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トンネルドンは新幹線の出口で鳴る|音の原因と緩衝工・長い先頭部の役割

新幹線のトンネル出口と圧力波をイメージした図。「トンネルの出口でドン!」の日本語文字入り ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪

新幹線の「トンネルドン」は出口で起こる|入口を改良して抑える仕組み

新幹線がトンネルに入ると、押し込まれた空気が圧縮波になってトンネル内を伝わり、反対側の出口から「ドン」という音や圧力の変化が放射されることがあります。これがトンネルドン、正式にはトンネル微気圧波と呼ばれる現象です。2026年10月28日放送予定のNHK Eテレ『ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪』では、鉄道総合技術研究所による低減実験を紹介。音が出るのに入口を工夫する理由と、長い新幹線の先頭部が果たす役割を解説します。

音が出るのは出口なのに、原因はトンネル入口にある

高速で走る新幹線がトンネルへ突入すると、列車の前方にあった空気が急に押されます。その圧力変化は圧縮波となり、トンネル内をおおむね音速で進みます。列車そのものの移動とは別に、圧力変化が前方へ伝わることが重要です。

圧縮波が反対側の出口に達すると、外へ向けてパルス状の圧力波が放射されます。これがトンネル微気圧波です。条件によっては出口付近で発破音のような音が生じたり、住宅の窓や戸ががたついたりする場合があります。爆発や列車同士の衝突が起きているわけではありません。

宇都宮大学の流体工学研究室は、圧力波がほぼ音速の約340m/sで伝わるのに対し、列車の速度はそれより遅いため、車両が出口に到達する前に音が生じることを説明しています。『列車がまだ見えないのに出口側でドンと鳴る』理由は、空気の圧力変化が列車に先行するためです。

トンネル入口の緩衝工は空気を急に押し込まないための設備

出口から放射される圧力波を抑える対策の一つが、トンネルの入口側に設けるトンネル緩衝工です。トンネル本体より大きな断面を持つフード状の構造物などを使い、列車が入った瞬間の圧力上昇を緩やかにします。JR東日本は、高速化に伴う騒音対策の地上設備としてこの仕組みを紹介しています。

一般に、緩衝工の側面には空気を逃がす開口部が設けられ、位置や大きさの調整が低減効果を左右します。鉄道総研では、長い緩衝工の複数の開口部を効率よく調整する方法も研究しています。出口で生じる現象を、入口の圧力変化から小さくするのがこの技術の狙いです。

なお、緩衝工は単なる防音壁とは役割が異なります。車両の走行音を遮るだけでなく、トンネル内へ送り込まれる圧縮波そのものの立ち上がり方を調整します。そのため、すべてのトンネルで同じ形や長さが適しているわけではありません。

新幹線の長い鼻にも理由がある|形状と模型実験の成果

列車側の対策には、先頭部の長さや断面積の変化を調整する方法があります。先頭部がトンネル入口へ入るとき、急に空気を押さずに済むよう形を設計することで、圧縮波を抑えようとしています。近年の新幹線の先頭が長く独特な形なのは、空気抵抗だけでなくトンネル微気圧波への対策とも関係しています。

鉄道総研は、先頭部が一定の間隔で段階的に太くなる3段型先頭部形状を研究しました。長さ約12mの先頭部を想定した模型実験では、従来型に比べて微気圧波のピーク値をさらに約5%低減できると報告しています。ただし、これは研究で設定した模型・条件での結果であり、どの営業車両でも必ず5%下がるという意味ではありません。

同研究所では、高速で列車模型を発射し、トンネル模型へ進入させる実験装置で、先頭形状と緩衝工の効果を測定しています。番組予告にある時速300kmの模型走行実験も、実際の列車を使わずに圧縮波の仕組みを調べる研究につながります。

トンネルドンを抑える技術は、沿線住宅の騒音・建具のがたつき対策と、新幹線の高速運転を両立させるために役立ちます。同じ放送回で紹介予定の鉄道の使いやすさについては、当サイトのつり革が高くて届きにくい理由と高さの違いでも解説しています。

まとめ

トンネルドンは新幹線が入口で空気を圧縮し、その圧縮波が出口に届いて発生する現象です。だから出口側で音が聞こえても、入口の緩衝工や列車の先頭形状が大切な対策になります。単純な走行音とは仕組みが異なり、住宅の建具をがたつかせる場合もあります。圧力変化を小さくする研究が、高速運転と沿線環境の両立を支えています。


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