生ジョッキ缶の泡が出る秘密は内側の特殊塗料
アサヒスーパードライ「生ジョッキ缶」は、ふたを開けるだけで細かな泡が自然に湧き上がる缶ビールです。その秘密は、トーヨーケムとアサヒビールが共同開発した缶内面の特殊塗料。表面に何百万個もの微細な「クレーター状のくぼみ」があり、開栓時の圧力変化をきっかけに泡を生みます。
この技術は2026年11月8日放送予定のTBS『がっちりマンデー!!』でも紹介されます。普通の缶ビールとの違いから、泡が出ない場合の原因まで見ていきます。
泡が自然に湧き上がる仕組み
ビールには炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んでいます。一般的な缶ビールでは、缶を開けた瞬間から大量に泡立たないように内面が設計されています。生ジョッキ缶は、その常識とは逆に、開栓すると泡が生まれるよう内面の状態を工夫しています。
ふたを開けると缶の内部圧力が下がり、塗料の細かな凹凸が炭酸ガスの泡が発生する起点となります。表面全体に数多くの起点があるので、きめ細かな泡が次々に湧き上がるのです。泡をつくるために別のガスや発泡剤を注入する仕掛けではありません。
クレーター状の凹凸はどれくらい小さい?
缶の内側は、一見すると普通の金属面と変わりません。しかし顕微鏡で見ると、小さなくぼみが多数あります。アサヒビールの2026年の発表では、直径5〜20マイクロメートル(µm)の凹凸を1平方ミリメートルあたり200〜1,200個配置し、さらに直径0.5〜5マイクロメートル未満の細かな凹凸も組み合わせる技術が紹介されています。
1マイクロメートルは1ミリメートルの1,000分の1。目では見えないほどの微細構造が、缶全体で泡を生む役割を担っています。凹凸は塗料を塗った後の乾燥・加熱工程を利用して形成されます。
塗料を開発したトーヨーケムとは?
トーヨーケム株式会社は、artienceグループの企業で、ポリマーの設計や塗料・塗加工の技術を手がけています。生ジョッキ缶の内面塗料は、トーヨーケムとアサヒビールによる共同開発です。
従来の飲料缶では泡の発生を抑えることが重視されていましたが、生ジョッキ缶では「自然に泡を発生させる」という逆の発想を採用しました。この技術は令和8年度全国発明表彰の「発明賞」を受賞しています。ビールそのものだけでなく、容器内面の塗料が飲用体験を変えた例といえます。
泡が出ない原因は?冷やしすぎに注意
生ジョッキ缶は、塗料の仕組みだけでなく液温によって泡立ち方が変わります。アサヒビールが案内する飲み頃は4〜8℃です。冷凍庫やチルド室などで冷やしすぎると、開けても泡が出にくい場合があります。
メーカーは、通常の冷蔵室で冷やすことを推奨しています。泡立ちが少ない場合は、開栓後に缶を手で包んで温めると泡立ちを促せると説明しています。ただし、缶を振って泡を出そうとするのは避けてください。勢いよく吹きこぼれる危険があります。
吹きこぼれを防ぐ温度と冷やす時間
泡が少なすぎる場合とは反対に、ビールの温度が高いと吹きこぼれやすくなります。アサヒビールが案内している目安は次のとおりです。
- 生ジョッキ缶340ml:12℃未満。20℃の商品を冷やす場合、冷蔵室で6時間以上が目安
- 生ジョッキ缶大生485ml:10℃未満。20℃の商品を冷やす場合、冷蔵室で8時間以上が目安
十分に冷やしたうえで平らな場所に置き、落ち着いて開栓することが大切です。持ち帰る途中の振動や衝撃も吹きこぼれの原因になるため、強く振ったり落としたりしないようにしましょう。
普通の缶ビールと違うのは塗料だけ?
もう一つの特徴が、上面が大きく開くフルオープンのふたです。飲み口とふたの縁に安全性を考慮した「ダブルセーフティー構造」を採用し、缶をそのままジョッキのように使える形にしています。
泡が湧く内面塗料と、広く開くふた。この二つの容器技術が組み合わさることで、グラスに注がなくても泡立ちを楽しめる設計になっています。
まとめ
生ジョッキ缶の泡は、トーヨーケムとアサヒビールが共同開発した特殊塗料によって生まれます。缶の内面に形成された無数のクレーター状の凹凸が、開栓時に泡の発生を助ける仕組みです。泡立ちには温度も重要で、飲み頃は4〜8℃。冷やしすぎや温めすぎを避け、缶を振らずに開栓するのがポイントです。
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