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村端七優『空席』は3人で高校演劇日本一、2度目の卒業式を描いた生徒創作脚本【青春舞台2026】

人物

徳島・城南高校3人の『空席』が全国約1700校の頂点へ

2026年10月4日放送のNHK Eテレ『青春舞台2026』では、第72回全国高等学校演劇大会で最優秀賞・文部科学大臣賞に輝いた徳島県立城南高等学校の『空席』がノーカットで放送されます。

脚本を書いたのは、城南高校演劇部3年の村端七優さん。舞台に立ったのは村端さん、部長の礒部心結さん、2年生の井内淳仁さんというわずか3人です。

卒業式に出席できなかった3人の高校生が「2度目の卒業式」のために集まる静かな会話劇。派手な舞台装置や大人数の演技ではなく、3人の言葉と等身大の感情で全国約1700校の高校演劇の頂点に立ちました。

この記事でわかること

  • 『空席』を書いた村端七優さんと城南高校演劇部の3人
  • 2度目の卒業式という物語が生まれたきっかけ
  • わずか3人で全国最優秀賞をつかんだ舞台の特徴
  • 『青春舞台2026』で『空席』がノーカット放送される理由

村端七優は『空席』を書いた城南高校3年生

出典:徳島県立城南高等学校 演劇部活動報告

村端七優さんは、徳島県立城南高等学校演劇部の3年生です。

2025年度、2年生だった時に生徒創作脚本『空席』を執筆。徳島県高校生戯曲コンクールでは優秀賞を受賞し、その脚本を部員とともに時間をかけて磨き上げました。2026年夏には全国高等学校総合文化祭「あきた総文2026」の演劇部門へ出場し、最高賞の最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞しています。

全国大会で舞台に立ったメンバーは3人です。

  • 村端七優さん:3年、脚本を担当
  • 礒部心結さん:3年、演劇部部長
  • 井内淳仁さん:2年
  • 指導:田上二郎先生

全国大会では20人を超える出演者を使った作品もある中、城南高校は大会参加校の中でも最少人数となる3人で舞台を作りました。

『空席』は卒業式に出られなかった3人の物語

『空席』の舞台は、高校の教室です。

通常の卒業式には出席できなかった生徒のため、別の日に「2度目の卒業式」が行われることになり、事情の異なる3人の高校生が教室へ集まります。

そこで語られるのが、高校生活への後悔、大人になることへの不安、卒業した後の進路、そして他人には簡単に説明できないそれぞれの事情です。

3人は同じ理由で卒業式を欠席したわけではありません。

作品には、

  • コロナによって卒業式へ出席できなかった生徒
  • 普通に学校生活へ通うこと自体が難しかった生徒
  • 病気によって卒業式へ出られなかった生徒

という異なる背景を持つ人物が登場します。

大きな事件を次々に起こす作品ではなく、静かな教室の中で3人の会話を積み重ねることで、それぞれが抱えているものが少しずつ見えてくる構成です。

きっかけは中学校の友人から聞いた「2回目の卒業式」

村端さんが『空席』を書き始めたきっかけは、身近なところにありました。

中学校時代の友人から、卒業式へ参加できなかった生徒を学校側が後日集め、「2回目の卒業式」を行ったという話を聞いたことです。

村端さんは、この出来事を基に物語を考え始めました。

脚本を書き始めたのは2025年4月。最初から全国大会を狙って完成された作品を書いたわけではなく、その後何度も修正を重ねながら、3人それぞれの人物像や会話を深めていきました。

現実にあった小さな出来事から出発したことが、『空席』の大きな特徴です。

卒業式という誰もがイメージしやすい行事を舞台にしながら、「そこに参加できなかった人」に目を向けています。

タイトルの『空席』も、誰も座っていない椅子そのものだけでなく、そこに来られなかった人や、一般的な高校生活からこぼれてしまった人の存在を意識させる言葉になっています。

30組の机と椅子、舞台にいるのは3人だけ

『空席』の舞台写真を見ると、まず目に入るのが大量の机と椅子です。

ステージには高校の教室を思わせるように約30組の机と椅子が並べられています。

ところが、演じる高校生は3人しかいません。

大勢の生徒がいるはずの教室を、ほとんど誰もいない状態で見せることで、「空席」が強く意識される舞台になっています。

全国大会でも城南高校は、大人数による迫力や大掛かりな舞台転換とは別の方法を選びました。

学校公式サイトでは、3人だからこそできる「緻密な会話劇」「リアルな心理描写」「空間を贅沢に使った演出」を重視したと説明しています。

静かな舞台だからこそ、観客は高校生たちの言葉やわずかな動きへ集中することになります。

役者だけではない、3人で舞台そのものを動かした

3人しかいないことは、演技だけの問題ではありません。

全国大会では、セットの設営や舞台裏の作業も必要です。

『青春舞台2026』の紹介によると、城南高校は3人の生徒と顧問1人という小さなチームで秋田県大館市の全国大会へ参加しました。

照明操作も自分たちで担当。照明を操作する場所は会場最上階にあり、操作を終えた後に舞台まで移動し、そのまま役者として芝居へ参加する場面もありました。

「部員が少ないから簡単な芝居にする」のではなく、人数が少ないことそのものを舞台の特徴へ変えています。

この点も、『空席』という作品と城南高校演劇部の状況が重なっています。

全国大会で最優秀賞・文部科学大臣賞

全国高等学校演劇大会は、各地域の大会を勝ち抜いた高校が集まる高校演劇の全国舞台です。

2026年の全国大会は7月30日から8月1日まで、秋田県大館市のほくしか鹿鳴ホールで開催されました。

全国約1700校の高校が取り組む高校演劇の中から地区大会・ブロック大会を勝ち上がり、全国大会へ進んだのは12校。

その頂点に立ったのが徳島県立城南高校の『空席』でした。

城南高校にとって全国大会最優秀賞は初めてです。

徳島県勢では、1984年の日和佐高校、2023年と2024年の城東高校に続く全国最優秀賞となりました。

しかも今回は生徒自身が書いた脚本です。

高校生が自分たちと近い年代の人物を描き、同じ高校生が演じ、その作品が全国の頂点まで進みました。

「うまく演じる」より3人自身に近い人物を作った

『空席』では、登場人物を役者本人から遠い存在にはしていません。

顧問の田上二郎先生は、3人それぞれが等身大の自分から役へ近づけるよう、半年以上かけて作品を作り込んだと説明しています。

脚本を書いた村端さんも、3人の個性を生かしながら設定やせりふを組み立てました。

部長の礒部さんが演じたのは、卒業後に県外へ出て働く人物。

進学する2人を前に、自分だけが一足先に社会へ出る不安や、大人になる感覚を語ります。

全国大会では、役者本人と登場人物の境界が薄くなるほど役へ入り込めた場面があったと振り返っています。

派手な演技で感情を強調するのではなく、本当に教室で高校生が話しているような時間を作る。

それが『空席』の演技にもつながっています。

高校生が書いた言葉だから届く卒業前の不安

高校卒業は、進学、就職、地元を離れることなど、同じクラスの生徒たちが初めて大きく別々の方向へ進み始める時期です。

『空席』は、その直前にいる高校生自身が書いています。

大人が昔を振り返って作った「青春」ではなく、まさに卒業を目前にした高校生が、その時点で感じている将来への不安や同級生との距離を言葉にした作品です。

全国大会では、言葉や動作の自然さや、高校生による脚本とは思えない完成度について高い評価を受けました。

村端さん自身も2026年時点で18歳。

作品の登場人物と近い位置にいるからこそ描ける感覚が、静かな会話の中へ反映されています。

『空席』は10月4日に全国でノーカット放送

『青春舞台2026』は2026年10月4日、NHK Eテレで14時30分から16時まで放送されます。

番組前半では、全国大会に出場した12校の上演や大会へ挑む高校生たちを紹介。

後半で最優秀賞を受賞した城南高校の『空席』がノーカット放送されます。

放送情報は次の通りです。

  • 番組名:青春舞台2026
  • 放送局:NHK Eテレ
  • 放送日:2026年10月4日
  • 放送時間:14:30~16:00
  • 全国大会出場校:12校
  • 最優秀賞作品:徳島県立城南高等学校『空席』
  • 脚本:村端七優
  • 出演:城南高校演劇部3人

城南高校公式サイトによると、放送後はNHK ONEで1週間の見逃し配信も予定されています。

まとめ

村端七優さんは、徳島県立城南高校演劇部の3年生で、全国高等学校演劇大会の最優秀賞作品『空席』を書いた高校生です。

脚本のきっかけになったのは、中学時代の友人から聞いた「卒業式へ来られなかった生徒のために2回目の卒業式が開かれた」という話でした。

2025年4月から脚本を書き始め、何度も修正。

部長の礒部心結さん、2年生の井内淳仁さんと3人だけで舞台を作り上げ、2026年夏の全国大会で最優秀賞・文部科学大臣賞を受賞しました。

大人数でも、豪華な舞台装置でもありません。

30組ほどの机と椅子が並ぶ静かな教室で、卒業式に出られなかった3人が言葉を交わす。

高校生自身が、卒業を目前にした高校生の不安や希望を書いたからこそ生まれた作品です。

10月4日の『青春舞台2026』では、その『空席』が全国へノーカットで届けられます。

参考リンク

 


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