30歳で突然トップへ、山根太郎社長がミラタップを率いるまで
2026年9月10日放送のテレビ東京『カンブリア宮殿』に登場するのが、住宅設備メーカー「ミラタップ」の山根太郎社長です。番組で大きく取り上げられるのは、社長就任直後に社員の約4割が退社するという厳しい事態を経験しながら、会社を成長させてきた経営改革です。
ただ、山根社長の歩みをたどると、単に「創業者の息子が家業を継いだ」という話ではありません。学生時代の海外経験、伊藤忠商事での仕事、上海駐在、父の急逝、そして30歳での社長就任と、かなり大きな転機を重ねてきた人物です。
この記事でわかること
- 山根太郎社長の学歴と伊藤忠商事時代の経歴
- なぜ30歳でミラタップの社長になったのか
- 社員約4割が退社した背景
- ミラタップを成長させた改革と現在の事業
山根太郎社長は伊藤忠商事出身、学生時代はテニスで海外を転戦

出典:ミラタップ公式ブログ
山根太郎さんは1983年生まれ。関西学院大学経済学部を2008年3月に卒業しています。
大学の公式インタビューを見ると、学生時代からかなり行動派だったことが分かります。年間の半分ほどをテニス選手として海外遠征に費やし、2006年から2007年にはイタリアのフィレンツェ大学へ交換留学。授業はイタリア語で受けていたそうです。
大学卒業後の2008年に入社したのが伊藤忠商事です。
配属先は繊維カンパニー。最初は輸出入や通関、決算関連の業務などを担当し、その後はブランドのライセンスビジネスやOEM営業へ進みました。2010年から2年間は中国・上海に駐在し、帰国後は中国を生産拠点とするスポーツ関連のOEM事業にも携わっています。
住宅設備とはまったく違うアパレル・商社の世界でキャリアを積んでいたわけです。
創業者だった父・山根幸治さんの会社へ入ったのは2014年
ミラタップのルーツは、山根太郎さんの父・山根幸治さんが1979年に創業した「株式会社三輪」です。
大阪市内のマンションの一室から始まり、当初は輸入建材の卸売会社でした。2000年に余剰在庫を自社サイトで販売したことをきっかけに建材のインターネット通販へ進出。2008年に「サンワカンパニー」へ社名を変更しています。
ところが創業者の山根幸治さんは2012年に急逝します。
会社はその翌年の2013年に東証マザーズへ上場。山根太郎さんは当時まだ伊藤忠商事にいましたが、本人によると、サンワカンパニーの社員から声をかけられたことをきっかけに2014年に会社へ入りました。
2014年4月に商品部長として入社し、わずか2カ月後の6月には代表取締役社長に就任。
当時30歳でした。
「家業にずっと勤めてきた2代目」ではなく、大手商社から建築業界へ入り、ほぼ同時に経営トップになったというかなり特殊な事業承継です。
社長就任後に社員約4割が退社した
『カンブリア宮殿』でも大きく扱われるのが、山根社長の就任後に起きた大量退社です。
2026年6月に関西テレビ『THE RULES』が山根社長に密着した際にも、社長就任後に社員の約4割が辞め、株価も大きく下落する窮地に陥ったことが紹介されています。
ここだけを見ると、単純な社内トラブルのようにも見えます。
しかし山根社長本人は過去のインタビューで、就任後に「グローバルカンパニーになる」という大きな方向性を示したことで、それまでの会社との価値観の違いが表面化したと説明しています。
新しい方針に納得できない社員が一気に辞めていき、結果として年末までに約4割が会社を去ったという経緯でした。
つまり「突然4割をリストラした」という単純な話ではありません。
若い新社長がかなり高い成長目標を掲げ、それについていける組織へ変えようとした過程で起きた大きな摩擦だったわけです。
実はネット通販を始めたのは父の時代
ここは番組を見るうえで整理しておきたいポイントです。
ミラタップ最大の特徴である「住宅設備をインターネットで直接売る仕組み」を最初に始めたのは山根太郎社長ではありません。
2000年、創業者の山根幸治さんの時代にスタートしています。
多めに仕入れて余った商品を自社サイトで売ったことが始まりでした。そこから、住宅設備や建材を「誰でも同じ条件・同じ価格で買える」というワンプライスの考え方が生まれています。
山根太郎社長が進めたのは、この独特なビジネスモデルをさらに成長させることでした。
海外展開やブランド力の強化、商品開発、新しい住宅事業などへ会社を広げています。
「父が作った仕組みをそのまま受け継いだ」のではなく、ネット通販中心だった住宅設備会社を、デザインや空間そのものを提案する会社へ変えていったところが現在のミラタップにつながっています。
ミラノサローネでアジア企業初のアワードを受賞
山根社長が力を入れた分野のひとつが海外です。
2018年には世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」で、優れた出展企業に贈られる「ミラノサローネ・アワード」を受賞しました。会社側はアジア企業として初の受賞としています。
もともと山根社長は学生時代にイタリア留学を経験し、伊藤忠商事でも上海駐在を経験しています。
建築業界にはゼロから入った一方で、「海外へ出ていく」という点では、それまで培ってきた経験がそのまま生かされたとも考えられます。
さらに住宅設備だけではなく、戸建て住宅事業「ASOLIE」などへも展開。「住宅設備を売る会社」から「空間を提案する会社」へ事業領域を広げています。
サンワカンパニーから「ミラタップ」へ社名まで変更
大きな決断だったのが2024年10月1日の社名変更です。
長く使ってきた「サンワカンパニー」という名前を捨て、「ミラタップ」に変更しました。
新社名は「未来(mirai)」と「tap」を組み合わせたもの。「未来をタップする」という意味が込められています。山根社長は、海外を含めてブランドを成長させるため、覚えやすく商標やドメインを確保しやすい名前を重視したと説明しています。
会社名まで変えるとなると相当なリスクがあります。
実際、変更直後には旧社名からの検索流入が弱まる影響もありましたが、その後「ミラタップ」の指名検索数は旧社名を上回る水準まで伸びています。
現在のミラタップは売上高167億円まで成長
2025年9月期のミラタップは、連結売上高167億円を記録しました。過去最高です。
2026年9月期は子会社売却の影響で単体決算へ移行し、売上高170億円を計画しています。前期の単体売上高152億円との比較では12%増を目指す計画です。
最近では住宅設備だけでなく家電にも進出。
2026年春には、空間になじむことを意識したビルトイン冷蔵庫も投入しています。
30歳で社長になり、社員約4割の退社を経験した会社が、その後10年以上にわたって事業を広げてきたことを考えると、『カンブリア宮殿』で取り上げられる「大改革」の意味も見えやすくなります。
実用情報|山根太郎社長の経営をさらに知りたい人向け
山根社長自身がミラタップのビジネスをまとめた書籍『miratap 業界のタブーへの挑戦』が2025年12月にダイヤモンド社から出版されています。
240ページ、定価1760円。建材の価格がなぜ分かりにくかったのか、ネット販売をどう広げたのか、ワンプライス、無人ショールーム、海外展開、社名変更などがまとめられています。
番組を見て「社員4割退社」の部分だけでなく、住宅設備業界そのものをどう変えようとしているのか気になった人には、かなり相性のいい内容です。
まとめ
山根太郎社長は、関西学院大学卒業後に伊藤忠商事へ入り、上海駐在などを経験した元商社マンです。
父が創業したサンワカンパニーへ入ったのは2014年。商品部長として入社してからわずか2カ月後、30歳で社長になりました。
その直後には社員約4割が会社を去る大きな組織変動がありましたが、その後は海外進出や商品開発、住宅事業などを拡大。2024年にはサンワカンパニーからミラタップへ社名まで変更しています。
『カンブリア宮殿』では「若い2代目社長」というだけでなく、古い業界の仕組みと会社自身の組織を同時に変えてきた人物として見ると、山根社長の改革がより分かりやすくなりそうです。
参考リンク
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