21歳から国産金ごまに挑んだ鈴木香純さんと「香胡園」
2026年10月1日放送のNHK『うまいッ!』では、埼玉県日高市で国産の金ごまを栽培する鈴木香純(すずき・かすみ)さんが登場します。
鈴木さんは農家の家に生まれたわけではなく、農業経験のないところから21歳で金ごま栽培を開始。2020年には独立して「香胡園(かごえん)」を立ち上げました。現在は約5haの畑で年間約3tを栽培するまでになっています。
香胡園の金ごまは、農薬・肥料を使わず自然栽培し、在来種と自家採種を守っているのも特徴です。
この記事でわかること
- 香胡園の国産金ごまの価格と購入方法
- 鈴木香純さんが21歳で農業を始めた転機
- 2020年に独立して香胡園を立ち上げるまで
- 約5ha・年間約3tへ生産を広げた方法
香胡園の国産金ごまの価格と購入方法

出典:香胡園「製品情報」
まず、香胡園の金ごまを食べてみたい人に向けて、価格と購入方法から紹介します。
2026年9月29日時点で、香胡園公式サイトに掲載されている代表的な商品は次の2種類です。
- 国産いりごま(金ごま):30g・640円(税抜)
- 国産すりごま(金ごま):30g・640円(税抜)
- 生産地:埼玉県
- 原材料:金ごま
いりごまは鉄釜による直火焙煎で仕上げた商品です。小粒ながら含油量が多く、濃厚な味とプチプチした食感を楽しめます。
すりごまは、すぐ料理に使えるよう丁寧にすり上げた商品。香胡園では、塩と合わせた「ごま塩ごはん」のようなシンプルな食べ方もすすめています。
注意したいのは、香胡園では商品の直接販売を行っていないことです。
購入する場合は、Amazon、香胡園公式オンラインショップ、提携オンラインショップ、実店舗、生協などの取扱先を利用します。公式オンラインショップについては在庫がある場合に購入できる仕組みです。
21歳で金ごま栽培を始めた転機
鈴木香純さんは1994年、東京都生まれです。
農業へ向かう大きな転機になったのは、高校時代に食と自分の体について深く向き合った経験でした。その経験から食生活を見直すようになり、やがて「食べものを作る側」である農業へ関心が向いていきます。
しかし、実家が農家だったわけではありません。
農業の知識も経験もない状態からのスタートでした。
農業に興味を持った鈴木さんは、自分で作るのであれば嗜好品ではなく、日常の食卓を支えるものを作りたいと考えます。
そこで行き着いたのが「ごま」でした。
ごまは身近な食材でありながら、国産品は極めて少ない作物です。香胡園では国内自給率を0.1%未満と説明しています。
しかも、ごまは栽培後の収穫や選別に非常に手間がかかります。
周囲から栽培をやめたほうがいいと言われたこともありましたが、鈴木さんは「誰もやらないなら自分がやる」という考えで挑戦を決めました。
2016年、21歳だった鈴木さんは、自然食品関連会社で働きながら、会社が所有していた耕作放棄地を使って金ごまの自然栽培を始めます。
ここから現在の香胡園につながる歩みが始まりました。
2020年に香胡園として独立するまで
鈴木さんは2016年に金ごま栽培を始め、2017年から3年間は専業でごま栽培に取り組みました。
そして2020年2月に独立。同年6月には日高市の認定農業者となっています。
独立後に立ち上げたのが「香胡園」です。
名前には鈴木さん自身の名前も込められています。
ごま本来の純粋な「香り」と、香純さんの「香」、胡麻の「胡」を組み合わせて「香胡園」と名付けられました。
香胡園が大切にしているのは、
- 埼玉県日高市産
- 自然栽培
- 在来種
- 自家採種
- 農薬・肥料を使わない栽培
という方法です。
特に特徴的なのが「自家採種」です。
その年に育ったごまの中から良いものを選び、翌年にまく種を自分たちで残していきます。
毎年種を購入するのではなく、日高市の環境で育ったごまから次の世代へ命をつないでいく方法です。
香胡園というブランドは、単に金ごまを商品として販売するためだけではなく、減少した国産ごまを残し、広げていく拠点として育てられてきました。
自給率0.1%未満の国産ごまに挑む理由
スーパーへ行けば、ごまは珍しい食材ではありません。
ところが、国内で消費されているごまの大部分は輸入品です。
香胡園が掲げている数字は、国産ごまの自給率0.1%未満。身近な食材なのに、国内で作られたものは極めて少ない状況です。
なぜ国内生産が少ないのか。
その理由の一つが、収穫した後に待っている膨大な作業です。
収穫したごまには、サヤや葉、茎などが混ざっています。
香胡園では、
- 脱穀
- ふるい選別
- 乾燥
- 風力選別
- 機械選別
- 必要に応じた目視での手選別
といった工程を重ねます。
非加熱の「洗いごま」では、ごま粒ほどの小さな石などを目で探し、ピンセットで取り除く作業まで行っています。
鈴木さん自身も、栽培を始めた当初は収穫や選別の大変さに直面しました。
それでも効率化の方法を試行錯誤しながら生産を継続。埼玉県も、鈴木さんが国産ごまの復興だけでなく、地域の食文化の継承まで視野に入れて活動していることを紹介しています。
「身近なのに、ほとんど国産ではない」。
そのギャップこそ、鈴木さんが金ごまを作り続ける大きな理由になっています。
約5ha・年間約3tへ広がった栽培と機械化
2026年9月26日の『うまいッ!』では、鈴木さんが約5haの畑で年間約3tの金ごまを栽培していることが紹介されました。
21歳で始めた小さな挑戦から、生産規模は大きく広がっています。
その拡大を可能にしたポイントの一つが機械化でした。
ごまは成熟するとサヤが開き、種が落ちてしまいます。一方、広い畑をすべて人の手だけで収穫するのは現実的ではありません。
鈴木さんは栽培開始から4年目、米の収穫などに使われる機械を導入し、ごまを収穫できるよう改良しました。
収穫だけではありません。
ごま作りでは脱穀後の選別にも非常に時間がかかるため、ふるいや風力、機械による選別を組み合わせています。
農研機構でも、国産ごまの生産拡大には収穫・乾燥・調製の機械化が重要とされており、機械化体系によって労働コストを大幅に削減できる研究成果が示されています。
鈴木さんの取り組みは、自分の畑だけにもとどまりません。
『うまいッ!』では、鈴木さんが国産ごま栽培の活動報告を続け、鈴木さんのもとで学んだ生産者が独り立ちしたことも紹介されました。埼玉県内では現在、複数の生産者が金ごま栽培に取り組んでいます。
「自分がたくさん作る」だけではなく、「作る人を増やす」。
自給率0.1%未満という状況を変えるには、その広がりも重要になっています。
まとめ
鈴木香純さんは1994年東京都生まれ。食への関心をきっかけに農業へ進み、2016年、21歳で国産金ごまの自然栽培を始めました。
2017年から3年間専業で栽培に携わり、2020年2月に独立。「香胡園」を立ち上げ、現在は埼玉県日高市で国産金ごまの生産と商品開発に取り組んでいます。
香胡園の「国産いりごま」「国産すりごま」は各30g・640円(税抜)。香胡園からの直接販売ではなく、Amazonやオンラインショップ、取扱店舗などを通じて購入できます。
21歳で始めたごま作りは、約5ha・年間約3tという規模へ。
鈴木さんが目指しているのは、自分の商品を売ることだけではありません。希少になった国産ごまを次の世代へつなぎ、生産する仲間を増やしていくことまで含めた「国産ごまの復興」です。
参考リンク
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