金メダルだけではないハンスル・パーチメントの長い競技人生
2026年9月8日放送の『ザ!世界仰天ニュース』で、東京オリンピック直前にバスを乗り間違えながら日本人女性の助けで競技場へたどり着いた選手が、ジャマイカのハンスル・パーチメントです。
「親切な女性に救われて金メダル」というエピソードがあまりにも有名ですが、パーチメントは偶然だけでオリンピック王者になった選手ではありません。
ロンドン五輪銅メダル、世界選手権銀メダル、東京五輪金メダル、さらに30代に入ってから自己ベストを更新。2026年現在も競技を続け、若いジャマイカ選手への継承まで意識しています。
この記事でわかること
- ハンスル・パーチメントの年齢・身長・専門種目
- ロンドン五輪から東京五輪金メダルまでの経歴
- 30代で自己ベスト12秒93を出した理由
- 2026年現在の競技状況と引退への考え
ハンスル・パーチメントはジャマイカの110mハードル選手
ハンスル・パーチメントは1990年6月17日生まれ、ジャマイカ出身の陸上選手です。
専門は男子110mハードル。
World Athleticsの公式プロフィールでは2026年現在36歳で、自己ベストは12秒93。オリンピック王者、世界選手権銀メダリスト、ダイヤモンドリーグ・ファイナル優勝などの実績を持っています。
身長は約1m96。
110mハードルではかなりの長身で、大きなストライドを生かせる一方、スタートから最初のハードルまでの加速では不利になりやすいタイプです。
実際、本人についてWorld Athleticsは、長身ゆえにスタートが弱点の一つだったことを紹介しています。
高校時代から順風満帆だったわけではない
パーチメントはジャマイカのセント・トーマス地域で育ち、モラント・ベイ・ハイスクールなどで陸上競技に取り組みました。
のちに西インド諸島大学(University of the West Indies=UWI)の奨学金を得て進学しています。
UWIによると、もともとは海外留学も考えていましたが、奨学金をきっかけにジャマイカ国内へ残る道を選択しました。
学生時代から才能はありましたが、最初から110mハードルの絶対王者だったわけではありません。
ジャマイカの高校陸上ではタイトルを取れない時期もあり、競技経験を積みながら世界レベルへ上がっていきました。
22歳でロンドン五輪銅メダル
大きな転機となったのが2012年ロンドンオリンピックです。
当時22歳だったパーチメントは男子110mハードルで銅メダルを獲得。
長身ゆえにスタートで出遅れながら、後半から猛烈に追い上げるレーススタイルを世界に印象づけました。
この時点ですでにオリンピックメダリスト。
つまり東京五輪で突然現れた無名選手ではなく、10年近く世界のトップクラスにいたベテランなのです。
2015年世界選手権では銀メダル
2015年の世界陸上でも男子110mハードルで銀メダルを獲得しました。
しかし、その後はけがとの戦いが続きます。
ハムストリングなどの故障に悩まされ、2016~2019年ごろは主要大会で思うように力を出せない期間が続きました。
トップアスリートにとって数年間の故障は、そのまま競技人生の終わりにつながっても不思議ではありません。
しかもパーチメントは30歳に近づいていました。
ところが意外な出来事が、身体を立て直す時間になります。
東京五輪延期が結果的に回復期間になった
東京2020オリンピックは新型コロナウイルスの影響で1年延期され、2021年に開催されました。
世界中の選手にとって難しい期間でしたが、故障を抱えてきたパーチメントにとっては、競技から離れて身体を休められる時間にもなりました。
ジャマイカの現地報道では、この予期しない休養期間が身体の回復につながった面も紹介されています。
そして迎えた東京五輪。
ここで例の「バス乗り間違え事件」が起きます。
準決勝へ向かう途中で別会場へ着いてしまい、ボランティアのテイヤナ・カワシマ・ストイコビッチさんから1万円を借りてタクシーで競技場へ。
準決勝を突破し、翌日の決勝へ進みました。
絶対王者グラント・ホロウェイを逆転
東京五輪決勝で最大のライバルだったのが、アメリカのグラント・ホロウェイです。
ホロウェイは大会前まで圧倒的な優勝候補でした。
決勝でも前半はホロウェイがリード。しかし後半になるとパーチメントが徐々に差を詰め、最後のハードルを越えて逆転しました。
結果は、
1位 ハンスル・パーチメント 13秒04
2位 グラント・ホロウェイ 13秒09
3位 ロナルド・レヴィ 13秒10
という接戦でした。
バスを間違え、競技に出られるかさえ危うかった選手が、翌日には世界最強候補を破って金メダル。
『ザ!世界仰天ニュース』がこの話を取り上げる理由がよく分かる展開です。
33歳で自己ベスト12秒93
さらに驚くのが、パーチメントの自己ベストは東京五輪の13秒04ではないことです。
2023年9月17日、アメリカ・ユージーンで行われたダイヤモンドリーグ・ファイナルで12秒93を記録。
33歳で自己ベストを更新し、ダイヤモンドリーグ王者になりました。
短距離系の種目では、一般的には20代がピークと考えられがちです。
ところがパーチメントは30代になってからオリンピック金メダルを獲得し、そのさらに2年後に自己最高記録を出しています。
故障による長い停滞を経験しても競技を続けたからこそ生まれた記録です。
パリ五輪にも出場した
東京五輪で終わりではありません。
2024年のパリオリンピックにもジャマイカ代表として出場し、男子110mハードルで決勝まで進出しました。
決勝は13秒39で8位。本人にとって満足できる結果ではありませんでしたが、大会後もすぐに引退を選ぶことはありませんでした。
2025年はジャマイカ国内選手権で6位となり、東京で開催された世界陸上の代表入りを逃しています。
年齢だけを考えれば、引退が話題になっても不思議ではない時期に入っています。
2026年現在も現役を続けている
2026年もパーチメントは現役です。
4月のインタビューでは、年齢を重ねても若手と戦う意思を示し、自己ベストや記録を狙う姿勢を語っています。
一方で、自分がキャリアの終盤に近づいていることも認識しており、次世代のジャマイカ選手を育て、伝統をつなぐことも目標にしています。
World Athletics系の2026年データでは、6月21日にキングストンで110mハードル13秒58を記録しており、少なくとも2026年シーズンも競技を続けています。
「もう引退した過去の金メダリスト」ではありません。
36歳となった今もハードルを走り続けています。
親切を受けた後の行動もパーチメントらしさ
東京五輪の話ではテイヤナさんの親切が注目されますが、パーチメント側の行動も印象的です。
金メダルを取った直後にもかかわらず、自分を助けてくれたボランティアを探しに戻りました。
1万円を返し、金メダルを見せ、ジャマイカ代表シャツを贈っています。
さらに2025年にテイヤナさんが家族とジャマイカを訪れた際には、ボブ・マーリー博物館で再会しました。
競技場への道を助けてもらった選手と、何者かも知らずに助けたボランティア。
その関係が4年後まで続いたことも、このエピソードが単なる「五輪珍事件」で終わらなかった理由です。
実用情報|ハンスル・パーチメントのプロフィール
名前:Hansle Parchment
日本語表記:ハンスル・パーチメント
生年月日:1990年6月17日
年齢:36歳(2026年9月時点)
国籍:ジャマイカ
専門:男子110mハードル
身長:約196cm
自己ベスト:12秒93
東京2020五輪:金メダル
ロンドン2012五輪:銅メダル
2023年世界選手権:銀メダル
2023年ダイヤモンドリーグ・ファイナル:優勝
まとめ
『ザ!世界仰天ニュース』で紹介されるジャマイカのスター選手は、男子110mハードルのハンスル・パーチメントです。
東京五輪では競技会場へ向かうバスを間違えるという信じられないミスを犯しましたが、テイヤナ・カワシマ・ストイコビッチさんから渡された1万円でタクシーに乗り、準決勝へ間に合いました。
翌日の決勝では大本命グラント・ホロウェイを破り、13秒04で金メダル。
ただ、パーチメントの競技人生を追うと、この金メダルは決して偶然ではありません。
22歳でロンドン五輪銅メダル、2015年世界選手権銀メダル、故障による長い低迷を経て、30代で東京五輪優勝。さらに33歳で12秒93の自己ベストを出しました。
2026年現在も現役を続けています。
バスを乗り間違えた「凡ミス」と1万円の親切が有名になりましたが、その裏側には10年以上トップレベルで走り続けてきた選手の長いキャリアがあります。
参考リンク
World Athletics ハンスル・パーチメント公式プロフィール
World Athletics 東京五輪男子110mハードル決勝結果
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