や泥などの異物を取り除く

  • スライダーを斜めに引かず、ファスナーに沿って動かす

  • 無理に引っ張らず、ゆっくり開閉する

  • 閉じる際はスライダーを上止まで確実に移動させる

  • 使用後は汚れを落とし、折り曲げずに保管する

異物が挟まったまま強く引っ張ると、エレメントの破損や気密性能の低下につながります。

また、YKKの補修案内では、PROSEALは通常のファスナー補修サービスの対象外商品として示されています。

特殊装備のファスナーに問題が起きた場合は、自分で金具を曲げたり、部品を交換したりせず、装備の製造元へ相談することが重要です。

まとめ

PROSEALは、YKKが開発した水密・気密ファスナーで、特殊な金属構造によって水や空気の漏れを防ぎます。一般的な止水ファスナーとは用途が異なり、ドライスーツなどの特殊装備に使用されます。YKKの気密技術は宇宙服にも採用されてきたほか、2026年には月面基地の連結技術に関する研究開発にも参加しています。


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