ショッピングモールに隠された快適さと長居したくなる仕組み
2026年10月14日放送のNHK「あさイチ」では、「ギョーカイの裏側!ショッピングモール編」と題して、普段何気なく利用している大型商業施設の工夫を特集します。
買い物だけでなく、食事や映画、家族とのお出かけにも利用されるショッピングモール。長い時間を過ごしても快適で、次々とお店を見て回りたくなる空間には、建物の設計から設備の運用まで、さまざまな仕掛けがあります。
注目したいのは、上りと下りのエスカレーターの速度、計算された店舗配置、従業員への合図となる館内BGM、広大な駐車場で車を見つけるシステム、そして長居の秘密に関係する「床」です。
身近な買い物空間を支える5つの工夫を、実際の商業施設や設備メーカーが採用している仕組みとともに紹介します。
この記事でわかること
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エスカレーターの速度を変えられる仕組みと安全への配慮
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お客さんが自然に店舗を巡るように考えられた配置戦略
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雨の降り始めを従業員に知らせる館内BGMの役割
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駐車位置の記録システムと床に施された快適性の工夫
エスカレーターは上りと下りで速度を変えられる
大型ショッピングモールで欠かせない設備のひとつがエスカレーターです。
実は、エスカレーターには運転速度を変更できる機種があり、利用環境や混雑状況に合わせた運用が可能になっています。
東芝エレベータが提供するインバーター制御のエスカレーターでは、次の3段階の速度設定が可能です。
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毎分30m:通常の移動速度
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毎分25m:ややゆっくりした移動速度
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毎分20m:乗り降りに配慮した低速運転
さらに、あらかじめ設定した時刻に合わせて速度を自動的に切り替えるスケジュール運転にも対応しています。
たとえば利用者の多い時間帯には移動をスムーズにし、高齢者や小さな子ども連れが多い時間帯には速度を落とすといった運用ができます。
上りと下りのエスカレーターを異なる速度に設定することも、設備の仕様と運用条件によって可能です。
特に下りエスカレーターでは、利用者が足元を確認しながら安全に乗り降りできることが重要になります。
ただし、すべてのショッピングモールで上りと下りの速度が異なるわけではありません。施設によって運転設定は異なります。
普段はほとんど意識しない移動速度にも、安全性と快適性を両立させるための技術が使われています。
店舗配置の秘密は「2核1モール」と回遊性
ショッピングモールでは、どのお店をどこに配置するかが重要な設計上のポイントになります。
その仕組みを理解するうえで参考になるのが、イオンモールが基本的な建物スタイルとして採用してきた「2核1モール」です。
これは建物の両端に集客力のある大型店舗を配置し、その間を専門店街で結ぶ構造です。
具体的には、次のような考え方で施設全体を構成します。
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建物の両端:大型スーパーや集客力のある核店舗
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中央の通路:ファッション、雑貨、サービスなどの専門店
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館内の各所:飲食店や休憩スペースなどの利用施設
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上下階:エスカレーターやエレベーターで結ぶ移動経路
大型店舗を両端に配置することで、来館者は目的のお店へ向かう途中に、数多くの専門店の前を通ることになります。
このように施設内を歩き回り、さまざまな店舗を訪れる動きを「回遊」と呼びます。
イオンモールの施設開発では、この回遊性を高めることによって、人の流れが届きにくい店舗を減らし、専門店同士の相乗効果を生み出すことを目指してきました。
また、三井不動産が手がけるショッピングモールでも、施設のコンセプトに合わせてフロア構成やテナントを検討しています。
例えば「ららぽーと名古屋みなとアクルス」では、施設全体のコンセプトを定め、それに基づいて各フロアの方向性を決め、必要なテナントを検討する開発が行われました。
単に人気店を集めるだけでなく、施設全体としてどのような買い物体験を提供するかまで考えられているのです。
館内BGMには従業員に雨を知らせる役割もある
ショッピングモールや百貨店に流れる音楽は、買い物中の雰囲気づくりだけを目的としたものではありません。
音響機器メーカーのヤマハは、商業施設のBGMについて、来館者が気付かない形で従業員に業務上の情報を伝える用途も紹介しています。
代表的なのが、雨の降り始めを知らせる音楽です。
大きな商業施設では、窓のない売り場で働く従業員が外の天候の変化に気付きにくいことがあります。
そこで、あらかじめ決めておいた曲を館内に流し、従業員へ雨が降り始めたことを知らせる仕組みが使われています。
雨を知らせる楽曲の代表例には、次のようなものがあります。
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「雨に唄えば」
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「雨にぬれても」
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「雨音はショパンの調べ」
実際に大丸神戸店では、2026年6月の雨の日サービスの案内において、館内で「雨に唄えば」が流れた場合もサービスの対象になると説明していました。
従業員は天候の変化を把握することで、購入した商品を雨から守る包装や、来館者への案内などに対応できます。
館内全体へ業務連絡を放送しなくても、音楽を合図に情報を共有できることが特徴です。
買い物中に突然BGMが変わったとき、そこには普段とは異なる意味が込められていることもあるのです。
巨大駐車場で車の場所を忘れても確認できるシステム
郊外の大型ショッピングモールでは、数千台規模の駐車場を備える施設もあります。
駐車場が広くなるほど困るのが、買い物を終えたときに自分の車をどこへ停めたのか分からなくなることです。
こうした問題に対応するため、駐車位置をスマートフォンで記録できるサービスが登場しています。
具体例が、三井不動産グループの「三井ショッピングパークアプリ」です。
このアプリには、駐車した場所を記録し、後から確認できる機能があります。
主な特徴は次のとおりです。
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駐車した場所をアプリに記録できる
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買い物後にアプリから駐車位置を確認できる
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駐車料金の無料サービス適用時間なども確認できる
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対応する商業施設で利用できる
駐車位置の登録機能には、会員登録・ログインが必要ですが、ゲスト会員として利用する方法も用意されています。
なお、すべての三井ショッピングパーク施設が対象ではありません。
車両ナンバーをカメラで認識する駐車場管理システムも実用化されており、駐車券を使わずに料金精算を行える施設もあります。
駐車位置の記録と車両ナンバーによる料金精算は異なる機能ですが、どちらも広大な駐車場を便利に利用するための仕組みです。
買い物をする前だけでなく、帰るときの不便まで解消することが、大型商業施設のサービス向上につながっています。
長居したくなる秘密は「床」にもある
ショッピングモールの快適さを考えるうえで、見逃せないのが床の存在です。
広い館内を長時間歩く施設では、見た目の美しさだけでなく、床材の歩きやすさ、安全性、清掃のしやすさなども重要になります。
例えば、商業施設の床には次のような素材が使われています。
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磁器質タイル:カートや車いすでの移動に配慮でき、耐久性にも優れる
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タイルカーペット:柔らかな質感や落ち着いた空間の演出に役立つ
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防滑性床材:滑りにくさに配慮した歩行空間づくりに利用される
実際にイオンモールが過去に公表した施設リニューアル資料でも、エリアによって磁器質タイルとタイルカーペットを使い分けた事例が紹介されています。
床材を使い分ける理由のひとつは、場所ごとに求められる機能が異なるためです。
多くの人が行き交う通路では移動のしやすさが求められ、落ち着いた雰囲気を演出するエリアでは、素材の質感や空間との調和も大切になります。
さらに、床の色や模様は館内全体の印象を左右します。壁面や照明、店舗のデザインと組み合わせることで、利用者が心地よく過ごせる空間をつくれます。
床は単なる建物の仕上げ材ではなく、来館者の歩行と居心地を支える大切な要素です。
買い物だけではない、長く過ごせるショッピングモールの進化
大型ショッピングモールは、商品を購入する場所から、さまざまな時間を過ごす複合的な生活空間へと発展してきました。
レストランやフードコート、映画館、子どもの遊び場、イベント広場などを組み合わせることで、買い物以外の目的でも訪れやすくなっています。
三井不動産が展開する「ららぽーと」でも、地域ごとの特色を生かした共用空間づくりが進められています。
例えば、ららぽーと海老名の交流空間「EBICEN」は、ショップやイベント、空間デザインを組み合わせ、人々の交流が生まれる場所として整備されました。
こうした施設では、目的の商品を買って帰るだけでなく、食事を楽しんだり、イベントに参加したり、休憩しながら過ごしたりできます。
その体験を支えているのが、建物の配置、エスカレーター、床材、音響、駐車場などの設備とサービスです。
ひとつひとつは目立たなくても、それらが組み合わさることで、大型ショッピングモールならではの快適な空間が生まれています。
ショッピングモールを利用するときに役立つ情報
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エスカレーター:速度は施設や設備の運用設定によって異なる
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店舗配置:大型店だけでなく、通路沿いの専門店にも立ち寄りやすい構造がある
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館内BGM:施設によっては天候の変化を知らせる音楽が流れる
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駐車場:対応施設では公式アプリの駐車位置記録機能が便利
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床材:エリアによって素材やデザインが使い分けられている
まとめ
2026年10月14日の「あさイチ」で取り上げられるショッピングモールの裏側には、普段の買い物では気付きにくいさまざまな工夫があります。
エスカレーターの速度設定、店舗の回遊性を高める配置、音楽による従業員への情報共有、駐車位置を記録できるサービス、そして歩行空間を支える床の設計。
これらに共通しているのは、利用者が不便や負担を感じにくい環境をつくることです。
買い物を終えてから車に戻るまで、来館者が安心して快適に過ごせるよう、多くの設備やサービスが連携しています。
何気なく歩いているショッピングモールの通路も、店舗の並び方や足元の素材、流れている音楽に注目すると、これまでとは違った発見ができそうです。
参考リンク
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